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今日も狂世界  作者: あたくる
第1章 ようこそ狂世界へ。
8/8

休日裸族

ジリリリリリ、ジリリリリリ、ジリッ


「……。」


 目覚まし時計の音に起こされる。外の車の走行音がぼんやりと聞こえるほど部屋の中は静かさで満ちていた。ゆっくりと体を起こして部屋を見回す。


 やはりにょこは消えていた。


 予想していたとはいえかなり心に来る。1日だけの関係だったけどそんな事を感じない程に楽しかったな……


 というか今日は肌寒いな。まさか「氷漬けな世界」とかやめてくれよ。

そんな事を思ってそのまま布団にうずくまる。と、布団の感触が直に伝わる。


「……って上服着てねえじゃん。」


 そりゃあ寒いわけだ。いつの間に服を脱いだんだか。このまま半裸の状態で犬みたいに丸まっとくわけにもいかないので布団をめくり着ていた服を探す。

が、どこにもない。


「あれ?布団に埋もれてもないし、ベッドの下とかにも落ちてないな。」


 部屋中探すものの見当たらない。あの服、ヌヌーピーが描かれてておきにだったんだけどな。仕方ない。寒いし別の服着るか。

クローゼットを開けて服を探す。が、まさか……あり得ない。


「服が一枚も入ってない……!」


 いや、正確には“服”はある。ズボンや靴下、パンツは今までのまましっかりと残っている。けど上服と肌着だけ消えている。どういう事だ?男子高校生のトップスが性癖な空き巣にでも入られたか?……な訳ないよなぁ。


もしかしてこれが今日の世界?


――――――――――――



インターネットを覗いてみたけど、やっぱり思った通りだ。この世界には『上服』だけが存在しない。町を歩いている人やテレビに出演している人みんな上裸だ。

 今日が学校のある日じゃなくて良かった。もし今日が平日なら……うん。合法ではあるんだろうけども、ちょっと刺激が強すぎる。自我を保てる自信が無い。


でも、まぁこのまま何もしないままってのは勿体ないし……


その後、俺は散歩をしに行った。あくまでも健康上の目的で。




――――――――――――

 

 「うぅ、、、寒っ。」


 それもそうだ。今は四月の初め。春ではあるものの、朝晩は冷える。ましてや今日は上裸。朝の静かで少し冷たい空気を肌全体でダイレクトに感じ身震いが止まらない。こんなにも服の重要さを感じたこと、初めてだ。

しかーし、見事な景色は大いなる困難を乗り越えた先に待っているというもの。こんな事で決して折れたりはしない!




「なんで、なんで……?」


30分後、俺の心はズタボロに折れていた。

どうしてこうなったか教えてあげよう。

 まず寒い。もう本当。いや、寒さなんて慣れるかと思うじゃん。全然そんな事ないし。普通に舐めてた。だってさ周りの人も普通に上裸なんだよ。「あ、意外といけるんだー」とか思うって。こいつらまじでどうなってんの?

しかもなんかこう、寒さってだんだん体より心にダメージ行くようになるじゃん。もう、辛いよね。


 次に人が全然いない。まぁ休日の朝だしそりゃあいないよね。これは完全に俺のミス。けどさ、それでも辛うじていた人達がさ、


1人目、散歩してた80代くらいのお爺さん。

 まぁ分かるよ。元気でいいと思う。今日は特に。


2人目、自転車で颯爽と駆け抜けて行った。30代のお兄さん。

 え、寒くないんですか?すっごい涼しい顔してたけども。寒さ耐性MAXじゃん。


3人目、自販機の前で謎のダンスを披露していた全身黒タイツ(上半身部だけ裸)の名探偵コ〇ンに出てくる犯人みたいな男。

 ん?

 どこからツッコんだらいいのかわからんのだけども。上裸なのは仕方ないとして、何その格好。犯人じゃん。首から上だけ黒ハゲになってんのクソキモいし。

あと、なんでダンスしてんの?しかも社交ダンスを。1人で。

は???

取り敢えずこいつを通報できてないまま世に放ってしまったのは反省してる。

ごめんなさい、全人類。


4人目、チワワと散歩してたポニテの中年小太りオッサン。

 前の奴のインパクトが凄すぎて薄れてるけど、こいつに1番腹立ってるからな。バケモンの後はさ、バランス取る為に美少女が来るかなって期待しててよ、向こうから小型犬連れてポニテの人が来るじゃん。確定演出来た!ってウキウキしてたらコレだよ。さっきのバケモン召喚して襲わせたろかボケナス。オッサンがチワワ飼うなよ。いや別にいいけどさ。もう。


5人目、自転車に乗ったままチワワを引き連れて、ダンスを披露しながら颯爽と駆け抜けて行った80代の全身黒タイツ以下略のポニテ小太りオッサン。

 ……なんでフュージョンしちゃうかな。



 きっとこれは良からぬ事をしようとした俺へ神様から天罰が下ったんだ。そうに違いない。もうおとなしく帰ろう。



 意気消沈しトボトボと帰路につく彼の背後から1人、誰かが近づいていた。


「アイツが例の子かぁ。どんな子なんだろ?」

そう小さく呟き、彼の元へ駆けて行った。







空が黄緑色になってから4日。



今日も世界は狂ってる。

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