日常に優しい彩りを
吐きそう……
怒られながら急いで朝ご飯を口に詰め込んだせいだ。というか母さんの出す朝ご飯のチョイスが終わってる。なんだよパン、納豆、ヨーグルトって。和か洋か統一してくれ。発酵食品でパーティーを組むな。
てか! 空だよ! 主犯は!勝手に色変わりやがって。こんな変なことがなけりゃもっと優雅な朝のひと時をすごせたのに。元から空は黄緑色だとか知らんし。じゃあ俺の生きた16年は何だったんだよ……。
何処にも吐けない愚痴を心の中で垂れながら学校に向かっていると面倒くさい信号に引っかかった。ここの信号赤の時は1分ぐらいあるのに青の時は10秒しかない。ただでさえ時間が無いのに……
信号……
青……
待てよ、信号の青って色的には緑なのに青って呼ばれてるよな。もしや何か関係が……!緑なのに青って呼ばれて悔しくなって青といえばな空を奪ったとか――!
……なんだそれ。仮説を立てるにしても酷すぎる。第一それが正しかったとしても俺だけが異変に気付けることの説明がつかないし。
「あ、信号。」
気が付けば赤色だった信号はいつの間にか青の光を点滅させていた。
俺はもう1分足止めを食らった。
―――――――――――――――
何とかチャイムが鳴る3分前に教室に入ることができた。
「おはよー。ってなんだその疲れた顔。」
俺のことを心配してくれるこいつは友達の天内 玲王だ。
「おはよ。いやー朝から色々あってな。」
「乙。」
「冷てーな。もっと労ってくれよ……」
色々な事がありすぎてこういう当たり前な日常が嬉しい。
もしかしたら空の事こいつに聞けばなんかわかるか?
「今日はいい天気だな。」
「お前それ話すことが無くなったときの最終手段じゃねーか。」
「いやまぁ、それはそうなんだが単純に今日は良く晴れていいなーって。」
「確かに霽れてて気持ちの良い日ではあるけど、わざわざ話題に上げるほどか?」
「いや~この当たり前感がなんかエモいよな~って。」
「んーまぁきれいな黄緑空ではあるけど。」
“黄緑空”とかいう聞きなれない言葉に脳が若干思考停止する。
やっぱりこの世界は空の色が黄緑色なのがデフォルトなんだな。
「わかった。ありがと。」
「ホントに何なんだ?頭でも打ったか?」
「腰は打ったな。」
「お前には元気でいてもらわないといけないんだから気を付けてくれよ……」
「玲王は優しいな……」
「そうだ、お前が好きって言ってたキャラのぬいぐるみ昨日ゲーセンで取れたからあげるよ。」
「玲王……!」
玲王の優しさに浸っていたおれはもう空の事など完全に忘れていた。
空が黄緑色になって1日目。
今日も世界は狂ってる。




