オリジン
絶対に過大な期待はしないでください。
絶対つまらない終わり方になってしまいますので。
「何が違うのよ」
ラホリア嬢が私に言ってきた。
「私は魔力を持って生まれたのですよ。ね、お父様」
「ああ、ステファは、魔力を持って生まれた。しかも他の者より多くの魔力を持ってな」
私は、お父様も腰を抜かしそうになる程の魔力を持って生まれたそうです。
「では、何故今まで魔法を使わなかった」
「使えなかったのですよ。私は魔力をずっと体の外に出して、空っぽの状態にしていたのですから」
「だが、お前は偽装の魔法を使っていたではないか」
はい、矛盾が起こりました。私は魔力を持って生まれた。だから魔法を使える。しかし、魔力は全て私の体の外に出しており、魔法を使えなかった。簡単な魔法でさえね。じゃあどうやって、偽装の魔法を使っていたのか。
「それはですね。私のお友達に使って貰っていたのですよ」
「そんなことは不可能だ。どのような手段を使っても魔力が持たないからな」
確かに少なくとも私は学園で、偽装の魔法を解くことは、なかったですからね。魔力が持つはずありませんものね。
「そうか、わかったぞ。お前のその姿の方が偽装なのだろう」
「はあ、分かってないですね。私の友達と言うのは、精霊ですよ」
精霊。その存在は、世界中、ありとあらゆる場所に存在していると言われるが、その姿を見ることはできない。たまに精霊の気まぐれで、人間の前に姿を現し、その者と契約を交わすが、それだけだ。
そして、精霊と契約を交わすのは大抵、魔力の多い人物と言われている。
「精霊だと」
「ええ、そうです。ま、会って貰う方がいいですね。姿を現して、――オリジン」
私が、彼女の名前を呼ぶと私の後ろで光が発生し、彼女が姿を現した。
「呼んだ、ステファ」
「ええ」
彼女は、私と同じぐらいの身長で、銀の髪の毛にサファイアのような瞳を持ち、その出で立ちは、まるで神のようだった。
ま、実際、私は彼女と初めて会った時彼女のことを『神様』と呼んでしまったのだが。
「紹介します。私のお友達であり、契約精霊のオリジンです」
「ステファの友達のオリジンよ。一応精霊王と呼ばれているわ」
「「は!?」」
ジーク殿下とラホリア嬢は目を丸くされました。
「せいれいおう、だ、と」
あまりの驚きようですね。さて、
「私は、彼女に偽装の魔法をかけて貰っていたのですよ。わかりましたか、ジーク殿下」
「あ、ああ」
反応が鈍いですね。ま、いいですけどね。