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第八夜 こちらが、その25をロハで私にくれた常務(若)さんです

おっさん、常務(若)のセルシオに乗せられ

夜の街へ

そして、妖怪になっていくおっさん

異世界の若い頃の自分に憑依してたら化け物になっていました

大騒動となった、夜6時50分 寮の前に立つおっさん

大元の大元の大元の常務(若)に拉致されることは諦める

7時5分前に常務(若)のセルシオが静かに寮の前に停まる

「待たせないつもりでしたが、待たせたようですね、乗って下さい」

助手席にのるおっさん

「いやぁ、土曜日からの3日間で寿命が10年は縮みましたよ」

その言葉に、全く信用が置けない常務(若)


「そう言う事は、突然、資本金で100倍以上の会社の社長が

 アポ無しで平社員に会いに来られた会社の役員が言う事です」

「え、その会いに来られた平社員の当事者が言ってるんですが」

「全然信用がなりません」

「その扱いって・・・・」

「とりあえず、着きましたら、その貝のような口をヘネシーでこじ開けますよ」

う、覚えてるし

お姉さんが居る店だが常務(若)が、二人で話したいからと

お姉さんを遠ざける


なんなん


「じゃ、詳しく聞きましょうか」と

お姉さんが作ってくれたヘネシーの水割りを差し出す常務(若)


「どっから聞きたいですか」

「最初から」

「最初からって、常務(若)が25を俺にロハでくれたのが始まりですよ」

「私? 私が原因?」

「そう、今回の騒ぎの大元は常務(若)」と言い切るおっさん

責任転嫁も甚だしく、一理もない


「25をロハで貰って、直して、会社で走行テストがイベントになって

 それで、土曜日に同期の栗原のところでデフセット変えて、

 佐々木ってやつがキャブセットして

 加藤ってやつが走行テストやって

 って、皆でワイワイやってたら、山崎土木行ってるやつから

 電話があって、夕方山崎土木の本社に行って社長の駐車場に止めて」


「ちょっと待って、なんでそこで社長の駐車場に止めるのです」

「さぁ、誘導したのが山崎の御曹司だったからかな」

「もう一回待って、なんでいきなり山崎の御曹司って良平さんでしょ」

「それは、その後の料亭で知ったことなので」

「良平さんが料亭って、一緒に酒呑んだのですか」

「本人の強い希望で」

「ありえない、財界の集まりも出てこないのに

 謎の人物扱いですよ」


「そんな事は、本人に聞いて下さいよ

 俺らは、ここで待ってくれと言われて、まってたらハイヤーが来て

 連れられて行っただけですから」

「名刺とか頂かなかったのですか」

「最初に出そうとしましたが、そういうメンツじゃないでと断りました」

「断った! 山崎良平の名刺を」

「いけませんか、お姉さんお代わり」

絶句する常務(若)


「おっさん、ちょっと社会の勉強をしましょうか」

「それって、自動車電話で山崎の会長に苦情を

 言う前に勉強したほうが良かったかな」

「え?」

「今日来てた、社長の車の自動車電話に会長が繋がっていて

 主犯は誰ですか って苦情を入れたんですよ

 全体的に手遅れですよね」


ヘネシーを呑むおっさん 常務(若)は水を貰ってる

「まぁ、その前に山崎の代表電話に25のおっさんだ

 会長に繋げ ってゴネて 社長に繋がって三崎工業の件

 後始末着けとけと いってるからなぁ 手遅れですよね」


「まさかそれで、山崎の社長がうちに来た」

「正解、会長に怒られたから謝りきた現社長」


完全に混乱中の常務(若)


「それもこれも常務(若)からロハで貰ったTE25が全ての発端」

責任転嫁を3D化したらおっさんになるのでは、との勢いの責任の投げっぷり


「まぁ良平さんが俺らとTE25で遊ぶつもりらしいんで

 しばらく見合いも延期になるらしいのですよ」

ここでもTE25を強調して言うおっさん


「その見合いの延期の後始末で、機嫌の悪い会長に俺と呑まそうとした

 社長の勇み足で、話が三崎工業さん経由の伊藤鉄鋼の社長に

 行っちゃって、俺と会長は安来で蕎麦を食うは目になった と」

 

 「全然理解できないんですが、もう一度最初からいいですか」

 

 「いいですよ

  常務(若)から、ロハで貰った25で俺ら5人が遊んでたら」

 と三度目の強調

 「良平さんが、ロハで貰った25で遊ぶなんて面白い

  私も混ぜろ と

  それで、肩書は無しのメンツなんで名刺は要らないと断ったら

  なぜか料亭で酒呑むことになったのが土曜日」

 また、ロハで貰ったを強調するおっさん

 

「まぁ、足とかに中古品入れて多少は金は掛かってますが

 ロハの車の横乗りで良平さんがゲロ吐いてたら、爺さんが出てきたのが

 日曜日」

ここでもロハを強調

 

「今日は見ておられたので良いですよね」

 

「えらくロハを強調しますね」

 

「あ、解りましたw」

 

「解りますよ」

 

