大混乱
「で、なにか言い訳は?」
赤川が仁王立ちしてせまってくる。
俺の部屋。
どさくさにまぎれてしこたま飲ませたら目がすわった。
言い訳って、赤川にしないといけないのか?
「友達と同棲か?」
「ど、同棲って…同居だ同居。」
ティルとカーエルは出かけると言っていち早く逃げた。
逃げ遅れたサーベルだけが残っていた。
あいつら飛べるのに、鳥目じゃないんだ。
「こいつは何を怒っている? たまっているなら俺とするか?」
思わずサーベルの口をふさぐ。
「おま、何言ってるの!」
「お前、たしかサーベルといったか。お前こいつとどういう関係だ。」
「こいつは家主だ。俺らは今は帰るとこがないからな。」
そこでぺかっとひらめいた。
「そうだ、サーベル、お前赤川のとこ行けば?こいつんち広いし。この狭い部屋に男4人はむさすぎる。」
うちの家は1DKの古いアパート。
たいして赤川の家は独り暮らしなのに、2LDKの広々マンション。
「男4人が嫌なら女になってやろうか?」
いうなり前にティルがしたようなキラキラとボキボキ。
「欲情するか?」
ナイスバディな胸を押し付けてくる。
「なんだ!これもコスプレか?さっきのキラキラは特殊効果か?」
サーベルを俺から引きはがし、その見事な胸をわしづかみにした。
「本当にこれ作り物か?それともこれを隠して男の方が偽物…それはないな。あの半裸な衣装でこの胸を隠すのは無理がある。」
酔ってる割には冷静だな。
「女の胸もんどいて、えらく冷静だな。 お前は女抱くより抱かれたいのか? なら男に戻ってやるが。」
「な。失礼な。俺は男とか女とかで抱きたくなったりしない。俺は香月が好きなだけだ。」
おっと、予想外の告白を受けてしまった。
そうだったのか。とおれがしみじみ考えてる間、サーベルは着々と男に戻り、赤川を押し倒していた。
「おい、サーベルこんなとこでいたすな。」
「うるさい、食事の邪魔をするな。」
やっぱ食事なんだ…
「やめろって、サーベル。こんなとこでいたすな。俺だっているんだぞ。」
「じゃぁ、お前がでていけ。」
「俺の家だ! サーベル!」
「サーベルサーベルうるさい。ベルで良い。 ティはルゥって呼ぶがな。」
俺にしゃべりながらもてきぱきと赤川はひん剥かれいっていた。
「おい、ここでするな。家帰ってやれよ。」
「なんだ、お前も混ぜてほしいのか? 俺はかまわんぞ?」
そう言って引き倒された。
話が通じない。一方通行だ。
「ルゥ、ひろむが私のものだって知っててやっているのか?いくらお前でも許しませんよ?」
ベルの下から引っ張り出された、つかまれた腕が痛い。
「僕もお腹すいたなぁ。 僕はまざろうかな。今から食事を探しにいくのもめんどうだし。」
カーエルが嬉々としてまざろうとする。
「お前ら、こんなとこでいたすな! せめて赤川んとこ行ってしろ。」
思わずそうさけんだが、良いのか? このまま犯らせて。
「しかたないな、お前の家へ行くぞ。家どこだ。」
完全に酔いが回ってぐったりした赤川を連れてうちの家から飛び立った。
「あ…」
止めようとしたが、時すでに遅くバサバサっと行ってしまった。
「ひろむ、まだたべられてませんね?」
ティルに抱きしめられてさっきとはちがってどきどきする。
サーベルに引き倒されたときは柔道やプロレスみたいでなんとも思わなかったのに。
しかし、あいつが俺を好きっていつから? どうして? 俺のどこを?
「あの、ベルの食事やめさせられないかな?」
「あの男が気になるんですか?」
「いや、それほどでもないけど。酔ってるやつをっていうのが抵抗ある…かな?合意の上なら問題ないけど。」
「ひろむ、まさか好きって言われて…」
「ないない、大体あいつはただの上司だ。」
慌てて否定する。こいついつから見てたんだ。
「お前出かけるとかって逃げといてずっと見てたな。」
とたんにあたふたしだすティルがなんだかかわいい。
「止めるのは簡単ですが、彼らもお腹がすいてると思います。そんな彼らを止めるんですからわたしもうらまれるかもしれません。こんな仲間が彼らしかいない異世界で仲間割れするのですからここはご褒美がほしいとこだと思うのですが…」
まぁ確かにごもっとも。
「何をすれば?」
ぎゅっと抱きしめられて唇をふさがれる。
甘いキス。
頭の芯が熱くなる。
「ごちそうさまでした。」
ぺろりと名残惜しそうに俺の唇をなめ、夜の空に消えた。
止めにいってくれたんだなぁっとちょっとほっとしてぼんやりと後姿をながめていた。




