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第8話



鈴木さんと話して別れた後、俺たちはダンジョンにやってきた。



「懐かしいなー!俺もここでゴブリンを倒したぜ!」


「俺もお前も二年前だよな。あれからダンジョンに行ってないのか?」  


「あれからは一回も行ってないぜ!流石に命を賭ける度胸はないからな!それに女の子達が悲しむし」


「……まぁ無理しないことが一番だな」




命を賭けることをしないのは確かに最善だな。女の子が悲しむのかはよくわからないが。



「じゃあ早速何を倒すんだ?」


「ホーンラビットに決まってるだろう?もう依頼を忘れたのか」


「ホーンラビットもそうだけどそれだけじゃ稼げないだろ?他になんかいないのか?」


「じゃあスライムとかどうだ?たまにドロップする『スライムのジェル』は高級な化粧品に使われるから確か4000円ぐらいで売れる」

「マジか⁉︎じゃあスライム倒そう!」


「まずはホーンラビットを倒すのが先だ」


「わかった!じゃあ早速行こうぜ!」


「お、おい!先に転移陣に入るな…ってハア、俺も早く入ろう」



ほんとに心配だ。一応俺が見てるから大丈夫だとは思うんだが……




◇◆◇



「おーー!!相変わらずすんごい景色だな!」


「いつ見てもすごい景色だよな」



青々とした雄大な空、一面に広がる芝生

今度ピクニックしてみるのもいいかもな。



「じゃあ早速行くか!」


「待て!一応確認するが、武器の使い方はわかってるんだろうな?ちょっと素振りしてみろ」


「わかってるって!見てろよ!」



普通の振り下ろしは、うん、少し遅いが

ホーンラビットを何回かで倒すぐらいは出来るな。



「後は突きだ」


「こ、こうか?フン!ふん!」

「もう少し腰をいれて」


「こうか?…フン!おぉ!確かに、こっちの方が安定するな!」


これぐらいならすぐに依頼を達成できるだろう。



「ホーンラビットの気をつけることはツノだからな。だが、ツノが小さい上に直線にしか攻撃できないから、横に避けてカウンターしたり、防御してそのまま振り下ろしたり、リスクは高いが突きで仕留めるのもいい。

上手く対処するんだぞ」


「ああ!ゴブリンスレイヤーの俺に任せとけ!」


いつの話だよ。しかも一体だろうに。



あ、スポーンした。


「キュ〜!」


「き、来た!」


「落ち着いて冷静に対処するんだ。突っ込まなくていい。」



ホーンラビットが田中に突っ込んでいく

「よし、フン!」


「キュ!」


田中は右に避けてそのまま振り下ろした。

が、

「キュ〜!」


「な⁉︎避けられたぞ!」


「もう一回やればいいんだ」


「うし!じゃあもう一回!」



ホーンラビットがまた突っ込んでくるが田中はそれを避け、避けたあとすぐに剣を振り下ろした。



「キュ〜」


「よっしゃー!倒したぞ!」


「よく頑張ったな。ドロップ品は、魔石だけか。でもあと4体討伐するから何かしらは出るだろうな」


「じゃあこの調子で頑張るか!」



この後、田中はホーンラビット4体を無事討伐することができ、『ホーンラビットの肉』がドロップして喜んでいた。



次はいよいよスライム討伐だ。




◇◆◇




ホーンラビットを合計5体倒したことで田中はかなり調子に乗っていた。


初めてホーンラビットの討伐に行った時には、俺は50体倒したんだが……



「にしてもホーンラビット5体倒せる俺は天才なんじゃないか?」


「あんまり実力を過信しない方がいいぞ」


「わーってるって!次はスライムだ!」


「スライムか、やっぱやめた方がいい気がするな。やめるか?」


「やめるわけないだろ?」


「スライムは核があるけどその核は小さいんだ。適当な振り方じゃかすりもしないぞ?それにぶつかってくる勢いがまぁまぁ高く、そこそこの濃さの酸性でできているから、剣が溶けて、最悪大怪我するぞ?」



剣が溶けるといっても気付かないぐらいだがな。



「ぐぬぬ。でも4000円は捨てたくないし…。とりあえず戦うだけ戦う!」


「……まぁ危なかったら介入するからな」


「よろしく〜」 



まぁその場合はしばらくホーンラビットだけを討伐してもらうけど



「にしてもいないな」


「第一層のスライムの出現率はまあまあ低めだからな。でもそろそろ…でた!」


「本当だ!じゃあいってくる!」



スライムは青色の球形の形でジェルでできている。



「そりゃあ!」

 (プルプル)


ああやっぱり外した。しかも…



(プルプル)

