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第四十五夜 すっかり忘れてた、どっかのが仏滅とか

名古屋に向かうセンチュリーのリヤシートに沈むおっさん

ノートを熟読している

隣ではひろ子さんが、会議設定中

全然イチャつくどころか、ガッツリ仕事していた


「常務、午前で三名 二名  午後 三名 の各50分の会議が抑えられました」

「会議というよりブレストミーティングですけどね

  会議室は要らない 常務室でいい 会議室も有限の資源だしね

  ふう、言ったこと聞いたことのメモが生きてくれればいいですが

  それと、飛び込みで俺に会いたいって課長レベルは居ないの?」

「それは、沢山」

「なら、くじ引きで四人 14時から50分 これも常務室で」

「手配しますが、くじ引きって」

「運も実力の内 不運もある 昨日の巻き込まれたのも不運だ」


自動車電話が鳴りひろ子さんが応対する

「あなた、春日さんがどうしてもお会いしたいと」

「その時間帯は」

「15時−16時でお願いしたいと」

「ミーティングは全部終わってて、空いてるね」

「はい」

「東名阪が混むけど、しかたない 会議室は不要で常務室で」


会社に着くと9時半

コーヒーがゆっくり飲めると油断して常務室に入るおっさん

常務室には、社長と会長がいて、煎茶を呑んでいた

「突発の出社で、移動時間中に会議設定を4つ ですか」と社長

「来週も居ませんので、出来る時に出来ることをやらないと」

「私達も同席してよろしいですか」

「椅子さえ有れば、ですね」

「準備してありますよ」と後を指す社長


神田が間宮さんに引き摺られて、常務室に入ってくる

お「神田、一般社員代表で参加な 何時でも嘴挟んでいい」

神「それを俺にやれと このメンバーで」

お「俺をこの会社に紹介した責任があるからな」

神「おっさんの口先には勝てないから、諦めて地蔵になる」

お「それ大事な事だわ コーヒーでも飲んで見て聞いとけ

  ひろ子さん、コーヒーお願い」


とデスクに廻ると、椅子がレカロのフルバケットに変わっていて

それも、2脚もある

「それ、TS熊山と言う所から、おっさん宛に今朝届きましてね

 それと、ひろ子さん用の椅子が発注してあったのも今朝届いて

 それで、椅子が二脚余るので、後に準備が出来たと」と社長


部課長とのブレストミーティングがはじまる

今日の目標は、話を聞き、障害が何かを探し出し排除する段取りを着ける

と設定しているおっさん


とにかく相手に話をさせる 止まったら質問を入れ、また話させる

徹底した聞き役を35分

「今日のミーティングで出た課題は」と順に訊いていく

一人目が詰まったら、即次にいく 二人目 三人目が答えるが不満げなおっさん

「その奥歯にモノの挟まった、発言は止しましょうよ

  後の二人は、今は関係ないです この件で不利益が有れば仏罰が下ります」

のこり8分 一人目が「私に再度のチャンスを」と発言しだす

ガンガン出てきた 


「では、その課題の解決に必要なタスクとリスクとスケジュールを再来週までに

 各自でも良いですし、八人のチームでもいいですから、やって頂けますか」

アラームが鳴り50分 「キッチリでしたね お疲れ様でした」と解散していく

出て行こうとする神田に「トイレ終わったら戻ってくるんよね」と警告射撃


「ひろ子さん 紅茶が欲しい 出来ればダージリンで」

「紅茶がないのよ、今日はコーヒーで我慢してね」


社「先週の会議とは打って変わって、聞き役にて徹していましたが」

お「話を聞いて貰える、それも自由に発言できる というのは

  モチベーションUPにものすごく効果的なんですよ

  抑え込んで、やらせてもその場の結果しか出ない」


次のメンバーが入ってくる

「申し訳ない、コーヒーが飲みかけなんだ

 前の三人からの情報は得てるでしょ 定刻スタートで始めましょう」

二人が顔を見合わせて「聞いてません」と

お「10分前 定刻の15分も前から、ドアの所に居て

  定刻で出てきた課長三人を素通りさせて、5分前に入ってくる

  暇なんですか?」

凍りつく部長二人


お「時間は有限です、大事にしましょうよ

  それと、先に入った三人からも情報は得ないと5分はありましたよね

  入室を定刻1分前とすれば8〜9分は三人からの情報収集は出来た

  今日の相手は、私ですよ 無手で戦う気ですか」

押し黙る二人


お「管理職というのは、いかに部下からタイミングよく情報を吸い上げるか

  その情報を精査し有効に利用していくか

  基本の基ですよね

  部下からの報告を待つような、自分で情報を取りに行かないような

  ”エライ”部長様は、どうかと思うんですよ

  そう思いませんか 大林部長 元木部長格」

この二人は会議中にバツを付けマーカーを植え付けて、時々覗いていたが

”エライ”部長様そのものだったので、詰めに入る


お「何時も部下を呼んで、納期も考慮せずいきなり報告させる

  で、中途半端な報告はいらんとか、部下を叱る

  これは情報を取りに行く姿勢ではないですね

  役員への報告も名前だけ変えて実質部下の資料そのまま 

  貴方方は山崎土木への貢献は何がありますか

  今までは見過されたかもしれませんが私は見てますよ」

30秒は待って


お「縁故の若僧役員ごときに舐められてたまるかとか思ってすよね

  再来週の水曜までに、2週間で 部長の役割 と 部のいい点 ダメな点

  各A3一枚で

  ダメな点の改善スケジュールの作成までを貴方方自身お願いしますね

  再来週の水曜日に社長報告 ここで見返して下さい

  

