表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/193

第三夜 TE25 ニセD装着

梅雨明けした休日前、集まった同期4人 また、あーだこーだとおっさんの車でやり始める

同期5人組でTE25弄りのはずが、意外な乱入者が現れて

4ヶ月ほど乗ってきたTE25

梅雨明けも近くなり、おっさんのTE25は、普通には走っていた

しかし、何処となぁく手を入れたい

まずはタイヤだ

解体屋の栗原曰く、ジムカーナ車のタイヤは回収されたので

その辺の解体車から取った、165/80-13のラジアルタイヤ

ブレーキパッドは幸い、ジムカーナ車から剥ぎ取れたのでそれを着けてる

ほぼ新品という幸運だった

が、タイヤとのバランスが悪い

雨の日だとかで、フロントロックするときがある


他には、ノンスリの効きはいいが、なんか中途半端で

大人しくするか、バキバキに効かせる化したい


色々と、部屋で考えていると、寮の先輩から

「おっさん、女から電話だぞ」とでかい声で呼び出し

ダッシュで電話まで向かう

息を整え黒い電話の受話器を取る

「もしもし、おっさんです」

「おー、女じゃなく悪いな」と栗原

お「まぁな、心当たりが有ったんで、がっかりだけどね」

栗「がんばってるな、それよりニセDだけど6分山のが入ってきた

  アルミも付いてる」


ニセD アドバンタイプDというハイグリップタイヤが市販されて

60という扁平率で、皆度肝を抜かれたんだよな

それで、70扁平率のも発売され、こっちはニセDと呼ばれる悲しいタイヤだったんだ


鉄チン+165/80-13からアルミのニセDの185/70-13だとだいぶランクアップする


お「キープよろしく」

栗「2万な」

お「了解 それと栗原 ノンスリの効き調整できる?」

栗「どっちだ?」

お「出来る方でいい、今がちょっと中途半端になってきてるんよ」

栗「俺、調整ってバキバキ方向しかしたことがない」

お「それ、調整と言わんw まぁタイヤと込で3万でどう」

栗「デフオイル代やパッキンで俺の工賃でないんだけど」

お「じゃぁ、呑み一回」

栗「そういや神田が企画してるのに合わせるか」


この異世界は飲酒運転に異様に寛容(アメリカ並)で

真っ直ぐ10m歩ければOKとかユルユルな異世界であった

流石にフラついて歩けないのは捕まると言われていたが

そんな時代でもあった


なので、昼間に車いじって楽しんで呑もうとなり

休日前に休みをとり、やろうと言うことになった

まだ、土曜日も半分は仕事な時代でもあったしな


そして、梅雨明けした頃、晴れた土曜日に

栗原・加藤・佐々木とおっさんの4人が集まっていた

佐「加藤 神田はどうした」

加「抜けれん仕事で、夕方から参加するって」

栗「それなら、おっさんのTE25ただでくれ の話は

   呑みの席で全員で聞けるのか」

お「そんな大層な話じゃないけどな」


栗「これだ ニセDだけどまだ山もある」

加「いいじゃん、とりあえず着けて峠行ってみよう」

お「いいけど一人二本までな デフもやらんとあかんし」

加「デフやるんか、どっち?」

お「栗原はバキバキ方向しか経験がないらしい」

栗「まぁ、そう言うことで」


佐「先にデフやろうよ、バキバキのノンスリで峠とか楽しそうじゃん」

加「そうやね」

佐「点火時期とキャブセットは見ておきたい」

お「キャブセットやるん? ジェット類は詰んであるけど」

佐「プラグも見とかんとな、もってる?」

お「標準と一番手上は、新品が各4本」

佐「やっぱ、おっさんに抜かりはないな」

栗「決まったか 上げるぞ」


とガレージャーでフロントが浮き馬が噛まされ

リアも同様に馬が噛まされた

助かるのは、エアインパクトが使えるので、タイヤ交換が楽

フロントタイヤを外した所で、ブレーキパッドの残り具合の

チェックをするおっさん

お「見にくいなぁ、ピン外すわ 14のコンビと17の薄いスパナちょうだい」

加藤がトランクに積んである工具箱から出してくれる

加「コンビがスタビレーで、薄いスパナってハゼットの事かよ 凝ってんな」

お「まぁな、守川商事の爺さんの口車にせられてw な」

佐「あそこか、あそこは行ったらあかんw」

加「どんな店なん」


異世界でもその時代、輸入工具を扱う店は極端に少なく

またその店も偏屈な親父がやっていたりした

KTCのミラーが出る前で、まだ海外工具に一歩譲っていた時代だ


佐々木が加藤に守川商事の事を説明している

その間に、栗原がリアタイヤを外し、スライディンハンマーでドラシャを抜く

