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今日も狂世界  作者: あたくる
第1章 ようこそ狂世界へ。
7/8

さようなら、ネコ型ロボット

 何とか午前の授業を終え昼休みにはいった。しかし驚いたな……まさかAIが全ての授業を行うなんて。人間の先生も居るには居るけど、あんなの『先生』じゃなくて『生徒を監視するだけの置物』だぞ。

 あと授業の行い方も全然違う。集団授業じゃなくて個人でそれぞれのスピードで進めていく感じだ。まぁ普通に分かりやすかったし良かったとは思う。でもどこか物足りなさがあった。やっぱり1人だけという所に寂しさを感じるのだろうか。


「私がいますよ。マスター。」

突然にょこに話しかけられた事に驚き、思わず体をビクッと跳ねてしまう。


「おまっ、なんで……?」

「あれ?寂しかったのではありませんでしたか?」

そう言って少し笑った表情を浮かべる。


 心を完璧に読まれた俺はこいつが魔法か何か使えるのかと思い問いかけた。

「そうだけど……もしかして俺の心が読めるのか?」

「読心術の様なものは使えません。が、顔の表情や目線などを読み取り、データを参照することでことである程度の推測はできます。」

「お前って凄いんだな……」

 最先端の技術にひどく感心した。


初めてスマホを使ったおじいちゃんの様な顔を前ににょこは得意げな表情をしながらこう言った。

「もっと褒めてくれても構いませんよ。あと『お前』ではなく『にょこ』」です。マスター。愛と敬意が足りてませんよ。」


うざい。もう二度と褒めないでおこう。


「そーいう所ホントかわいくねぇよな。」

「語尾に『にゃん』でも付けましょうか?」

「いいってw。」


 何故だろう。他のAIとは違ってこいつだけは心がある気がする。キレイとは言えないけれど。


「なんか元気出たよ。ありがと。」




「当然ですにゃん。」


―――――――――――――――


キーンコーンカーンコーン



 放課後を告げるチャイムが鳴る。最適化された学校もこれで終わりだ。後は家に帰るだけ。

「車の準備が出来ましたにゃん。さぁ帰りましょう。マスター。」

こいつ語尾ににゃん付けるの気に行ってるな。

「ああ、そうだな。」

 待てよ。そういえば今日は金曜日だったな。明日学校ないしどっか寄り道して帰るか。


「なあにょこ。ちょっと寄り道して帰らないか?」

「構いませんが一体どちらへ?」


 もし明日もいつもみたいに世界が変わるならこいつとも今日でお別れだ。なら、ちょっとぐらいはこいつの願い事でも聞いてあげようか。


「お前、カスタマイズして欲しいんだろ?」

「そうですが、どうかしましたかにゃん?あと『にょこ』です。」

「いや、せっかくならしてあげよっかなって。」

「本当ですか!マスター!」

 目を輝かせながら今日1の笑顔でこちらを見つめてくる。

「マスターにも意外といい所があるんですね。覚えておきますにゃん。」

「『意外と』ではなくて『いつも』な。」



 そうして俺らはカスタムショップへと向かった。


――――――――――――――


 店には案外早く着いた。中に入ると優しそうな店員さんが出迎えてくれた。


「なあ、そういやお前は一体どこを改造して欲しいんだ?」

「フフッ。それはやってみてからのお楽しみですにゃん。あと『にょこ』にゃん。」


そう言ってにょこは店員さんと一緒に店の奥へと進んで行った。


 小一時間ほど待っただろうか。そろそろ1人しりとりも5回ほど「ん」がついて限界がきていた。

すると奥から「終わりましたよ。」と声がした。


 あいつは一体どんな姿になったのだろうか。「かわいくなりたい」って言ってたしリボンが付くとか 色が変わるとかかなぁ。

 そんな事を考えていると新しくなったにょこがやってきた。


「どうですか、マスター。」


「・・・どーゆーことだ?」


 にょこは浮いていた。いや、浮くよりも飛ぶと言った方が正しいな。

 両サイドと後ろからプロペラが新たに生え、宙を舞っていた。


「なぁ。それで良かったのか……?」

「何を言ってるんですか。マスター。この小さい体では少し移動するだけでもかなり時間が掛かってたんですよ。それが飛べるなんて……便利という言葉だけでは表せないにゃん。まぁマスターにはわからないでしょうけど。」

 確かに空を飛べるのは便利だったけども。


「お前かわいくなりたいんじゃなかったのかよ。」

そう言うとにょこは「ふんす」と鼻息を立てながら反論してきた。

「そうですけど。なのでしっぽを生やしたんですにゃん。ただ、今はプロペラとして使っていますが。あと『にょこ』です。」

「お前がそれで良いならもういいよ。」

本人は幸せそうだしこれで良かったのだろう。


「あの……お客様、代金の支払いを。」


 そう言って店員さんは俺に結構お高い額を提示した。


 こいつ……、事前に言ったら断られるからわざと言わなかったのか。

「マスター。よろしくにゃん。」

やはりこんな事する前に最初から電源を切っておくべきだったか……。


そうして俺はなけなしの金を払い店を後にした。


――――――――――――――


家に着いてから俺はにょこと最後の時間を過ごした。こいつはいい話し相手になってくれてどんどん時間が溶けていき、気が付けばもう寝る時間になっていた。


「マスター。明日が休日だからと言って夜更かしするのは良くないです。もうそろそろ寝ましょう。」

「わかった。おやすみ。にょこも早く寝ろよ。」

「『にょこ』じゃなくて『おま』……ってやっと名前呼んでくれましたね。」

「まぁ最後くらいは、」

「最後?」


やべっ。思わず口走ってしまった。


「何言ってるんですか。マスター。にょこはずっとマスターと一緒ですよ。」

「……。そうだな。そうだといいな。じゃあ、おやすみ。」

「おやすみなさい。マスター。」

 俺たちは静かに目を閉じた。





今日は“AIが超発達した世界”か。案外楽しかったな……


にょこ……。何だかんだでいいやつだったな。


消えて欲しくないな……。





zzz……



空が黄緑色になってから3日。



今日も世界は狂ってる。

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