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35、土蔵

私の祖父の家に、すごく立派な土蔵があったの。ただ、その土蔵の扉、開いたところを1度だけしか見たことがないんだ。

その1度と言うのも、曾祖父の野辺送りが終わった晩のこと、私の兄一人だけが、父親に連れられて中に入った時の1回きり。中で何をしたかは、兄は教えてくれなかったけど、家としてとても重要なことだと言うことだけは教えてくれたの。

でも、その時以外は、一切開けたところを見たことがないんだ。中がどうなっているのかは、全く分からないまま、その開かずの土蔵は今も祖父の家にあり続けてるわ。

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