勅命
私が婚約破棄をジーク殿下から言い渡された数日後、私はお父様に連れられて王城に顔を出していた。
もちろん、国王陛下から直々に呼ばれたからだ。
「カスタム公爵家長女ステファ・フォン・カスタム、陛下の勅命により参りましてございます」
私は、緊張していた。勅命を受けたのは、今回が生まれて初めてだからだ。
そもそも、勅命が用いられるのは、重要な話などがある時なのだ。なので、今から陛下が何を話すつもりなのか私は緊張していた。
「それほど緊張しなくても良い。楽にしてくれ」
楽にと言われても、陛下の御前でもあるし。
「そうだ。ステファ、どうせ例のバカ王子とお前の婚約破棄についての話だ。そんなに緊張する必要はない」
お父様が横から声を掛けてくださり、私の緊張は、先程よりも緩んだ。
「父上話しとは何ですか」
そこへ、お父様がバカ王子と呼んだジーク殿下がラホリア嬢を連れて入って来た。
「殿下、早く話など終えて私とお茶しましょう」
ラホリア嬢は場違いな事を言っていた。
「さて、全員揃ったな」
陛下は、一度私達全員の顔を見渡して言った。
その時、
「その話、私も混ぜてください」
ジーク殿下達が入って来た扉から、第一王子であり、王太子のルーク様が部屋に入ってこられました。
「私も一応関係のある話しなのですから、私も混ぜてもらってもいいですよね、父上」
そういうと、ルーク様は私の方に視線を向けてこられた。
「うむ、まあよかろう。
さて、話というのはステファ嬢とジークの婚約破棄についてだ」
陛下は、ゆっくりと口を開いた。