第5話 ドラゴンに乗って空を飛ぶ
頭に激痛を感じ、目が覚めた。
ドラゴンが立ち上がったせいで背もたれを失った俺はそのまま倒れてしまったようだ。
ドラゴンの目線の先には鎧を着た兵士4人が槍を向けていた。
鎧なんておかしな格好で、不審に思いながらも、ここから助かる可能性があると考えて話しかける。
「ちょっと落ち着いてくれ、このドラゴンはーー」
俺は槍を下ろさせるため、近づいていくと、俺が槍で押さえつけられた。
「なんで!? 俺は遭難者だ! 助けてくれ!」
俺は両手を上げ身の潔白を訴えた。
兵士らは何かを話した。しかしその言語は俺の知っているものではなく、理解できなかった。
外国人?
いや、そもそもここが外国だとしたら適切ではないかもしれない。
すると、ドラゴンが唸り前足で、俺を押さえつける兵士を吹き飛ばした。
兵士は5メートルほど飛ばされて木に打ち付けられた。
その隙にドラゴンは地面に置いてあった俺の紙袋を咥えて姿勢を低くした。
ドラゴンの目は俺に何かを訴えるような目をしていた。
「乗れっていうのか?」
俺はそうだと確信し、リュックを拾ってドラゴンに跨った。
兵士が起き上がると同時にドラゴンは羽ばたき空を飛んだ。
「すげえぇぇー!」
みるみる空高く上がっていく。下には悔しそうに上を見上げる兵士たち。
だんだんと自分のいた場所の全貌がわかっていく。
俺のいた場所はやはり大きな森のようだ。
「山の上だったのか」
俺のいた場所は高所で、山を下ったところに川があったようだ。
その川は下流に続いていき、川幅も広がっていく。
そしてその川は、かなり遠くの方の海に繋がっていた。
「いい景色だぁ」
少なくともここは東京ではない。見渡してもビル群が見えない。
「こんな体験できるなんて夢みたいだ」
遠くの海に面したところに建物が見えた。河口を囲うようにして建っていて、よく見たら大きな街だ。かなり遠いのでよく見えないが中世ヨーロッパのお城のようなとんがった屋根が見える。
「なあドラゴンくん。あそこ行ってくれないか?」
ドラゴンはそれを聞いてか、スピードを上げ風を切った。
「気持ちー」
青々しい緑が陸には広がっていて、遠くには青い海が広がっている。海と繋がって見える青い空。白い雲。涼しい風を受けて進んでいく。
「ちょ、どこ行くねーん!」
ドラゴンは進行方向を変えて、海と反対の方向に進んで行った。
「そっちじゃないってぇぇ」
俺は地平線の彼方へ連れ去られた。
しばらくすると、少しずつドラゴンの高度が落ちてきた。
そして、何もない平原に着陸した。
「大丈夫か?」
ドラゴンはハアハアと息を荒げている。腹部の怪我の影響だろう。
「無理させたな」
今はあの兵士たちから逃げ切ったことを喜ぶべきだ。
「ありがとうドラゴン」
しかし、見えた街は遠くなってしまった。
けれども今から俺がドラゴンを置いて行ってしまうのは申し訳ないし、一日中あるいても着く距離ではない。
それなりに愛着が湧いてしまったし、助け合った仲だ。このままドラゴンと一緒にいたい。
ドラゴンは四足歩行で歩き始めた。
どこか目的地があるのだろうか。俺についてこいと言っているようだ。
鳥の鳴き声が上空で聞こえた。涼しげな風が丈の低い草を靡かせる。心地がいい。とても自然豊かな場所だ。
目の前に広がる地平線。こんな場所、日本にあるだろうか。ずっとここにいてもいいかもしれない。
そんなことを考えながら道なき平原を進んだ。
かなり時間が経った後、ドラゴンは歩みを止め近くの川へ近づいた。
「休憩するか」
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名前:辻風 昇
職業:無職
チャンネル名:ノボルチャンネル
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