第6話 高崎綾音
わぁい間に合った(現在午前一時
現在の状況。
見知らぬ少女をお姫様抱っこでドナドナする誠一、それに赤面して弱々しい抵抗をする少女、そして……
「な、なによ誠一ぃ……私を放置するってなに様なの……!」
横におわすのは背後に瘴気を纏った鬼を幻視させる高崎綾音である。
「これが主人公補正ってやつか……。」
奥で受け取りをしていた高崎さんは悲鳴で気づいたため誠一が抱え上げたところしか見ていないため誤解満載だが、俺は実はほぼ予測がついている。
居場所が試着室から入店して十数分経っても全く動かないこと、外に放置のカバン、そしてあの時彼女は倒れる瞬間たしかにカーテンを掴んで倒れていた。
経緯はわからないが、中から覗いていたらちょうど劣化していたカーテンレールが壊れちょうど目の前にいた誠一を巻き込んでちょうどいい具合にもみくちゃになったわけだ。どんな確率だよ。
さて、そろそろ現実逃避をやめよう。
「なんなの私の制服よりそんな子のけがの方が大事なの……!」
素晴らしく病んでいらっしゃる。もうこのまま目のハイライト消して包丁持たせたらテンプレのヤンデレである。
その場合俺は「まさかあんなことするなんて思いもよりませんでした、普通の女子だったのに……」とインタビューで答えようか。
そろそろ自覚しているのか分からないけどもあなたの踏んでいるのは俺の制服なんですよね、床に置いといたのは悪かったからしわになるのでやめてくださいいくら袋に入っていても良い気持ちはしないんですよ……。
「あの、大丈夫ですか?」
「はあ!?」
「いえ、誠一君に連絡してみましょうか?」
第一段階、まずは彼の誤解を解いてやる。第二はない。
「なんであんたがやるのよ!」
「なら、高崎さんから電話をかけてみます? 一緒に買い物に来たのならそれが良いでしょうが……」
「つうっ……」
予想通り一瞬ここでためらう。相手は全く知らない女の子だったし少しはやはりためらってしまうのだ。
「じゃあお先に失礼しますね。」「あっ!」
さっき手に入れた電話番号を呼び出し最速でコール。3コールで電話に出る。
「もしもしー? 誠一くーん?」
「あぁごめん、綾音に」「怪我した女の子を家まで送るから一人で帰ってて、でいいのね?」「!?」
なにやら驚いているが店の前にいたはずの車に二人一緒に乗っていれば誰だって分かる。ほんとこのマップ機能便利だな。
「う、うんお願い。」
「適当にうまくごまかしとくから、心配するなよ。」ボソッ
「……あ、ありがとう!」
さて、ここから口八丁手八丁でやりくるめよう、大丈夫。なにせ今は文字通り神の助けがあるからな。
◇step1 女性の文句には絶対に否定してはいけない……
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「ほんとあいつはクズなの! いっつも人の話聞かないし変なところで鈍感だし……!」
「ほんとそうですよね、俺もやっぱりそう思いますよ。」
最初の怒気は消え去ったものの、今度は盛大な愚痴を聞かされる羽目になっていた。かれこれ30分以上である。
(にしても明らかにべたぼれですげぇな……なんで気づかないんだってレベルじゃねぇぞこれ)
そう、何を隠そうこの女、かれこれ最初の俺の弁明が終わってから誠一の文句しか言わないのである。
本人に自覚はあるのか分からないがどう見たって惚れこんでいる。それで家族からからかわれて文句言ってもそうにしか見えない。
「ねぇ! 聞いてるの!?」
「え? えぇもちろん。誠一の話ですよね?」
というか誠一の話以外してないけどな。
それより聞いてください、新機能が出たんですよ新機能! まぁ見つけただけなんですけど!
その機能の名前、聞いて驚くな《好感度測定器》!!
二種類のパラメータによって結果が出るそうです!
一つ目が普通に好きかどうかで0~100、大きければ……っていう安定のですね。
んで二つ目がlike寄りかlove寄りかこちらも同じく0~100で教えてくれるそうです。
ちなみに俺が絡むと使えないらしい。理由はそれを悪用する可能性があるから。解せぬ……
それで例として誠一から高崎さんはこちら。
《64.3》
これ、前者が一つ目で後者が二つ目なんだが……ほんとにlikeに一方的に寄っていてほんと笑える。
それで本題の高崎山から誠一への好感度。
聞いて驚けっ!
<<<<《78.46》>>>>
これはすごい! 風が吹いたらloveに入っちゃうね!
……もう何でもいいから結婚しろよお前ら。
※裏設定
誠一の制限は好感度に影響を及ぼします。
一つ目の好感度が80を越すと制裁、二つ目は45を越すと制裁が下ります。
神のサポートとして一つ目はかなり上がりやすくなっています。人になつかれやすくなるが近いです。
好感度設定出したのは管理を楽にするためとあとがきで経過を示すためです。