何か罪悪感が凄い
「あ、あの?ソラ様?」
おっと、自分の世界に入りすぎたかな。
「力をお貸しする事は問題ないのですが、爵位については、どうしたらいいのか分からないのですが...」
「えっとですね、名誉男爵と言うのは、一代限りの爵位となります。義務もほとんどありませんので、受け取って頂けたら幸いです。」
「なるほどです。では、ありがたく頂きます。」
「はい。よろしくお願いいたします。」
その後、細かな事をオリバーさんと話し合い、もう少し落ち着いたら、侯爵邸の夕食へ誘いたいと侯爵様からのお手紙をもらい、オリバーさんは帰っていった。
「ふむ、名誉男爵か。大出世じゃな。」
「ありがとうございます。実感はわきませんが、頑張ってみます。」
「うむ。名ばかりじゃからな。あまり気にすることない。」
「はい。あ、それと、ギルドマスターに相談が有るんです。」
「ふむ。何かな?」
「鉱山をいただけると言う話でしたが、自分一人で採掘するわけにもいきませんので、人を雇いたいのですが、どうすれば良いでしょうか?」
「それなら、前の鉱山主が鉱山奴隷を残しておるから、そやつらを使えば良いじゃろう。」
鉱山奴隷?
『借金の返済のためや、犯罪を犯した者が鉱山で働く場合、鉱山奴隷と呼ばれ、奴隷の中でも過酷な職場として分類されます。』
なるほど。
「わかりました。鉱山奴隷に今から会えますか?」
「うむ。地図を書いてやるから鉱山奴隷が暮らしてる寮に言ってくるといい。」
ギルドマスターから貰った地図の通り歩くと、城壁を出て、鉱山の施設が並ぶ地区の外れに傾いた木造2階建てのアパートのようなものがあった。これが、鉱山奴隷用のアパートらしい。
「何か、今にも崩れそう。」
寮の周りを見渡していると、寮から小さな女の子が出てきて、目が合うと、ビクリと体を硬直させた。
「や、やあ、第12番鉱山の奴隷寮ってここかな?」
笑顔を意識して声をかけると、不安そうながらも、頷いてくれた。
「まだ仮決定何だけど、今度から自分が新しい第12番鉱山の持主になるんだ。よろしくね?」
「っ!は、はい。よろしくお願いいたします...」
新しい鉱山主だと言うとさらに緊張した様子になり、冷や汗をかいている。
「とりあえず、全員と挨拶しておきたいから、集めてくれるかな?」
「は、はい!」
慌てて中へと戻っていった女の子はしばらくすると同じ歳くらいの女の子を20人ほど連れてきた。
「ぜ、全員、揃いました!」
「え?女の子だけなの?こんなに小さな...」
「あ、私達、ドワーフなので、幼く見えますが、平均年齢は15歳を越えてるんですよ。」
「あ、そうなの。とりあえず、第12番鉱山の鉱山主になるソラと言います。鉱山主と言っても、まだ12歳の子供ですから、あんまり固くならないでくださいね?」
12歳と聞いて安心したのか、全体的に少し表情が柔らかくなった。
「はい。よろしくお願いいたします。」
「うん。それで、鉱山の事なんだけど、詳しい人は誰かな?」
「はい!私!私!」
ドワーフの子の中でも特に元気そうなピンク髪の子がピョンピョンと跳ねながら、手を上げている
「じゃあ、鉱山内部の事を聞きたいから少し来てもらって良いかな?他のみんなは解散で。時間とってくれてありがとう。」
ドワーフの子達が解散していき、ピンク髪の子だけが残った。
「改めまして初めましてソラ様!ニーナって言います!」
自己紹介してくれたドワーフの子はピンクの髪にピンクの瞳、元気一杯な性格で、第12番鉱山の奴隷達の纏め役をしつつ、鉱山内部での仕事も取り仕切っていたらしい。
「うん。よろしく。早速だけど、今、内部がどうなってるか説明してもらってもいいかな。」
「はい!もちろんです!第12番鉱山は今、産出物が無いため、休山状態です。坑道は中央坑道を軸に坑道の左右に掘り進めて採掘していたので、迷うほどではありません。元々は銀が多くとれていて、たまに銅がとれていました。今はさっきも言った通り、何処を掘っても何も出てきません。」
「岩盤にぶつかってる場所はあるかな?」
「はい。何ヵ所か深くまで掘ってるところは岩盤に突き当たって、採掘を断念しています。」
「じゃあ、その岩盤は取り除いておくから、そこから重点的に掘り進めよう。」
「了解しました!では、皆にもそう伝えておきますね!」
「うん。頼んだよ。」
話終えたニーナは走り去っていき、何人かに声をかけていく。そして、俺は、第12番鉱山へ向かい、岩盤の除去を行った。