さっさと潜って、デフオイルを脱いてデフも外されて

工場の作業台に持っていかれる


おっさんも、パッドのチェックが終わり、7分残りなのでとりあえず安心

しかし、セミメタのパッドでジムカーナ用 低音での効きを優先してるし、

競技用と割り切ってキーキーと鳴る警報のバネも着いていない

高温に晒すと一気に減るので、峠メインだとこまめなチェックが必要なのだ


パッドのチェックも終わり、ニセDの山の残ってる2本をフロントに付ける

ついでにマジックで、タイヤ位置をアルミにでっかく直書きする、おっさん

加「おっさん、いつも思うんだが、それなんとかならんのか」

佐「おっさん、タイヤ位置にもみような拘りがあるからな」

加「それにしても、内側に書くとかさぁ、もうちょっと見栄えを考えろよ」

お「ひと目で解ることが大事」

加「そうだけどさぁ、おっさんの車ってひと目で」

佐「今どきに、TE25 転がしてりゃ一目でおっさんて解る」

お「ラブホテルで見かけたら、そっと流してくれw」

加「解ったw」

リアのタイヤにも太い黒マジックでタイヤ位置を書くおっさん


さ「点火時期とプラグ見とくか」とボンネットを開ける

加藤がプラグを外して、並べていく

3人で順にチェックしていく

佐「気筒でのバラツキはないけど、焼け気味かな」

加「うーーん、一番手上げるかどうか、悩むな」

お「梅雨もあけて夏だしな、上げといてキャブセットでどう?」


佐「これこそ気筒番号書いとけよ まだ使えるし 秋になったら戻すんだろ」

ガムテに番号を書いて、プラグに貼っていくおっさん

ウエスにくるんで、ビニール袋に入れてトランクの部品箱にしまう

新品の1番手上のプラグを出してきて加藤に渡す

なぜか、昔からプラグの脱着は加藤の役目だった

「俺の車、EFIだから 着けっぱでいいんだよな」

プラグを着けながら加藤がぼボヤく

良いのか悪いのか


佐「今どきSUツインとかチェリーとか25位しかないからな」

お「だから、お前らも面白がってきてくれるんだろ」

佐「27のソレックスでも来るぞ」

加「間違いない」


プラグ交換も終わり、エンジンが掛かり、空ぶかし

タイミングライトが工場から借りてこられ、チェクされる


そうこうしている内に、栗原がデフを持って現れる

栗「こんなもんだろ」

加「交差点でバキバキいうのか」

栗「そこまでは、いわんと・・・思う」

何故か語尾が小さい


「バキバキ行ってもええやん、楽しむ車だしな」とおっさん

「そうそう、楽しむ車やん、おれもSUツインの勉強してきたし」と佐々木

お「楽しんでくれ」

栗「じゃ組むわ」と潜っていく

「よし、オイルポンプくれ」

加藤が、90番のデフオイルの入ったオイルポンプを渡す


おっさん的には交差点バキバキのレベルでも構わない

今の2T+SUツインのうちにノンスリのバキバキに慣らす必要がるのだ

デフが入り、ドラシャがスライディンハンマーで打ち込まれる

ジャッキダウンされ

「おっしゃぁ、キャブセット行くぞ!!」と佐々木が張り切る


「おい、缶コーヒーでも呑んでから行こうぜ」とおっさんが

小銭をジャラジャラと出すと、栗原のお母さんが工場から現れ

「あんたたち、お茶も飲まんと行くつもりかい」とお怒りモード

「頂こうと思ってたとこです、こいつが急かすもんで」と手のひらを返す佐々木

やられた、と加藤とおっさん

「こないだも、ササと行っちゃて」って、それ春先の話、今梅雨明け


工場の片隅でタイヤを椅子・テーブルにしてのお茶

「そういやさぁ、なんでおっさんと神田って仲が良かったんだっけ」と加藤がいう

「俺らは機械系で神田は土木やろ、で おっさんが化け」と栗原

お「土建のポスドクの先輩覚えてねえか、シビック乗った

  あの人の所で2年の時遊んでたら、土建の研究室でな

  制震工法のところで、ゴム使っててな ゴムの性質とかで

  こっちの教授で好きそうな人が居て、話入れたら

  盛り上がってな、そっから卒研がプラント屋に自動的決まってな

  3年なんか土木の研究室入り浸りだったんだ

  そこで、神田と知り合ってな、それで食され縁と」


栗「そんな事してたんか、日本の未来に貢献してんなww」

お「おう、マジで貢献したらしいぞ 論文も何本も出てる」

佐「おっさん、そういうブリッジが多いな

   俺らも、おっさんの仲介で色々楽できたし」

加「そうそう、守川商事もブリッジして紹介してくれよ」

佐々木とおっさんが「あそこは行かんほうが・・・」と口を揃える

「連れてって、工具の沼にハメてやれや」と栗原が軽く言う

「流石は、スナップオンのバンが来る工場長は言うことが違うね」とおっさん


