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0、出だし
前回から数年の時を経て、再び一つの部屋に人が集まってきた。
「皆様方、準備が整いました」
私は、その場にいた9人に声を掛ける。
案内する部屋には、12時間用の長いロウソクが100本、すべて個別の燭台に立てられていた。
「蝋燭は100本。話は99つ。怖い話、不思議な話、聞いた話、見た話、なんでもござれ。では、始めましょうか……」
私が手をかざすと、次々と蝋燭に火が灯る。
だが、もはやそれは見慣れた風景の一つ。
だれも驚嘆の声を挙げぬ中、一人の男から、今回の百物語は始まる。