  社長お願いしますね 私は後で聞きますので 

  間宮さん50分当ててね

  以上解散」

部長二人に座ることも許さず、解散するおっさん


神「見てきたような口先だな」

お「ドアの向こうの件か、気配で解る 時計見て、メモってたろ」

神「解るのか」

お「それで、一般社員代表様のご意見は」

神「あの二人、評判が悪いんだよな」

お「やっぱり、部下を叱るのを仕事と勘違いしてるのか」

神「おっさんの指摘どうりすぎて、いつの間にその情報を拾ってくるんだ」

お「企業秘密w」


お「会長・社長、この調子で午後も行きますが、いかかでしょうか」

会「任せた」

社「お任せします しかし、いつの間にそんな情報網を」

お「企業秘密ですw これからも広げますよ」


お「神田、松田さんを見てみたいから一緒に社員食堂へ行かんか」

神「残念、松田さんはお弁当だ」

社「その情報は、未入手でしたか」

お「会社に貢献する が 優先なので 松田さん情報は神田に聞けばいいかと」


社「まぁ、社員食堂は私が止めましたけどね」

お「その心は」

社「喜楽から、お重が届くんですよ 今日出社するって情報が漏れたようで

  申し訳ない」

お「出社する は漏れていいけど、お重が届くのなぜ」

会「財界大野派トップが二回も喜楽に泊まったって女将鼻高々だったでの

  敷島の女将も、大野派全員が来てくれたと鼻高々

  山栄の女将は八木会長の奥が長期滞在で鼻高々

  それの、因果をたどるとおっさんに行き着く

  お重くらいは届けさせるじゃろ」

お「はぁ」


ノックがあり、ひろ子さんが対応して、絽の黒留袖の喜楽の女将が入ってくる

帯も織りの袋で二重太鼓 金糸の2cm近い帯〆 何処の結婚式の母親だよ

気合い入りまくりで足袋も五ハゼと思われる

ドフォーマルな和服でお重を抱えて現れる


喜「先日は、お泊り頂いた上に、大野様他に喜楽を推して頂いて有難うございました

  これはお礼のお重です」と尺角二寸の三段重ねを出してくる

それ、おせちとか家族で三日掛けて食うやつのお重

お「お急ぎでないら、お掛けになって下さい ひろ子さんコーヒーを」

しかし、尺角二寸の三段重ねは、迫力あるな 絶対一人では食いきれん


お「そんなに」

喜「山栄さん、敷島さん、うちと、ぐいっと格が上がりましてね

  三人共鼻がピノキオですよ 」

お「して、その三軒のうち喜楽の女将さんが、今日のお重を」

喜「敷島さんは、加藤様の件で振る舞っていたので、引いて貰いました

  山栄さんが、板場に休憩をさせたいって3日ほど

  今日まで休みにしてたので、うちが担当させて頂きました」


お「喜楽さんの板場は大丈夫なのですか」

喜「そんな訳ないじゃないですか、来週3日ほど臨時休業です

  板場も仲居も休ませないと、私も休みたいので」

お「敷島は再来週に臨時休業とか」

喜「そうです、交代で休まないと

  お客様に代替えの料亭を紹介してとなりますから」

「では、失礼します」と帰っていく喜楽の女将

「それでは、私達も」と出ていく会長・社長


お「ひろ子さんと二人で食いたいが、この量は無理だ

  神田も食ってけ」

神「俺もか」

お「立ち会ったんだ、一緒に食おうぜ」

神「イチャつかないと約束するなら」

お「俺は約束する」

と応接テーブルにお重を広げるおっさん


料亭の気合充分なお重の中身 傷まないような調理方法

