70、パーカッション
ふむ、自分の最後の話となってしまったか。ならば、とっておきの話をしよう。
自分が大学生の頃の話だ。当時バンドがブームになっておってな、自分も友人共々バンドを組んだわけだ。スリーピースバンドだったが、なかなか楽しい日々であった。その大学生の頃、スタジオを1日借りてパーカッションをしてみようと言う話になったんだが、その当日に予定していた友人が急病で休んでしまったのだ。仕方ないから、自分とあと元気な友人1人と一緒にそのスタジオに入ったものの、あまり盛り上がらない。それはそうだ。なにせ2人しかいないのだから。
だが、耳を澄ませばドラムの音が響いてくる。そしてギターも2重に聞こえ、それぞれが独立して音を奏でている。ふと見たら、友人の横に置いてあった、誰かのギターがひとりでに音を奏でている。そしてドラムも、スティックもないのに響いているわけだ。おそらく、スタジオにいる幽霊か誰かが、操作をしたのだろう。ただ、残念なことに、そのごそのスタジオの建物は取り壊されてしまい、今ではショッピングモールになっている。スリーピースバンドは、オヤジバンドで今なお活動中だ。




