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プロローグ

子供であれば、自由に何のしがらみもなく、気の向くままに楽しむことが出来る。責任は親が負ってくれる。学校で友達と会えば、他愛ないことで一喜一憂して騒ぎ、虐めの対象にされれば、誰も助けてくれない冷たい世界で堪え忍ぶ。




子供って楽しいですか?




大人になれば、自己責任だが子供に出来なかった事が出来るようになり、夢も自由に叶えられる。努力して会社に入れれば、忙しく仕事をこなし、上司の理不尽な叱責を受け流し、平日も休日も終電で帰る。もしくはオフィスに泊まる。そして、日々の生活で余裕がなくなり、夢が遠退いていく。




大人って楽しいですか?




老後になれば、沢山の時間を自由に使えるようになる。諦めた夢もまた追いかけられる余裕が出来る。老人と若者の体力差に気付き、自分に出来る事に制限があることを知る。何となく過ごす老後はあっという間に静かに過ぎていく。




生きるって、楽しかったですか?




正直、俺は生きることに執着はしない。先に待ち受ける未来があまりにも残酷すぎる。いつから人は自分の未来を潰してしまったのだろうか。


「おい!社長!聞いてるのか!」


そんな思考から、親友の呼ぶ声に、元の世界へと意識を戻される。


「ああ、ごめん。ちょっと考え事してた。」


「はぁ~、まあいいや。それで、社長は今日、予定空いてるのか?」


社長ってのは、俺のあだ名だ。俺は小学校の頃から経済や株、金融に興味があって、人並み以上の知識があったから、そう呼ばれるようになった。まあ、中学の時に、株価を予想したら当たりまくって、学校中で噂になったのが切っ掛けだが。


「うーん、ちょっと今日は用事があるんだ~」


「じゃあ、仕方ないな!また今度、一緒にカラオケ行こうな!じゃあな!」


笑顔で去っていく親友に手を振り替えして、信号が青に変わった横断歩道を横断し始めると、『キィーーーーッ』と激しいブレーキ音が聞こえ、俺は、突っ込んでくるバスを最後に意識が真っ暗になった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーー

あ~頭痛い。何か、体もフワフワした感じで気持ち悪い。って、あれ?何ここ。世界が真っ白なんですが...もしかして、スキー場?


"初めまして、空さん。"


声がする方を見ると、ザ・女神!って感じの金髪金目の優しい笑顔が眩しい、ナイスバディーなお姉さんがいた。

あ~、夢だな。


"ちょ、ちょっと!?寝ないで!夢じゃないよ!"


因みに、"空"と言うのは、俺の名前である。


うん。知ってた。ちょっと現実逃避したかっただけだから。


"良かった...えっと、予想はついてると思うけど、一応、自己紹介ね?私は、女神です。正確に言うと、空さんの世界で言う『異世界』の女神です。"


あら~、異世界ですか、あればいいのに~とか思ってたけど、本当にあったんだ。


"はい。空さんは自分がどうなったのか覚えてますか?"


えーと、バスに跳ねられましたね。最近、リコール騒ぎで安全だと言われた種類のバスでしたね。


"そ、そうですね。死ぬ直前によく見られてますね...普通は、走馬灯とか見るんですよ?"


あ~、ニュースは特に興味あったし、あんなうやむやな終わり方した問題は特に気になるから、バスの見た目は覚えちゃった。それに、元々、あまり生きることに執着してませんでしたから。


"...そうですか。空さんの事は、世界が違いますが、よく見させて頂いていました。生に執着が無いのは知ってますが、本当に冷静ですね。正直、怖いくらいですね。"


何だか、申し訳ないです...えっと、それで、死んだわけですけど、何故、異世界の女神様に呼ばれたのでしょうか?


"それはですね、空さんの知識をお借りしたくて、お呼び致しました!"


胸を張って腰に手を当てて、少し背中を反らしたドヤ顔の女神様はデデン!と効果音が聞こえる気がするような、行動のはずが、巨大なメロンが2つ、ポヨヨンと全く違う効果音によって、掻き消されてしまう。


俺の?


"そうです!前から、寿命を終えたら異世界の発展に協力してもらおうと、異世界転生をお願いしようと思ってたんです!それが、事故でこんな早く亡くなられるとは思ってなかったのですが....."


理由は何なとなく、分かりましたが、それならもっと知識のある人や実力のある人に頼めばいいのに、何で、俺?


"ん~、理由としては、知識は未熟ではありますが、異世界の人達には知識の基礎やイメージが伝われば、後は自分達で考えてほしいので、詳しすぎない方が都合が良いのと、空さんの性格と類稀な強運ですかね?"


知識については納得したし、性格は女神様に受け入れられて嬉しくは思いますが、強運ですか?どちらかと言えば、運は無い方何ですけど?


"元の世界ならそうかもしれませんが、異世界では空さんには強運が発揮できる要素があります。その理由や仕組みなんかは説明するには時間が足りませんから、省略しますね。ここまで言っておいてあれですが、異世界転生お願いできますか?"


う~ん、どうしょうかな。異世界は良いけど、生きることそのものに魅力を感じないんだよね。


"あらら。確かに前の世界では努力は報われず、理不尽が当たり前。弱者は強者に抗えない。そんな世界でしたからね。ですが、異世界はそんな事ありません。努力は必ず報われますし、理不尽は確かにありますが、抗う術は誰にも努力すれば有ります。弱者でも集まれば強者に抗える。そんな世界です。"


何か、詐欺みたい...


"うっ、そう言わないでください。私も女神として、空さんの世界のようにならないよう、努力してるのですから..."


少し涙目になって女神は傷付いたと言わんばかりにウルウルと涙を貯えた目線を送ってくる。


わ、わかりましたよ。異世界でもどこえでも連れていってください!


"う~良いんですか?"


はい。異世界転生自体は興味がありますから。


"...なら、空さんに全能力(オールスキル)のユニークスキルお渡ししますね。これは、どんなスキルでも一覧から好きに選べて好きなレベルで設定できるユニークスキルです。ユニークスキルは隠しても隠さなくても大丈夫なので、空さんにお任せします。過去に何回か与えたことあるスキルなので。"


何か、チート来たー!


"ふふ、喜んでもらえて幸いです。では、空さんの新たな人生に多くの幸あらんことを....."




そして、笑顔の女神様を最後に意識は再び暗闇へと包まれた。

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