いつも通りの日々.....のはずが!?
夏休み。それは普通の高校生なら遊んだり、部活で過ごすだろう。オレみたいに家業をする高校生はどれほどいるのだろうか。別に嫌ではない。むしろ楽しい。だけど、さすがにオレでも遊びたいと思うときはある。せめて、1日だけでも皆と楽しく過ごしたい。それを、思い切って姉さんに伝えてみた。
「いいよ」の一言で終った。
「えっ?店はどうするの?」
「そんなの私に任せときな。高校生は遊べ」
驚いた。まさかこんなに簡単に了承してもらえるとは。でも、姉さんが仕事してオレが遊ぶのは何か申し訳ない気がする。ん?まさか、遙姉さんはこの気にゲームする気じゃ....。
顔がめっちゃニヤけていた....。
「姉さん!ゲームはほどほどにね!」
わかってるよ、と言って自分の部屋へ去っていった。
オレも学校へ行こう。
教室に入ると、「和也君!」と言う声が聞こえた。
「なんだよ。また優奈か...?」
振り返ると、茶色いショートヘアーの女の子が立っていた。少なくとも優奈ではなくこの人物は優奈の親友の川崎恵がいた。
「なんだ。恵か。何か用か?」
恵は、ちょっと顔を赤くして言った。
「あの、...その.....」
こんな感じで沈黙のまま。
そこに、優奈が現れた。
「早く言っちゃいなさいよ」
優奈はニヤけながら言う。
「和也君は夏休み空いてるかな?」
驚いた。これが運命と言うやつか。さっき、休みをゲットしてすぐに用事ができるとは。
「少しだったら空いてるよ」
「じゃ、その....海にでも行かない?」
海?これはヤバいだろ....オレは思春期だぞ。女の水着なんて見たら....
この考えを見通したのか、優奈がこう言った。
「恵一人で行かせるわけにはいかないわ。私も行くから」
別に着いていきたいわけじゃないんだからねッ、と付け足してね。
そこへ後ろから、祐樹が現れた。
「お前も行きたいくせに」
ば、ばか、んなこと言ったら....
「死んで生き返ってまた死ね!!!!」
踵落しがキレイに決まる。
やっぱりこうなると思ったよ....
地面に這いずりながら祐樹が言った。
「オレ達も行くぞ....」
そう言ったら、体つきのいい男が出てきた。
「俺たちも暇でな。男三人というのもアレだしな」
もうオレは入ってることになってるのか。
この男は、笹川大輔。
空手と柔道を嗜む、武道男だ。
でも、心は優しくてオレの親友でもある。
「ちょっとアンタ達!勝手に決めないでよね!!」
そんな怒ることでもないだろうに...
「なぁ、コイツらも一緒じゃダメか?男一人ってのもアレだしさ」
そう言ったら恵も共感してくれた。
「そうだよ!人数多いほうが楽しいし!」
二人に言われ、仕方なくと言う感じだが優奈もOKした。しかし、優奈は、
「でもさ、男3人女2人よ?これじゃ人数合わないじゃない」
誰か、誘えそうな人を考えてみる。
頭に浮かんだのは紫苑先輩だった。
あれから、何度かお礼に行き今では結構仲がいい。それに、あの人は後輩から慕われている最高の先輩だった。
「もう一人はさ、先輩でもいいのか?」
この言葉に、優奈と恵は驚いた。
「誰なのよ!」
「紫苑先輩」
もっと驚かれた。というより仲がいいことに驚かれた。
「コイツはついに先輩にまで手を出すか。この裏切り者ォ!」
この一言から、優奈がキレてオレのほうに寄る。
「和也ーーーーー!!!」
「ち、違うって今のは祐樹の嘘で....」
なんて言ってるうちに優奈のパンチで吹っ飛ぶ。
「まあ、許してやってくれ。祐樹は和也に嫉妬しているのだ」
してねーよ!と祐樹は言うがな。