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第十六話:本物との出会い

“小広間購読室”を後にした僕は再びこう思った。


「あーあ、食堂の目の前まで飛べればなぁ…」


「飛べればなぁ…」


アテルも僕の後に続いてそう言った。その時ーー!目の前が真っ白に!やけにガヤガヤする。ゆっくり目を開けるとそこは予想通りの

食堂前に突っ立っていた。周りをキョロキョロ見ると、白い光が見えたかと思うと人が出て来て当たり前のように食堂に入っていく。

ほんと便利だな…最初歩いたのはなんだったんだ。てか、案内紙に書けや!と、思った。


「マルネ?私…早くご飯食べたい…」


アテルの目はもう今にも泣きそうだった。


「分かってるよ。安心して。さあさっそく何があるか見よう?」


「うん…」


アテルは小さくつぶやいた。どうやらもう腹が空きすぎて元気がないのだろう。

アテルの手を握り早速何があるのかを見てみた。


“ブラックベアーのシチュー”、“スライムスープ”、”装甲鮭 焼き魚卵を添えて”、“刀魚定食”、“ごちゃ混ぜ炊き”、“ラビットのトマト煮込み“

”ブラックベアーの丸焼き”、“豚丼 スライムスープ付き”などなど


他にも種類はあったがとりあえず目にとまったのはこの8つの料理だ。どうやら値段は一括15エスカだ。

結構安めである。昨日の精霊の癒しで見たけど、食堂のみなら110エスカ。ここは入るのも無料であり食堂も無料。なんか元は取れているのだろう…

そう僕は勝手に思った。ところで僕が食べたい!と思ったのが“装甲鮭 焼き魚卵を添えて”だ。なんか装甲?よくわからないが美味しいのだろう…

ただそう思った。一方アテルは黙ってメニューの方を指している。指している先の料理は「ごちゃ混ぜ炊き」だった。


「アテル??それ食べたいの?」


「うん…これ気になる…」


正直僕は意味がわからない食べ物は食べれないのだが、よくわからないものを気になる…ただそれだけで頼む…

そういうところのアテルを尊敬したいと思った。

僕は少し悩んだあと、食堂の奥にある注文台へと歩いた。どうやらここでは料理の名前を言うと、魔法で料理が出てくるらしい。

並んでいる人たちも、皆それぞれ好きな料理を口にしては、ふっと光った皿を受け取って席へ向かっていた。


「すみません。“装甲鮭 焼き魚卵を添えて”と、“ごちゃ混ぜ炊き”をお願いします」

そう言うと、注文台の上に置かれていた黒い板がふわりと光った。

すると、白い蒸気と軽い音とともに、二つの皿が目の前に現れた。


「わぁ…」


アテルの目が一気に輝いた。


“ごちゃ混ぜ炊き”は名前の通り、色々な具材が入った炊き込み飯のようだった。

肉、野菜、そして見たことのない青い豆のようなものまで入っている。

一方で僕の“装甲鮭”は想像よりも大きかった。

思わず声が出そうになった。

分厚い鮭の身の表面には、まるで鎧のように硬そうな皮が残っている。その横には金色の魚卵が添えられていた。


「マルネ、それ美味しそう…」


「そっちもなかなかすごいよ」


そう言いながら、僕たちは空いている席を探してようやく座れた。僕たちは二人だが三人席しかなかったので。とりあえずそこに座った。

そして


「「いただきます!」」


二人同時に手を合わせた。一口に入れて口がとろけそうにおいしい。

装甲鮭はカチカチだが香ばしく美味しい。一方金色の魚卵。なんの魚卵かはわからないがとにかく美味しい。

一方アテルの方は…というとバクバク食っている。


「おいしい…初めて…昨日のシチューよりもおいしい…かも」


「一口食べていい?」


「うん…マルネのも食べていい?」


お互いに頼んだ料理を食べてみた。…ごちゃ混ぜ炊き?もそれなりに美味しい。色々な食材が入っている。

レッドキャロットや、電気芋、レッド・ポテト… デビルズ・ダング…

互いの美味しさを引き立てあってる…味オンチ気味の僕でもわかるくらい美味しい。

二人で料理を堪能していると…


「ちょいとそこのお二人さん?席いいか?」


誰だろう?と振り返るとそこには人間とはは違う雰囲気だった。普通人間なら髪色は単色だがこの男は髪色が赤と白と黒だ。

それに目は赤黒いし…そしてイケメンだ。大体年は同じくらいかちょっと上に見える。

どうやら席に座りたいらしい。


「ああ、どうぞ。座って」


「ありがとう。お兄さん」


そう言って空いてる席にその男は座った。無言で僕と同じ“装甲鮭 〜魚卵を添えて〜”を食べている。


「ところでお兄さん?お名前は?俺はアスラ・ベリアルだ。まあ、その魔人だ」


「魔人…なんだね。僕はマルネだよ。」


「お前…俺の事怖くないのか?ベリアル家と聞いて怖くないのか?」


「ん?別になんともないけど…」


男…アスラは目を大きくして腹を抱えて笑った。


「ハッハハハハハ…この世の中。このご時世でベリアル家を知らないとは!こりゃ面白い…ハッハハ…!」


僕は何を言っているのか分からなかった。ベリアル家?なんじゃそれ。って言うくらいに分からない。

ここでアテルが僕の腕を引っ張り、


「この人…大丈夫…?」


流石のアテルもこのアスラ?を心配しているようだ。


「あのー…大丈夫ですか?」


「ハッハハ…うーん?俺はいつだって大丈夫だ。なにせ魔人だからな!ところでおたくらパーティー組んでるかい?

 そのマルネの胸元のバッジ…ルネーだろ?俺もルネーだ。さあ、俺と旅をしてくれ!」


先程の魔法学園 エカテニーナに出て来た。魔人というワード。魔人でこういう風なのか…?

そう思っているうちに


「マルネ。お前パーティー組みたくないのか?魔人の俺が?しかもベリアル家だぞ?」


「待って!僕達はパーティーを組んでいる。もう一人メンバーがいるんだ…その人と話してからでもいいかな?」


「おう。いいぜ。その代わり会うまで俺はお前についていくからな!そして、何があっても俺が守る!」


と、言われてしまった…アテルもしかめ顔になっている。

どうしてこうなってしまったんだ…?

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