「いやぁ、常務(若)の常識が世間一般なら

 良平さんは気の毒な人ですね

 俺ら5人みたいに肩書抜きで付き合える人が居ない

 まぁ、あの山崎の御曹司だし、しかたないか」


「おっさんは、私がおっさんの会社の常務って知ってますか」


「さぁ、今は酒の席だし、どうでしょうね」


「そのペースで、あの山崎一族と接したんですか」


「結果で見ればそうなりますね」


「また、他人事みたいに」

と、ここでお姉さんが、常務電話ですよ と

「電話らしいですよ」とおっさん

「あ、お姉さんお代わりとフルーツ」人の金だとガンガン行くおっさん

もう、朝の伊藤鉄鋼の社長の電話から始まった今日の出来事で

完全に肚は座ったし、行くとこまで行け、引いたら負けなおっさん


「おっさん、貴方何したんですか」


「なにしたも、25で遊んでたら、山崎の御曹司が混ざっただけですよ」


「はぁ、その簡単に言い切れる精神力は何処から湧いてくるのです

 今の電話、何処からだと思います?」


「さぁ、爺さんは昼間話したんで、旧知の人かな」


「川崎建設の会長からですよ、今こっち向かってるそうです」


「知らない人だ」


「向こうは知ってるみたいですよ」


「俺会社名は言ってないのに」


「それでも、月曜日の朝10時過ぎに山崎土木から三崎工業さん経由で

 伊藤鉄鋼さんから直電食らったのは事実ですよね」


「事実ですが」

事実は事実と認めるおっさん

「あ、試験走行の話で会社名言ったかも」


「そのレベルではないと思います

 土日月で月の夜で私の行き先を追いかけて

 電話が入ってるのですよ」


「じゃ、来る前に帰りましょう」


「それは、足止めを食らった私一人で川崎建設の会長の相手をしろと」


「やってみれば、案外いけますよ

 なんと言っても、25の元オーナーですから」


「また、無理を言う」


「無理が主観で、無茶が客観って知ってます?

 無茶じゃないと俺は思いますが」


「持ち上げても、ヘネシーしか出ませんよ」

すいません、フルーツも頼んで食ってます

お、常務(若)も乗ってきたなと とおっさんが思うと


お店の女の子が、奥の広い席に移動して欲しいと言ってくる


「二人なので、この席で」とおっさんが返す


逃げ切れねえかなぁ

奥の席に行ったら、どうにもならん


「諦めの悪い」


「逃げ切れませんか」


「もう無理ですね」


店の女の子の案内で、近づいてくる一人の爺さん

一人で来る訳はないので、お供は車で待ってるんだろうな


立ち上がり、名刺を出して名乗ろうとする常務(若)


「今夜は、そう言うメンツではないんで、それでいいかな」

どっかで言ったセリフを吐かれる


「川崎の爺だ」

爺さんが立ってるのでおっさんも立ち上がって

「25のおっさんです」

と機嫌悪く負のオーラがダダ漏れなおっさん

「これはまた、良平くんが謝りに来たが、その甲斐の有りそうな」

「いえいえ、ロハで貰った25で遊んでるタダの若造ですよ」

もう押し切るしかない、精神力勝負だ


常務(若)置いてきぼりになってるから、助け舟を出さないと

「こちらが、その25をロハで私にくれた常務(若)さんです

 すべてのことの発端はこの方です」

え、ここでも という顔になる常務(若)


「これはこれは、川崎の爺だ よろしくな」


と、威厳を持とうと言っているが、足が震え始めている川崎の爺

おっっさんの機嫌の悪さが感じ取れる

地位も何も関係ない

早くこの場、とういうかこの若者の前から去りたい


「うんうん、今日は顔を見れただけで満足じゃわ

 足止めして悪かったの

 今日の払いは持たせて貰う」


と、店を出ていく川崎の爺さん

車に戻りリアシートに身を沈めても、膝が震えている

肝の座った若者じゃない 妖怪だ


どんっ と座り込む常務(若)

「おっさん、あれはない」

「あれとは」

「総ての発端はこの方ですって」

「事実ですし、常務(若)の顔は売れましたよ」

「はぁ、少し解りましたよ、おっさんの人となりが

 川崎会長の、そう言うメンツ云々はおっさんの言葉ですよね」

「そうみたいですね」

「また他人事みたいに」


「明日の有給届けに印鑑をお願いしますね

 流石に夜にまで食らうとは思ってませんでしたから憑かれました」


「私は、おっさんの疲れの3倍は疲れてますよ

 おっさんは台風の目ですから良いですが、廻りは被害甚大ですよ」


「帰りますか、運転大丈夫ですか」

「気がついてるとは思いますが、店に入ってから、というか

 今日の午後から、水しか飲めてないんですよ

 なので飲酒は大丈夫です」

と暗におっさんの責任だと注意してくるが


「ダイエットですか、少し痩せられたほうがとは思ってましたが」

と、これまた軽く話を逸しながら返すおっさん


「おっさんの様な社員を持つと痩せれますね、胃が痛くなりますが」

諦めの境地とはこう言うことか、と常務(若)は席を立ち車に向かう


帰りの車の中

「ほんとうに23なんですか、そのタフさと老獪さ」

と、真実を突いてくる常務(若)


そりゃぁ50代の仕事でも遊びでも修羅場を潜り続けたおっさんが

異世界の23の小僧に入り込んでるんだ

精神的にタフで老獪なのは当たり前だよ

とは言えないおっさんであった


今宵も深けたようで


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