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主義の違いに正解はない

侯爵邸の夕食はお金がない中で何とか工夫して用意してくれたといった印象の強い料理だった。調味料は町の近くで採れる香草を使い、メインディッシュのお肉は屋敷の人達でなんとか狩った牛の丸焼きで、近場でとれるもので高級品ではないが、料理一つ一つに工夫がされてるとても美味しい夕食だった。

夕食が終わると再び談話室へと戻り、ソファーに腰かけた。


「夕食はどうだったかな?ソラ殿。」


「はい。とても美味しかったです。」


「それは良かった。また招待しよう。今度は驚くような料理を出すからな。」


「はい。楽しみにしております。」


どんな料理が出るか楽しみだなぁ~驚くってどんな料理だろうか。


「ふむ。では、日本の話をまた話してくれるかな?」


「はい。もちろんです。」


「うむ。では、何故、王政が無くなったのか教えてくれないか?」


そう言う質問か。


「何故かと聞かれると難しいですが、時代に合わなくなったと言うのが大きいと思います。」


「時代に合わなくなったと言うのは、どう合わなくなったのだろうか?」


「そうですね。私の勝手な考えですが、思想の多様化でしょうか?民主主義や共産主義のような色んな考え方が広まって、それに対応しきれなかった。つまり、思想の多様化についていけなかった王家が多かったと言う事だと思います。」


「思想の多様化か...」


侯爵様がまた悩み始めたよ...まあ、正直、何でなのかは分からないなぁ。少なくとも人の考えが変わったからこそ、変化が起きたんだと思うけど。


「ソラ殿はどうなのだ?王政か民主主義のどちらがよい?」


「私の国は過去に戦争を起こしました。それも勝てないと分かるような相手にです。ですが、その戦争は民主主義で選ばれた議員や国民の暴走で起きました。日本の王にあたる天皇陛下に止める力が無かったのです。」


「では、ソラ殿は王の言う事が絶対の王政が良いか?それなら、その戦争は止められただろう?」


「いえ、確かに民主主義で暴走はしましたが、民主主義だからこそ新しいことや、しがらみにとらわれず出来たことも多いです。敗戦後に日本はたった20年ほどで世界に敗戦から復興したことを。経済的にも技術的にも戦勝国に肩を並べられると示しました。私に主義の違いに良し悪しはわかりません。私は判断を下す『人』が間違わなければ良いと思います。」


「なるほどな。判断を下すのは『人』か。間違いは無いな。責任を誰が負うかの違いだけなのかもしれない。」


「そうですね。王政なら王が。民主主義なら国民が。それだけの違いです。」


「そうだな.....」


何か難しい話をしてしまったなぁ...この侯爵様は王政打破でも考えてたのだろうか?


「ところでソラ様?日本の王...えっと、天皇陛下ですか?はどれくらい歴史があるのでしょうか?」


「確か、私の世界では続いてる王室では最古の王室で、2600年くらい続いてたと思います。正確に把握されてるのは1300年ほど前までなので、定かではありませんが。」


「まあ、そんなに!こちらでは長くて400年か500年くらいですのに。」


「日本は島国で陸地が続いてなかったので、攻められることほとんどありませんでしたから、長く続いたんだと思います。」


「平和なお国なのですね。」


「そうですね。平和すぎて『平和ボケ』なんて言葉もあります。」


「あらまぁ。」


本当に日本は平和だと思うよ。ヨーロッパとか戦争の歴史が多すぎる。


「ソラ殿、今ふと思ったのだが、政治についてかなり詳しく思うのだが、政治に携わってたりしたのか?」


「いえ、私が単に政治に興味があったのと、教育の範囲に政治について学ぶ機会があったので、私の国では政治について簡単なことなら誰でも話せるのです。」


「凄まじいな日本とは。ソラ殿の知識なら大臣も出来そうだ。」


「それは流石に無理です。」


「いや、ソラ殿の世界からしたらこの世界はかなり未熟だ。ソラ殿の知識なら十分に出来る。」


「はあ.....」


大臣にされても困るんですが...てか、この話の流れは何かの誘いの布石ですか?


「でだな、一つ提案だか...」


そら来た!


「政治について考える貴族の集まりがあるのだが、参加しないか?」


何それ。興味あります。


「興味はあります。ですが、私のような者が良いのですか?12歳ですよ?」


「あと3年で成人なら問題ないだろ。それに、そこで関係を築ければ、15歳の社交界デビューも楽だしな。爵位もおそらく、近いうちに上がるだろ。ソラ殿は一代限りの貴族にするには惜しすぎる人材だ。少なくとも子爵は固いだろう。」


え~子爵ですか?子爵ってどれくらいの地位?


『下位貴族の中で最も高い爵位になります。ガゼット王国には50の子爵家があり、子爵位であれば大臣になる事も可能です。』


わ~なんか中堅って感じだわ。


「子爵ですか。何だか凄そうですね。」


「いや、子爵ならたまに叙爵されることがあるからな、そこまで気を張らんでも大丈夫だ。」


そうなんだ。じゃあ、気楽に考えておこうかな。


その後、貴族の集まりに参加することを了承し、たっぷりと話し、夜も更けてきたため、解散となった。因みに、侯爵邸に泊めていただいた。

やはり、侯爵家のベッドは柔らかい!

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