「いってえ⁉︎」



田中の胸にスライムが突撃し、軽くないダメージが入った。



「くっ…八神から貰った胸当ても酸で焦げてるし、体当たりがめちゃくちゃ痛い…」


「ホーンラビットの胸当てだからな。防具としては最下級の品物だが、ジャージよりかは遥かに性能がいいぞ」


「そりゃあ分かってるよ。今実感したからな。これがなければ大火傷を負ってた思うぜ」


「で、どうする?このまま俺と変わるか?」

「いや、もう少しだけやってみる」


「そうか。なら少しアドバイスだ。時と場合によっては突いた方が確実に当たるからな。まぁどのタイミングで攻撃するかはお前次第だが」


「っ!サンキュー‼︎」



田中の目に少し希望が見えた気がする。

(プルプル)



スライムの攻撃をバックステップで避けるが、スライムが酸を飛ばしてくる。



それを田中が躱し、また大振りの振り下ろしで応戦する。またスライムの核を外し、一からやり直しという状態が続いている。



(わかってはいたが、泥試合だな)


だがそれでいい。

そうした交戦がしばらく続いているとまたスライムが突っ込んできた。



(プルプル〜)



それを田中がバックステップで躱しまた大振りの攻撃をしようとしていた。



当然その攻撃を何度も見てきたスライムは今度はもっと早いスピードで突っ込んでくる。



「そう来ると思ったぜぇ‼︎」



今度は大振りの振り下ろし



ではなく上から下に勢いよくスライムの核を突き刺した。



(プルプル〜)

 


核は剣で粉々になり、スライムは消滅した。



「ッッッ〜よっしゃああああああ‼︎」


「すごいじゃないか。作戦勝ちだな!」


「ああ!我ながら安直だけど何とかなったぜ〜!」



いやあ驚いた。


いつも女の子と遊んでるやつにそんな知恵があるとは本当に驚いた。



これも金が欲しいっていう欲の力なのか?



ん?しかもこのドロップ品は…


「お、おい…これって!」


「ああ!スライムのジェルだ!勿論魔石も落ちてる」


「ッッ…‼︎よっしゃあ〜!頑張った甲斐があったぜ!」

 


一応鑑定してみよう。


『鑑定』




『スライムの魔石』


スライムを討伐すると手に入る魔石。スライムの中では最も弱いので初心者でも狩ることができる。




『スライムのジェル』


スライムを倒すと低確率で手に入るアイテム。化粧品に使われていて女性に大人気なので価値はそれなりに高い。




「おおお。よく来たな4000円!」



「言い方よ…。でも一発でドロップするとはな。運が良いじゃあないか」


「へへ!やっぱり日頃の行いじゃないかなあ?」


「そういやあ貸したホーンラビットの胸当て返してね?」


「もう調子に乗りませんすいませんでした」


「…まぁそれは先行投資ってことでいいよ。それに渡したところで痛くも痒くもないからな。ちなみに武器の専門店に行けば修理できるからな。それぐらいは払うよ」


「ありがとう!いやあやっぱ持つべきものは友達だな!」


「まぁ第二階層に行く時は言ってくれ。一応アドバイスはするから」


「マジか!また行ってくれるのか!いやあ、感謝してもしきれないぜ!」


「例はいつか返してくれ。さぁ帰って報告するぞ」


「ああ!」 



さて、これで今日のノルマは終わりか?



   ☆




俺たちは道中何も起きることがなく無事に探索者協会へ戻ることができた。



「はい、ではホーンラビットの魔石が5個あるのを確認したのでこれで依頼は完了です!お疲れ様でした!」


「終わった〜!あ、あとスライムも討伐してきたんすよ!」


「ほう!スライムですか。ちなみに八神さんは手助けとかは……」


「アドバイスはしましたが戦闘は全て田中がやりましたね」


「スライムを倒すとは田中さんやりますね!しかも『スライムのジェル』が出たんですか⁉︎一発で出るのは珍しいですねえ」

「たまたまっすよ〜」


「探索者は"運も実力のうち"ですからね〜。はい。では依頼達成したので依頼達成金は銀行に振り込ませていただきます。探索者協会からの報酬である木刀は今渡しますね。…結構重いですよ?」


「え?マジすか?……って重⁉︎」


「その木刀は初心者さんたちが使う武器よりも若干重くしてあるんですよ」


「いや何で鈴木さん持てるんすか」


「一応そこそこの期間探索者をやっていましたからねえ。というか大体の探索者協会で働いている人たちは最低でもDランク以上はあるのでね」


「な、なるほど〜」


「では、その木刀で頑張ってください。探索者協会から借りた武器は申請すれば借りれる期間が伸びるので、もしまだ使いたかったらそちらに置いてある紙に書いて申請してくださいね」


「はい、ありがとうございます!」


「頑張ってくださいね〜」


「ほどほどに頑張ります!」


「八神さんも今回はありがとうございました。田中さんが探索者になるのは協会としても歓迎ですので、護衛してもらって助かりましたよ」


「まぁまた護衛はやりますよ。こちらこそ田中をよろしくお願いします」


「はい、どーんと来いって感じですよ。任せてください」


「じゃあ帰ります。ではまた〜」


「鈴木さんありがとうございます!」


「はい、ではまた明日」



ふと外を見るといつの間にか辺りは暗くなっていた。



ふう、ようやく終わった。さて、帰ってゆっくり過ごして、寝るか。






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