ひろ子さんが、色々を彩りよく皿に取り分けてくれる

23の若い男二人+お姉さんが全力で食べても半分以上が残った

お「神田持って帰るか、こんなけ料理人の気合の入ったお重を捨てるのは」

神「これってさ、日持ちするのか」

お「おせちだと思えばいい、3日は持つ」

神「一旦帰って、冷蔵庫に入れる時間が有れば貰いたいな

  明日の晩から3食くらい浮くし、何より旨いし」

お「じゃ、午後行ってきなよ

  神田の役目は、さっきの部長二人を詰めるのを見て貰う事で完了

  16時にここ集合できればいい」


午後は、会長も社長もなしで、おっさんの徹底した聞き役に廻る

ミーティングが行われて、満足げな参加者となった

ちゃんと昼休みに最初の三人と話をして情報を得ていたようで

おっさんも、聞くだけ聞いて、最初の三人と同じ課題だして

「最初の三人には八人といいましたが、部長二人は別の課題がありますので

 飛び込みの4人も入れての10人でやるもよし、一人でやるもよし

 お任せします」と〆る


「ヨシ、社内は終わった あとは春日さんだ 一緒の二人にも入ってもらって」

え、春日さんとしか言ってないのに とも思うが、うちの人だしと流すひろ子さん

ひろ子さんが迎えに行き、春日さんと同行のお二人もどうぞ と案内を始める

男「春日さん、私達のこと伝えたのですか?」

春「いいえ、伝えていません が、相手はおっさんですのでこれ位は流さないと」

男「・・・」

春日さんと爺までは行かないが壮年の男性と美人さんが入ってくる


「人徳のある若者 こと おっさんです」と財界向けの挨拶をする

「私、財界の縁結び男 仲人の鬼 蟹江と申します」

とこれまたおっさん向けの挨拶を入れてくる男性

お「こちらの美人さんは」

鷹「蟹江の秘書をしております、鷹村と申します お見知りおきを」

「蟹江さんは私の仲人らしいです」と笑う春日さん

お「それはそれは、ご苦労を買って出て頂いたと」


春「それって、意味が深い」

蟹「仲人の鬼ですから、春日さんは選んで選ばれて頂くだけで

  式披露宴の後もフォローしますからご安心を」

お「鬼が着いたと 春日さん安心ですね」

蟹「その仲人の鬼から、人徳のある若者に、どうしても苦言を言いたくて

  今日出社されると聞いて、総ての予定をキャンセルして飛んできました」

お「鬼自らの苦言 これは聞かないと」


蟹「嘴を突っ込むようで、申し訳ないですが 高島暦はご存知ですよね」

お「すっかり忘れてた、どっかのが仏滅とか」

蟹「その通りです 慶事は友引 大安で行うのが筋」

お「ブチ切れての設定だったから、で鬼から見ての現状の問題点は」

蟹「大前提として、三山に鬼が出てきたと筋を通して頂くのが条件です」

お「三山のお達しがあって尚、ダメなものダメとの苦言 金言を頂きました」

蟹「それでは、私に一任して頂けると」


お「仲人の鬼が自ら出きて一任を要求

  となると我々の式披露宴に関して提案もあると」

蟹「まず、八木のレストランの件 これは友引で行いたい

  ヘアとメイクのプロを入れて

  タキシードとナイトドレスでの撮影を考えております


  そして式披露宴

  2週目の土曜日が大安でして、ここで4組の結婚式を比叡で順に行う

  式自体は1時間も有れば終わりますから、10時から二組 13時から二組

  15時に終われば、京都市内まで余裕で戻れます

