わが少年の日々のかがやきmy brilliant boys days (お祭り編)
昭和30年代、
祭りは1年の最大のイベントでありまた最大の娯楽でもあった。
これといってほかに娯楽もない時代、
やっと各家庭にはテレビが普及し始めていた、こんな山の中の片田舎にもテレビがやってきたのだ。
しかし、まだというか、1年の最大の娯楽は祭りだったといえようか。
私のすんでいる地方の中心地の町では山車祭りが年に一度開催されるのである。
私もはるばる山を越えてこの町の祭りに行くのである。
祭りそのものの歴史だとか文化財について私は語ろうとは思わない、というか私なんかがそんな専門を語れないだろう。
私が語りたいのはあの、露天商の有る祭り独特の雰囲気についてである。生臭いアセチレンバーナーの炎がゆれてその先には妖しい異形の世界が広がっていた。
見世物小屋には牛おんなが描かれたおどろおどろしい絵看板が、掲げられて、客を招く口上はだみ声を張り上げていた。クマ娘、蛇おんな、なんてのもある。
『さあさあ、見てください、牛おんな、親の因果が子に報い二目と見られぬこの姿。さあ、ちょっとだけですよ、顔を出してください。やえちゃんやーい」
スピーカーからはなんともいえない雑音と共に、口上が、がなりたてられて誘客し続けていた。
広場のテント小屋はアンダーワールドそのものだった。
こちらのテントはオートバイサーカスのエンジン音が轟渡り、またこちらでは犬のサーカスが可愛く演じられれ、勿論定番のお化け屋敷のテントもあるし、射的、スマートボールもある、
そして小屋がけの広場を出れば、町の大通りは露天商が珍しい商品を売っている。
こちらでは型抜きが、針でうすべったい菓子の型を抜いていく。美味く抜ければ商品がもらえる。
こっちでは、ブリキのおもちゃ屋だ、チンチン鳴らした電車や、木馬のおもちゃ。
そしてセルロイドのお面やもある。アトムに鉄人、オタフクにヒョットコ。
おやこっちには、焼印屋だ。家印の焼き判がたくさんあるぞ。
篭やの店も有る。農家のおじさんがザルと篭を買ってるぞ。
農具の店もあるね、鍬、鋤、鎌、サクきり、
そして飴細工やだ、これは凄い。手先一つで飴を伸ばし色飴も加えて金太郎、鬼、美人、小鳥と何でも作っていく。これは芸術品?だ。
リンゴ飴、みかん飴も売ってるぞ。イカ焼きがこうばしいなあ、
お好み焼きにたこ焼き、焼きそば、乾物やもあるぞ、ここの剥き身タラ美味いんだよね。
占いやもあるぞ、貧相な身なりで自分のことでも占って金持ちになればいいのに、
人のことばかり占って、自分の幸運も占えないのか?と、子供心にも疑問に思いましたね。
中には妖しげな店も、今でいう、ぼったくりやである。
木の弱そうな農家のおじさんが騙されて二束三文の物を大金で買わされている。
べっ甲飴も売ってるぞ、あ、薄荷パイプだ。これ鼻がすーっとしていいんだよね?
そして山里の名物といえば吊るし柿の縄のれんだ、
干し柿である。この地方の名産品。
なつかしいなあ。え?今お前は何処にいる?
2009年だろ?
この風景は昭和38年だよ、もう何処にもないんだよ。
お前の心象風景の中の原風景として以外にはね。




