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第4話 イノシシウサギに襲われました

イノシシウサギっていうのはイノシシみたいなウサギみたいなツノの生えた謎の生物です。

 俺が覚悟を決めると、囲んでいた周りのイノシシウサギが一斉に向かって来た。

 俺は突撃してくる最初のイノシシウサギをかわす。

 しかしすぐにまた別のイノシシウサギが来る。

 俺は鍋蓋で飛び上がったイノシシウサギの攻撃を防いだ。


「ぐっ、重い」


 ツノは防いだがやはりイノシシばかりの大きさの動物の重量が乗りかかる衝撃は大きかった。

 俺はよろけたが、バランスを取り、倒れずにすんだ。

 また次が来る。俺はその攻撃を一身に受けるのではなく受け流す動きに切り替えた。

 そして移動しながら俺も仕掛ける。


「オラぁ!」


 カメラスタンドで次に来るイノシシウサギの横腹を殴った。

 ダメージは与えたが、やはり巨体なので怯んで倒れることはなかった。両手で力いっぱいぶん殴らないと吹き飛ばせなさそうだ。

 俺は走り出した。

 追いかけてくるイノシシウサギたちに鍋蓋をぶん投げる。

 軽々しくツノでその鍋蓋を跳ね返し土埃をあげ走って向かってくる。

 俺は立ち止まり、空いた片手をカメラスタンドを持つ手に合わせて、バッターボックスに立った打者のようにカメラスタンドを構えた。


「ばっちこい!」


 イノシシウサギの攻撃のパターンは掴んだ。イノシシのように突撃し、ウサギのように飛びかかる。

 ならば打ち返してやろう。

 イノシシウサギはやはり俺の正面めがけて飛びかかってきた。


「オラァっ」


 イノシシウサギの顔面に強烈なスイングを喰らわせた。

 ずっしりとした重みが体に伝わったが、足を踏み締め、それを突き飛ばした。

 スイングを受けたイノシシウサギは地面に身体を叩きつけ怯んだ。


「もういっちょ! オラっ」


 2体目も同じように突き飛ばす。


「ワンパターンの攻撃しかできねぇのか? おらよ!」


 3体目を打った時、俺がカメラスタンドを構え直す前にすぐに次の4体目が飛びかかってきた。

 俺は咄嗟に横に避け、ツノに当たることを避けられたが、重い重量が俺の肩にぶつかり体制を崩し、地面に倒れた。その衝撃でカメラスタンドを落としてしまった。


「やばい!」


 次の5体目、6体目が飛び掛かろうとこちらに向かってきている。

 俺は立ちあがろうとするが間に合わない。

 咄嗟にポケットからスマホを出しライトを起動し、イノシシウサギに向けた。

 俺は目を瞑った。

 静かになって、恐る恐る目を開けた。

 イノシシウサギの動きが止まっていた。

 その隙に俺はカメラスタンドを拾い立ち上がった。

 眩しそうに怯むイノシシウサギ。月明かり以外光のない夜。スマホのライトは効果的なようだ。

 2匹をめがけて横から思いっきり肩を振る。


「今度はゴルフだ! オラァァっ!」


 カメラスタンドをゴルフクラブのように持ち、フルスイングで2匹まとめて撃ち飛ばした。

 地面に倒れた2匹。周りを見渡すと、俺が打ち飛ばした他4匹も倒れたまま蹲っていた。

 半数は倒れた。

 他のイノシシウサギは怖気づいたのか、去っていった。

 俺は攻撃を喰らった肩を抱えて崩れるように地面に膝をついた。

 肩に受けた攻撃は結構なダメージだったのにイノシシウサギにフルスイングしたのがさらに負荷をかけた。

 激痛で動けなかった。ドラゴンは俺のことを心配そうな目で見ている。

 俺は仰向けになり地面に寝そべった。

 空は瞬く星々が広がり綺麗だった。他に明かりのないこの場所だからこそよく見える。東京じゃ見られない光景だ。


「月、あんな大きかったっけ」


 月が大きく見えた。よく見ると模様が違うような気もする。


「いったいここはどこなんだ」


 日本なのか? そもそもここは地球なのか? 見当がつかない。

 不意にお腹から、ぐー、と情けない音が鳴り響いた。

 そういえば何も食べていない。

 どこにでもあるコンビニも流石に森の中では経営していないだろう。

 俺はつけたまんまのビデオカメラを止め、鍋蓋とカメラスタンドをしまい、リュックを漁った。

 ペットボトルのお茶と、いつか買ったチョコチップクッキーが入っているのを発見した。


「今日はこれが夕飯か」


 包みをあけると10枚ほどクッキーが並んでいた。


「いただきます」


 クッキーを一枚一枚味わって噛み締める。

 するとドラゴンと目が合った。羨ましそうにこっちを伺っている。


「欲しいのか?」


 俺はクッキーを口元に持って行った。

 ドラゴンは匂いを嗅いだ後、器用に俺の手からクッキーだけを食べた。

 俺はそれが楽しくて、2枚3枚とクッキーをあげてしまった。


「ってもうねえじゃねえか」


 気づけばクッキーは無くなっていた。まあ嫌な気持ちではない。

 俺はドラゴンの大きな体に寄りかかった。

 ドラゴンは目を瞑っている。


「心、許してくれたのかな」


 俺のことを警戒していないようだ。

 ドラゴンに寄りかかったまま俺も眠りについた。


ーーーーーーー

名前:辻風 昇

職業:無職

チャンネル名:ノボルチャンネル

登録者数:16

総視聴回数:2384

総再生時間(時間):375.1

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コメント:15 「ドラゴン写ってる?」

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