第7話 入学式前夜
その後、数十分の立ち話でなんとかとりなしたのち無事連絡先をゲット。むしろ一時間の大台に乗せないで止めたのは俺の人徳……ではなく九割はサポートである。
途中から飽きて意識外で歌い始めたときまさか脳内に曲を流すとかいう斜め上に振り切った機能がついているとは思わなかった。なぞ機能過ぎる。
*help
脳内で歌詞付きで曲を流すことが出来ます。カラオケのお供にどうぞ。
ちなみにほかの関連機能で隠し芸とかもできるようになるようだった、どうやら人との交友関係を円滑にするためのツールが使用できる……訳が分からないよ。 意味が分からない機能に特化してるんじゃないよ全く……
とりあえず今発生してるミッションは全部終わったから何をしようか……
ピコン♪
……。
休ませてくれないと言うわけですね、知ってた。
もう何が出ても驚かないぞ、さあ出てこい青いの!
*発生中ミッション
・課題を終わらせる。
……そう言えば終わってなかったか。
待てよ? ミッションなら例のサポートが入るのでは?
よし、そうとなったらやるぞ! 始業式はもう明日で一割も終わってないが今日中に終わらせてやる!
◆―――◆ ◆―――◆ ◆―――◆ ◆―――◆
「なんで出ないんだよ!? そういうところはなんでシビアなんだよ!」
「夜中に隣でうるさいから黙りなさい!」
「ああもう悪かったから許せっての!」
ピコン♪
*発生中ミッション
・今日中に課題を終わらせる
「ピコン♪ じゃねぇよ何しれっと難易度上げてんだよ無理に決まってんだろ!」
「だからうるさいって言ってんでしょ近所迷惑だっての!」
「姉貴の方がうるさいってのー! あーもうなんなんだよ!?」
◆―――◆ ◆―――◆ ◆―――◆ ◆―――◆
「あの糞神次あったら毛根絶滅させてやる」
「その前に父さんの毛根心配しなさいよ、近所に今朝謝りに言ってたからね? ただでさえハゲの家系なのに……」
「それは将来的に俺がハゲると言う宣戦布告でよろしいのな?」
「それ以外に聞こえたの? ヤダーゴメーン、君にも分かるように言えば良かったね?」
「姉貴……いい加減にしないとぶっつ「ツンデレ姉に」生意気なこと言ってすみませんでした。」
未だに履歴に姉弟もののAVあったからってことあることに脅迫してくる我が姉である。
なぜ履歴を消しただけで隠し通せると思い込んでたんだ……cookieを消さないと足がつくのに……
我が家で絶対に姉には逆らえない理由の一つがこれである。
ちなみに我が家で最初に被害を受けたのは姉が小学四年の時、父の日背広から夜のお店の領収書が見つかったが買収に失敗した時だ。
姉曰く「チクって貰えるであろう金額と比較した」そうである、まさに外道。なお、その夜父がどうなったかは想像にお任せする。
「……何見てんの。」
「毛穴?」
「見える訳ないでしょ馬鹿。」
まあこんな姉だが年子なのに上下格差が激しい。見てくれは良いがそれを弟に言っても微塵も意味もない。
「そういや父さんなんで今日家にいるの?」
「休みだからだが……何か不都合か?」
「いや別に。違和感が凄かっただけ。」
「違和感として扱われるのか……」
たれ目撫で肩の気弱系の我が実父、現在食品系会社の人事部門でなかなか偉いところに就いているらしいが知ったことではない。我が家の外の身分なんぞ役にはたたない。
ちなみに母は専業主婦だが父より家にいない事が多い。専業とはいったい。
昔の友人の手伝いでちょっとやらされているだけと言っているが、普通の人なら国会議員やら警視総監やら教育委員会の会長などから年賀状が来たりはしない。子供の俺でもまだ分かることは少ない。謎だ。
「そう言えば昨日少しうるさかったけどどうした?」
「裕介がいきなり発狂したの、全裸になって月に吠えてた。」
「俺は狼男でも変態でもねぇよっ!」
「じゃあなんでなのかなー?」
底意地の悪そうな笑みを浮かべるが、ほんとのことを答えようとすると例の制裁頭痛が襲ってくるので……
「……時々無性に月に吠えたくなってな。」
「こwwいwwつwwやwwべwwえwwwwww」
「ああもう草生やすな鬱陶しい!」
「こら、こいつ呼ばわりはやめなさい。」
「はーい。」
「うむ。」
「待ってそこじゃない!問題はそこじゃないぞ父さん!」
「いやまあ……な?」
「分かるよなって視線で問いかけてくんな!」
「残念、父さんは私側だ。」
「こいつほんとうぜー!」
さあ、夜が終わる。
明日は゛入学式゛……高校生活の始まりだ。
彼の……いや、主要人物たちの青春がまさに、始まろうとしていた。
次話より第二章 入学式とオリエンテーションとなります、お楽しみに!