第三話 「魔法」
読んでいただきありがとうございます。
今回は短いです。
できる限り毎日投稿したいと思いますが、なかなか難しいですね。
毎日投稿している方達は1話あたりどのくらいのペースで書いているんでしょうか?
--チュンチュン
小鳥の囀りに鼓膜を揺すられ目が覚める。
日はすっかり登っており、太陽は頂点まで達してしまっている。
昨日の夜、魔法の訓練を始めたのは9時すぎだったので、どうやら意識を失ったあと半日近く眠っていたらしい。
そのおかげか身体も意識もしっかりしており明日からがみなぎってくる。
体内の魔力を探ってみると明らかに昨日よりも増えていることが分かる。
あまりの清々しさに見えている景色が変わったかのようだ。
「……」
いや、実際変わっていた。
部屋にある様々なものから微弱ながらモヤのようなものが出ている。
一度見たから知っている。これは魔力だ。
恐らく昨日の訓練で自分の魔力が見えるようになったため自分以外の魔力も感じられるようになったのだろう。
新たに得た力に感慨にふけっていると扉越しに4つの魔力がこちら近づいて来るのが感じられた。
その4つの魔力からは部屋のものが発する魔力とは違う特性を持っていた。
大きさが違うこともだがそれぞれの魔力には色がついている。
4つの魔力は俺の部屋の前で止まるとノックの後ゆっくりと扉を開け入ってきた。
「のあ~おきなさぁい!!」
あどけない可愛らしい舌足らずな声でいの一番に飛び込んできたのは姉のエミリアだ。
それに続いてアーシャ、アレン、マリナが入ってくる。
先ほどの4つの魔力は彼女らのもののようで、アーシャとアレンは青、エミリアは赤、マリナは黒い色をしている。
色の意味はある程度予想できる。
恐らく赤は火、青は水、黒は闇みたいな感じだろう。
それに対して俺の魔力は透明だ。
それは無属性なのか色のない属性なのかは分からないが昨日の夜魔法が使えなかったのは属性が一致していなかったからだろう。
今回の課題は見えたので今夜は自分の属性を調べながら魔力の底上げをしよう。
俺の部屋に集まった4人の談笑を聴きながらそんな事を考える。
その後アリーシャに授乳して貰ったらお昼寝の時間だ。
授乳中兄弟の視線が突き刺さってすごく落ち着かなかった。
そして夜。
エミリアとアレンをマリナが寝かしつけている頃。目が覚めた俺は昨日の続きを始めていた。
やはり透明な魔力では微風も起こすことが出来なかった。
今度は属性を意識して自分の魔力を探してみる。
丹田の魔力源に意識を集中、昨日感じた時よりもさらに深く意識を向けるが住んだ透明の魔力に混じっている色は見つけられない。
何かしら属性が見つかればいいと曖昧な気持ちでやっているから見つからないのだとまずは風属性の魔力を意識して魔力源に触れてみる。
すると変化は起きた。
透明だった魔力は意識した部分から徐々に緑色に変質していきやがて魔力全体が緑一色に塗りつぶされる。
俺は早速緑の魔力を使って昨日のように風をイメージして魔法を発動する。
すると部屋の中に一陣のそよ風が俺の周りを回るようにしてふいた。
「キャッキャ!!」
嬉しくて思わず笑い声が漏れてしまう。
嬉しさのあまり調子に乗って風を吹かせていたら急に気だるさが襲ってくる。
また魔力枯渇か。
俺は薄れゆく意識に抗うことなく眠りに就いた。
次回更新は7/16 14:00です。




