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その綺麗さで穢さないで

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

前にも言った気がするこの一言。

『綺麗さで穢さないで』。

同棲中の彼女は、小さくて、むちむちしていて、つり目な子だった。世間一般的には綺麗で可愛い子。

何時もそう表現すると、『女子の平均身長。お前が大きいだけ』、『男性と違って脂肪が着きやすいんだよ。普通、女子はこんなんじゃない?』、『お前が余計な事をしなければ、こんな目付きしてないよ』と返ってくる。

一言で称するならば、物凄く冷めていて、ニヒルな子だった。でも僕の顔を見る時だけは、その表情に焦燥が混じって、悔しそうに目を逸らす。その様が何時も仄暗い感情を掻き立てる。

そんな彼女は突然部屋に閉じこもる。ネームプレートには名前ではなく、『入ったら殴る』の文字。勿論無視して入ると、何時も何かしらの努力をしていた。スキンケアな事もあった。筋トレな事もあった。クローゼットから衣類を撒き散らした事もあった。所謂、女磨きである。今日は筋トレの様で、ダンベルが転がっている。

「今日も頑張るね」

そう言うと、身近にあったクッションを投げて来た。顔面に向かって当たるがそんなに痛くない。所詮綿だし。

「あっち行って。近寄らないで。入って来んな」

極めて冷静に拒絶三文を並べ立てると、黙って此方を睨んでくる。まぁ何時もの事だ。小さな生き物が懸命に威嚇したところで怖くないし、寧ろ可愛い。『よく必死に虚勢張るねぇ』と言いたくなるほどに。だから拒絶を無視して、大股で距離を詰める。そうして壁に追い詰めて、ゼロ距離になったところで、質問一つ。

「なんでリビングでやらないの?」

「お前、見てくるでしょう? その……。やたら完成された顔でまじまじと見てくるでしょう? 例え矮小でも、努力でその差を埋めようとするのは、間違ってないって思ってる。……だから触らないで」

汗の掻いた首周りに手を伸ばそうとすると、問答無用で手をはたかれた。目は本気で嫌がっている。この間押し倒した時とはまるで違う眼光。

「完成された生き物は鑑賞物でしかない。動物園で獣を飼い慣らす様に、檻に入れて愛でるんだ。……獣が凡人に戯れ付いて怪我するのと同じ様に、お前が私に触れると痛いんだ。だから大人しく鑑賞物でいて欲しい」

「ヤダ」

そう言って、指先で顎を押し上げて、喉元を晒す。あとやる事は一つ。舌を出して、汗を舐めとって、跡でも着くように歯を立てる。さながら獣の様に。

やはり彼女は抵抗して、髪を引っ張って暴れてくる。声は我慢して居るようで、小さな呻き声しか聞こえて来ない。

「その綺麗さで、私を辱めないで。穢さないで」

改めて顔を合わせると、虚勢が剥がれ落ちてしくしくと泣いていた。

部屋の鍵は壊されました。


生まれ持った才能とタメ張る為に、努力の姿は見せたくないのだと思います。

まぁ、勝手に部屋に入ってくるので無意味ですが。

辱めその1。


綺麗な生き物は、綺麗な物に囲まれて入ればいいという認識。

他のものが混じった途端に劣化させてしまいそうなので、『檻の中に入れて愛でる』という表現になりました。

ただこの獣、平気で檻は壊します。相手の檻も壊しました。

そうしてその綺麗さで、凡人(自称)を殴るんです。

綺麗な物を穢した時の罪悪感。

心はもうボロボロです。

辱めその2。


女の子を泣かせることには定評があると思ってますよ。

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