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第十五話: 知への欲求

僕とアテルはただひたすら歩き続けてようやく“H-55”棚についた。ここからさらに九番目に行かない…まじ広すぎだろ…そう思った。

アテルも息切れしている。もう限界そうだが後少しで魔法学園に書かれた本がある。そう思うと不思議と力が湧いてくる感じがする。

僕、アテルは息切れをしながらようやく九番目に着いた。


「ハァ…ハァ…アテ…ル”H-559”に着いたよ…ほらあそこに魔法学園についてって書かれた本があるじゃないか」


そう僕が言ったら不思議な事に本が自分の手元に飛んできた。その本にはこう書かれていた。

“魔法学園 エカテリーナ”と。これは完全にクルの言っていた学園だなと理解できた。

その本はずっしりしていて僕でも重たいと思った。購読室まで僕が持っといてやろう…そう思いアテルに声を掛けようとした。


「マルネ!その本…魔法学園のやつでしょ?私が行くんだから私が…持つ!」


「いやいや、これ重たいよ?大丈夫?僕が持っててもいいんだよ?」


「いいや!私が持ちたい!」


あまりにもずいずい迫って来たので困惑した。でも…と声を出そうとしたがやめといた。何故ならアテルは完全に持つ!と言った。

目にも決心が現れている事が僕でも分かるほどだ。


「…分かった。いいよ。でも購読室まで耐えられるかな?」


「耐えれるもん。持てるもん」


と言い”H-559”を離れた。そういえば購読室どこだろう?と思いぶらぶら先程ひたすら歩いた入り口の方に向かっていた。

そしたら宙に浮いている看板を見つけた。そこにはこう書かれていた。

“小広間購読室はこちら→大広場購読室はこちら↑”

また歩くのかぁ…と思いつつ


「アテル。とりあえず小広間購読室?に向かおう」


「うん…(重たい…)」


アテルは大きな本を持ちながら小声で言った。アテルの為にもなるべく早く購読室についてほしい…そう思った。

その時!目の前が真っ白に!


「「うわっ!?」」


二人で目をゆっくり開けると、“小広間購読室”と書かれた門札が置かれた広場の前に立っていた。

うーん。このバルバ王国図書館は変わった事が多いな…と。淡々と上に長い空間。名前を呼んだら飛んで手の上に乗る本…突然目の前が真っ白かと思いきや購読室…の目の前にいる…

魔術の類いなんだろうと思うが僕はちょっと魔術に興味が湧いた。“小広間購読室”には人があまりいない。

でもまあいい。人がいない方が集中出来る。そう思い一番近かったイスに座って“魔法学園 エカテリーナ”と書かれた本を開いた。


“魔法学園 エカテリーナ“

人間、エルフ、魔人…色々な種族の人が集まる魔法学園 エカテリーナ!さあ今すぐ入学を!

15歳から入学可能!これがなきゃ入れない。基礎体力がなきゃ入れない。そういう制約はありません!

就学コースは火・水・風・土の四大魔法の「魔法基礎+応用」に、古代魔法や転送や転移の魔法…などなど詳しくは入学でき、一番最初の校内集会でどれにするか選んでもらいます。魔法学園 エカテリーナはバルバ王国の北方のアキネ アトラン山の中腹にあります。

在学期間は〜三年です。ぜひ魔法学園 エカテリーナに入りましょう!

ここだけの話エカテリーナ出身だけで色々な事が有利になるよ!


などなど…色々と魔法学園 エカテリーナに書かれてあったが詳しくは書いてなかった。

少し怪しい…なんで全部出さないんだ?と思ったが、もしかしたら出せない理由があるかもしれない…アテルの決心を裏切りたくない…

決して「そんな怪しいとこ行くな!」なんて言っちゃダメだと心の中で深く決めた。


「ねえ?マルネ?私…やっぱここに行きたい…強くなりたい…ところで魔人?エルフ?って何?」


うん…やっぱアテルの決心は深いなと理解した。アテルは魔人やエルフって何と聞いてきた。僕もさっぱりわからない。


「ごめん…僕もわからないんだ…そういう本があればいいんだけどね」


と口にした。そしたらやけにぞわぞわした。何かが飛んでくる…気配を感じた方を見るとまたまた本が宙を飛んでいる。

しかも、今回は飛んでくる速度が速い。僕は反射的に手を出した。手に本を持っている感触がした。

ゆっくり目を開けると手にすっぽり本がはまっていた。持っていた本は魔人関連の事が書かれた本だった。

僕はふと思った。あれ?これってここで強くこれがほしい!と思えば向こうから飛んでくるのでは?あれ、僕たちが息を切らしながら歩いた理由とは?まさか無意味だったのか。僕はショックだった。だけどそうと分かればもう歩かなくて済む。ちょっとほっとした。

そう自分で思っていたら僕の手にあった本が消えていた。あれどこだ?と自分の身の回りを見ていたら、横から、


「わぁー魔人ってこうなのかー」


とアテルが言っていた。そう僕の手から本を取ったのはアテルだった。に、してもいつの間に取った?と思ったが今はそんな事考える暇がない。

とりあえず魔人について書かれている本を見た。


「アテル。見せて」


「うん。いいよ」


”魔人とはー他の種族に比べ、生まれた時から魔素濃度が高い人、または魔力から生まれた存在。長い寿命を持ち、非常に魔法を使う事に長けている。魔人はある程度生きると死ぬ。しかし、魔死ぬ間際に魔素を全て使い切らないと死なない魔人になる。その場合悪魔となり無差別に生物を襲うようになる為注意。“


と書かれていた。もっと詳しく書かれている。さあ見ようと思った時。

「「グウゥゥゥ〜」」

二人のお腹が鳴った。そういえば今日朝ごはん食べていなかった。どうやらここには昨日の”精霊の癒し“のように食堂があるらしい。

そこで飯食ってもう一度本を読もうとアテルに提案した。


「うん。いいよ。私もお腹…なったしね」


呼んだ本はどうやらほったらかしにすれば自動的に元の位置に戻るらしい。あの地獄の距離を歩かないだけでまるで心の重りが取れたかのように

気分が楽になった。そうして僕はまたアテルの手を握り食堂を探しに小広間購読室を後にした。

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