いつも通りの日々.....のはずが!?
黒くて長く真っ直ぐな髪。男勝りな口調、性格、そして....この巨乳。間違いなくオレの姉さん霧谷遙だ。これだけはいつも変わらないのでほっとする。
姉さんはパンを焼くことだけは一流だが、この店の名前のせいで随分損をしている。しかし、変えるつもりは毛頭ないらしく、仕方なく今のままで続けている。
「何をしてたのだ?いつもならもっと早い筈だ。」
どうやらオレ達が遅いことに腹を立ててるらしい。
そんなことを考えているうちに優奈が口を開いた。
「ずっと気絶してたんですよ」
はぁ~、と溜息をつきながら言った。
「あれは、お前が悪いんだろ!」
優奈は赤くなりさらに反論してくる。
「アンタが弱いんでしょ!」
「お前が強すぎんだよ!このゴリラ!!!」
ゴリラという単語を聞いたとき、一瞬にしてオレの急所に膝蹴りが...
「ぐほぉっ!」
本日3度目の死の危険性。
そして、お決まりの台詞。
「死んで生き返れ」
冷酷無比な奴だ。
もめていたオレ達を、姉さんが止めてくれた。
「まあまあ、よさないか。仲がいいのはわかったから。まるで夫婦みたいだな」
この一言がさらにオレを突き落とす。
ふふっ、と笑ってどこかへ去っていってしまった。
「そ、そ、そ、そそそ、そんなんじゃないです!!!」
顔が真っ赤になりながら、俺に向かって拳を振るう。
何故だ....オレは悪くないのに。
なんとか生き返り、やっとバイトを始められる。
「遙姉さん。そろそろ店やばいよ?ずっと赤字で倒産すんぜんだよ」
そう、現に優奈のバイト代でさえ払えていなかった。いつでもいいとは言ってくれているがさすがに申し訳ない。
最近では、パンの種類が同じだから客が減り姉さん目当てや優奈目当ての客ばかり来る。それでおまけに買っていく、という感じで少しだけ売れる。
それだけだから当然赤字だった。
「ふむ....なら新商品を開発するか」
おおっ、とオレは反射的に言った。ここまで真剣になってくれたのは久しぶりだ。ついこないだまで、ずっと家でネットしかしてなかったから。姉さんはネットオタクだ。だから祐樹とも気が合う。
ずっと黙り込んでいた優奈がやっと口を開いた。
「季節の商品を入れたほうが売れると思うわよ」
さすが、優奈というところだろう。真剣に考えてくれてるだけでもありがたい。
「では、新商品を今月中に最低3個作る。一人1個アイデアを持って来い。」
新商品についての会議が終わり、いつも作るパンに取り掛かった。