  写真撮影も、仏式ですので白無垢と紋付きのみ

  式前式後でやれば、問題ないです

  

  4週目の土曜日が友引ですので、4組合同の披露宴を名古屋のホテルで行う

  ここで、女性陣にはウエディングドレスを着て頂く

  ここで、タキシードとウエディングドレスの写真撮影

  我々は財力的には負担になりませんが、ご友人等複数回は大変です

  もちろん、比叡での披露宴を提案してくださった大阿闍梨には

  人徳のある若者から話を通して頂く必要があります」

お「暦と負担かぁ ありがとうございます 見落としていました」

筋を通せば ホントなんだと思う仲人の鬼


お「ひろ子さん どうですか」

ひ「私に異論はありません が六人にも確認します」

お「そうだよなぁ、神田に四週連続で比叡とか言ってたけど

  あいつは俺達と同乗で交通費の負担を掛ける予定なかったからなぁ

  財界関係は金より時間が問題なるか」

蟹「それも大きいです」


ひ「森高さん経由で男性陣に確認しまして

   全員「おっさんと仲人の鬼が言うなら従う」と

  女性三人は男衆四人が従うと言うなら、と 了解を得ました」


おっさん立ち上がり、横にひろ子さんを寄せて、二人して深々と頭を下げながら

「蟹江さん 仲人の鬼にお任せします、よろしくお願い致します」

蟹江さんも立ち上がり

「受けました、お任せ下さい」と受ける


お「ただ、比叡だけは、実務が有るのでご同行をお願いします

  他は私から師匠達に伝えます

  竜王」

麒麟が化現けげん現し世(うつしよ)に姿を現す

お「お使い 今の話聞いてたよな 師匠達に第一報を伝えてくれ」

竜「行ってくる 居ない間に悪さしたらダメだよ」


噂には麒麟が常に居ると聞いたいたが、これは腰抜かすわ

座っててよかった と仲人の鬼


蟹「申し訳ないが、トイレに」

お「そう言えは私も、一緒に行きましょう 案内します」

が、仲人の鬼が立てない 腰を抜かしたようだ 

オーラを注入して、抜けた腰を戻すおっさん


トイレより戻り、春日さんの見合いの話をしていると

蟹「身元は財界系で抑えれますが、素行がね 

  私が仲人をするからには、きちんとした人しか紹介できないので

  少し時間を頂いています」

お「そこまで、やって得るのは満足感のみ まさに仲人の鬼」


竜王が戻ってきて、

三人より「その仲人の鬼にしっかりお礼を言うように」と

厳命されてきた 

阿闍梨は、仲人の鬼の案に乗ると、俗世から離れて儂も抜かったと


お「取り急ぎの、連絡はとれ、了解も得られました

  仲人の鬼はどうやって比叡まで行かれますか」

蟹「日曜日の夜に名古屋入りして、若者のバスに同乗して 

  道中リクエストなどお聞きしたい」

お「竜王 もう一回 阿闍梨の所へ 鬼も同行して挨拶に行くと」


お「蟹江さん、今日は本当にありがとうございます

  リスクの漏れを点検して頂きました

  仲人の鬼の蟹江さんの金言がなければやらかすところでした」

と、殊勝なおっさん

この人はことわりと礼を尽くせばそれを返してくれる 本当のことだったんだ と

蟹「まだ、新幹線がありますので、東京に戻ります」

お「お気をつけて帰って下さい」


今宵も深けたようで

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