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ウチの父さん(無職)

本当に申し訳ないです。思った以上に筆が進まなくて…

前、投稿したのは25日ですか。やべぇよやべぇよ…

妖怪のせいだな!

「ただいまー」

今日は土曜日、企画の話から二週間が過ぎていた。

あの月曜日以来、村木さんと話す機会が圧倒的に増えた…全て企画に関する話題ではあったが。

「おかえり~キラくん」

「キラって、やめてくれよ父さん」

「いいじゃないか、新世界の神になれそうなあだ名だろう?」

この少し、いや結構ズレた言動をしている人物が俺の父さんだ。名前はジョン・アルバート、イギリス人。そうイギリス人だ。


父さんは昔、母国の貿易会社で働いていたらしい。今では見る影も無い、無職のオタクオヤジになってしまっている。何でも、日本に仕事で来た時にホテルのTVを点けると

『○人はプリ○ュア』

が放送されていて、それを見た父さんは「Oh!Great!!」…という感じで見入ってしまったのだ。仕事を前倒しで終わらせて、滞在中のほとんどの時間をアニメに費やしてから母国に帰った。

それから十年程の時を経て、「アニメガナイナンテ、ガマンナラナイ!!!」と会社を辞めて日本に舞い戻った。十年間会社に働き詰めて偉い地位に居たものだから、会社側もなんとか止めようとしたみたいだが。貯めに貯めたお金(退職金と一緒に)持って日本に来た父さんは、会社時代に仲良くなった母さんの家に転がり込んでそのまま結婚という流れになったみたいだった。母さんは、父さんがオタクになった頃から仲良くしていたから

「いつか会社辞めると思ってたわ。別に暮らしていくのにお金が足りないわけでも無いし、養ってあげる」

と言って結婚を承諾した。母さんは無職であることについてはなんとも思っていないが

「能力が行使されないのは勿体無い」と言って、母さんが勤めている会社に了承を得て、たまに父さんに手伝いをさせている。あくまで父さんが暇な時だけという条件付きではあるものの、中々的確なアドバイスらしく相談役のような立場になっている。

「大体、昭なんだからあだ名なら『アキ』じゃないの?」

「そのあだ名だと、バカキャラしか思い浮かばないんだよねぇ…昭くん頭良いし違和感しかないんだよ。」

「キャラが合ってる、合ってないであだ名を付けられる身にもなってくれよ父さん…」

「あだ名は家族だけの時しか使ってないし、別に良いじゃん兄ちゃん」

菫が冷蔵庫からフルーツ牛乳を出しつつ言う。ていうか、リビングに入って来たことに気が付かなかった。暗殺者並に気配を消す妹にも、もう慣れてしまった辺り俺の感覚も狂ってるのかもしれない。

「ただいま。たまには気配を出してくれ、菫」

「お帰り。やだよ、俗世の人が居たらどう処理していいか分かんない」

「菫ちゃんは何ていうか、仙人みたいな暮らししてるよね。僕も出来ればそうしたいなぁ」

「立場的に無理でしょ、お父さんは。」

「ま、多少はね?そういう夢も見たくなるのさ」

父さんと菫は、良くも悪くも仲が良い。何しろ菫の趣味は父さん譲りということも有って、一緒にアニメを見たり、ゲーセンに行って格ゲーで対戦したり、ネトゲの季節イベントを一緒に進めたりと趣味を共有することが多いのだ。この前はギャルゲ(世界観がSFっぽい?らしい)の設定や物語中の矛盾、一番萌えた所と一番燃えた所を話し合っていた。

オタ仲間寄りの親子という感じである。菫のニヤッとした笑い方も父さん譲り、中学校までは凄く不気味に感じていた。懐かしいなぁ…

「菫ちゃんは、昭くんにあだ名を付けるとしたらなんて付ける?」

「う~ん兄ちゃんは兄ちゃんだからね、難しいよ。大体家族にあだ名を付けてるの、お父さんだけだもん」

「そっか」

しばらくリビングで三人、のんびりした…


「じゃあ、そろそろ僕は寝るよ。お休み~」

「お休み、父さん」

「乙~」

父さんが寝室の扉を閉める音まで確認して

「で、現時点での上司さんとの距離は測れた?あれからもう二週間だね!最近は兄ちゃんが忙しそうで聞けなかったから、気になってたんだよね!!」

「分かった。分かったから、近いって。」

菫を抑えつつ、俺はこの二週間の話を始めた…



妹の助言通り「距離」を測ることを意識してみて、分かったことが有る。

上司と部下の壁を感じることがある…気がするのだ。

別に嫌われているわけじゃない、むしろ良くしてもらっている。あの人の下で三年間働いてきた、俺自身が一番良く分かっていることだ。

俺が失敗した時、厳しく叱った後に必ず「…どこが分からなかったんだ?」と聞いてくれる。理解出来るまで根気よく教えてくれるのだ。他にも、厳しくはあるものの俺が仕事を出来るようになって欲しいという想いが感じられる。この人の部下じゃなかったら仕事を続けてはいなかったかもしれないな、と思う。

思うが、例えるなら「先生と生徒」「師匠と弟子」みたいな関係になっている気がする。どこまで仲良くなっても、ほぼ絶対に恋人関係になれない状態だ。

結局ここからどう進めば良いか分からない状況であることも含め、菫に洗いざらい話終えると

「へぇ、なるほどねぇ…」

少し難しい顔をしている菫

「ありがと、もう遅いからお兄ちゃん寝ておいでよ。詳しいことはまたにするから」

「おっ、おう分かったよ。じゃあお休み、菫」

「お休み~」

何か気にかかることでもあったのだろうか?そんなことを思いながら俺は眠りについた…


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