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プロローグ 

初投稿です。

拙い文章ですがどうぞよろしくお願いします。

「やあ田中君、調子はどうだい?」

「…いつも通りですよ」


 胡散臭い笑みを浮かべ俺に話しかけてくるのは上司である課長の佐藤だ。

 脂ぎった汗を浮かべる肥満体型のどこにでもいるようなおっさんは見た目通り何事も平均しかこなせない癖に自身のミスやめんどくさい仕事は俺に丸投げしてくる絵に書いたような無能上司だ。

 なぜ俺がそんなクソ上司のターゲットになっているかというと俺が課長にとって都合のいい対象だからだ。

 

 幼い頃から面倒を嫌った俺は何事にも効率を求める様になった。

 効率のいい勉強法や効率のいい体の鍛え方、睡眠にも効率を求めた。

 それゆえ学力は常に上位を維持し、運動も人並み以上にできた。

 ただ面倒なことを嫌う俺は他人に対しても効率を求めてしまい、それゆえ友人など皆無だった。

 そんな性格を引きずったまま成人し、中小企業に勤めることになった今も仕事は出来ても仲の良い同僚は無く、なまじ優秀なためそれをよく思わなかった課長のターゲットになったわけだ。


「ハハハ、それは良かった。では普通の君にお仕事をたのもうかな? それじゃあ頼むよ」


 俺の返事も聞かず資料の束を机に放り高笑いしながら去っていく課長。

 はぁ、今日も残業確定か…。


 それから課長になすり付けられた仕事を進め帰り支度を始めた時、既に0時を回っていた


「終電もないか、タクシー拾うしかないな」


 駅前に着くとタクシー待ちの列が出来ていた。10分ほど待ち俺の番が来るとタクシーに乗り込む。運転手は無愛想な男だ。行き先を告げると軽く会釈をして車を発進させた。

 移動の間静寂が車内を満たす。

 いや、実際には静寂じゃない。エンジン音にタイヤのすれる音、それにブツブツとかろうじて聞こえるほどの声量で運転手が恨みつらみを吐いている。

 正直不気味だが、この人も上司に苦労してんだろうなと親近感を覚え独り言くらいは許容してやろうと思っていた矢先のことだった。


「ちょ!? 運転手さん!?」


 赤信号の交差点に差し掛かるが、一向にスピードを落とす様子がない。

 慌てて身を乗り出し運転手の顔を覗くと明らかに精神にい異常をきたしているような焦点のあっていない虚ろな顔をしていた。


 ーーファアアアアアアン!!


 交差点の中央に差し掛かった時、横からけたたましいクラクションが聞こえた。

 いやな予感がしてそちらへ顔を向けると案の定こちらへ迫るトラックが視界に映った。

 相手は思い切りブレーキを踏んでいるようだが間に合わないだろう。

 そう思い至ったとき俺は生存を諦めた。


「なんて非効率な人生だ」

「クヒヒ」


 運転手の不気味な笑い声と目前に迫るトラックのヘッドライトが次回を真っ白に染めた瞬間けたたましい衝突音と全身を駆け巡る衝撃を感じ、意識がブラックアウトした。


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