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甘くて苦い少女たち  作者: 戸塚夢葉
第二章 沖縄でラブラブバトル!
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10年前の過去-渚との思い出

ナギは、その日ずっと俯いていた。いつもと変わらない表情を作ろうとしていたんだろうが、オレにはわかった。ナギの目は真っ暗な闇に包まれていた。

「大丈夫か?」

こう聞いても「うん」としか返ってこなかった。


その日の放課後、オレは屋上に向かう前にやることがひとつあった。

それは、ナギを屋上に来させないこと。

オレはナギに、図書室掃除があるから手伝ってくれ。と言って向かわせた。

屋上に向かうと5人くらいで待っていた。木の棒など、いかにも小学生らしい武器を持っていた。こういうところだけ小学生、つまりは漫画の読みすぎで果たし状なんか書いたんだろう。

「ケケケ、待ってたぜ。ぶっ飛ばしてやる」

巨体が突っ込んできた。ひょいっと避けると、他の部下的な連中が棒を振り回してきた。

小学1年生だから、力の差はほとんどなかった。だから当然人数の多い方が勝つに決まっている。でも、経験ならこっちの方が多いはずだ。昔から弱いと思われ絡まれることが多かったから、この年でケンカ慣れしていた。

一番大きい棒を持っている奴を殴って、武器を奪い他の連中を片付ける。これまで、何発も殴られ、顔にキズも多かったけどあんまり痛くなかった。ナギを泣かした。その怒りに身を任せ動いていた。

大将が残ったけど、もうすでに戦意はなくなっていた。「あ....あ」などと呻いていた。

「二度と、ナギに手を出すな」

睨みつけてオレが言った。

すぐに全員逃げていき、オレはその場に倒れた。

イジメっ子たちとすれ違うようにナギが来た。

オレのところにきて、いきなり抱きついてきた。


「ごめんね。.....ごめんね.......」

泣きながら、ずっと謝っていた。オレはナギが泣くところなんて始めて見た。


「私、友達いなくて...ずっと一人で.....」

この気持ちは痛いほどわかる。幼稚園のころからオレも一人だった。


「オレが友達だろ!」


ナギの肩を掴み、怒鳴っていた。

「友達ってのは数じゃない。本当に信頼できる奴なら一人でもいいんだ。って姉さんが言ってた」

ナギはさっきよりも涙を流し、「ありがとう....ありがとう....」

と言ってくれた。


このときの空は、雲ひとつない青空だった。

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