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甘くて苦い少女たち  作者: 戸塚夢葉
第二章 沖縄でラブラブバトル!
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10年前の過去-渚との出会い

渚と出会ったのは小学校の入学式。

ショートで青っぽい髪の色をしていたせいもあって他の新入生よりも目立っていた。

一目見たときから、何かに惹かれていた。

渚は小学1年生にはとても見えなかった。顔立ちもそうだし、性格もとても大人びていた。渚はとにかく喋らなかった。初めて喋ったのはそう同じクラスになってから1ヶ月くらいたったときだったかな。

オレは昔から一人でいるのが好きで、放課後は屋上で過ごしていた。あまり早く帰ると親に心配かけるから、だから夕方までそこで過ごしていた。過ごしていたと言っても何かしていたわけじゃない。何もしないでただただ時間が流れていくのを待つだけだった。

オレはいつも通り、屋上に行くと渚がいた。その時、初めて話した気がする。

渚は空を見上げていた。そしてオレは渚の目から一筋の涙が流れたのを覚えている。

渚はオレが来たことに気づくと、涙を拭いて立ち去ろうとした。

「あ、いいよ...ここにいて。オレがどっか行くから」

オレが立ち去ろうとして振り返ると、腕をつかまれた。驚いて振り返ると、渚はただ首を振っていた。

「行くなって事か?」

渚は頷いた。

オレはこのとき表せないほど嬉しかった。渚と一緒にいられるのが嬉しかった。

その日は渚はずっと空を見上げていた。オレも空を見上げていた。でも、時々渚も見ていた。

「ねぇ、霧谷くん....」

もう夕暮れ近いときに渚が口を開いた。

「なに?」

「何で、ここにいつもいるの?」

いつも、という語には気になったけど、オレは、

「友達がいないからかな....ずっと一人だからね。あんま早く帰るとお母さん心配させちゃうから」

この時、渚は切なそうな顔をした。

「そっか....。」

しばしの沈黙が流れた後、「もう帰るね」と言って、帰ってしまった。

渚と過ごした時間はとても短く感じられた。でも、幸せの時間だった。入学して以来、必要時以来、初めて他の人と喋った気がする。


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