と、

「おっさん君、神田君から電話よ、今度はちゃんと顔出しなさいって

 言っといたから」栗原のお母さん

なんだなんだ、皆で事務所の電話に向かう

スピーカーフォンにして皆で聞く


「おっさん、調子はどう」

「今、一段落して、お茶貰って一服中

 これから峠で実走行でのキャブセット」

「悪いんだけど、うちの会社の人も明日乗せてやれん」

「なんでまた?」

会社関係とか利害関係のない仲間だから気軽に付き合えるのに と思う


電話の向こうで、何やらもめている

「もしもし、私、山崎土木の山崎と申します」

速攻で、スピーカーフォンから通常に切り替え

「ちょっとお待ち下さい」と言って、受話器を塞ぐおっさん


お「おい、神田の会社ってデカイけど同族会社だよな」

栗「うんそう聞いたことがある」

加「それで、今の社長が婿養子で、息子と娘が二人」

お「何でそんなに詳しいんだよ」

加「春先の待ち時間で色々聞いてな」

「その息子と思って対応したほうが良いな」とおっさん

皆が首を縦に振りまくる


スピーカーフォンに戻し

「もしもし、私、神田君の同期のおっさんといいます

 私の25に乗りたいとの事ですが、古い車で

 乗りにくいセットなんですが」

「望むところです、私のロードスターと比べましょう」


振り向くおっさん 

加藤が首を縦に振りまくる


「それは、山崎さんのロードスターと峠でヤルということですか」

「いえ、25と聞いて、27は有名で色々のインプレッションはありますが

 25は幻の車なんですよ、乗ってみたいとのお願いです

 しかも、今日セットアップされておられると神田君から

 聞いておりますので、明日なら皆さんのセットアップ完了の

 2T+SUツインが乗れるのではと、神田君に無理をお願いしております」


今度は、マイクを切らずに相談開始

お「エンジンは逝ってもいいけど、ボディをやられるのは困る」

佐「逝ってもいいって まぁ2Tならレギュラー仕様も落ちてるしな」

お「いきなり峠でハイどうぞはないわな」

佐「それ用にセットすれば、なんとか」


すると、電話の向こうから

「いえ、セットは皆さんの納得されるセットで

 我社の駐車場は300m四方ありますし、パイロンもあります」

「わるい、頼まれてくれん」と神田の声

向こうもスピーカーフォンの様だ

電話会議みたいになってる


また、マイクを切り受話器旗を塞いで

「完全に息子」

「間違いない」


再度のマイクオン

「プライベートジムカーナをやるとの事ですか

 で、私の25を運転してみたいと」

「そうです、この案ならパイロンに擦る程度で

 いやもちろん、傷が着けば直させていただきますが」


佐「それなら、いつもより攻めたセットしたい」

栗「ノンスリもガッツリ効くはずだし、ニセDも付けたし」

「私の車も走っていい?」と加藤


プライベートジムカーナの一言で

もうおっさんの意志は無視され始めた


「どうぞ、どうぞ、助手席に私を乗せて頂けるのなら

 そういえば、神田君が今晩呑み会とか行ってましたが

 それも私が持ちましょう、宿も含めて

 ガンガンにエアコンを効かせての鍋とかどうですか」


「のった」と加藤

「神田 それはいいのか」と確認する

「そうして貰うと、俺の会社人生的には有り難い」

「つか、俺らに呑ますと、逆にお前の会社人生終わらんか」と栗原が冷静に言う


「そこは、神田君のプラス査定はあってもマイナスはないことを保証します」

「って、皆言うんだよ、呑ます前は」とおっさん


「いえ、信用はして頂きたく

 そして、私どもの会社に夕方 6時に来て頂きたく」


「どうする、本気みたいだよ」と加藤

「そこまで言わせて、嫌だはないわな」とおっさん

「行くかぁ」と栗原

「聞こえてますよね、行かさせて頂きます」


「はい、ではお待ちしております」


と電話会議は終了した

そして飲酒運転は回避されることになった


そして、峠での実走行でのキャブセットを行う4人

順に攻めていく佐々木のキャブセット

おっさんの「これ以上攻めると返って乗りにくい、もうちょっと中が欲しい」の一言で

佐「ジムカーナだもんな、ピックアップが大事だし」

加「廻していった先よりも、廻すところでのトルクが欲しいよな」

峠の待機場でキャブを弄る佐々木

「おっさんでも、出来るだろ なんでやらんの」と加藤

「出来るけど、このメンバーで集まったら佐々木に任すかなぁ」


「ヨシ、走って」と佐々木が言う

おっさんが2本走って、加藤に渡す

加藤が戻ってきて「これ、さっきより楽な運転が出来る」

佐々木も乗り「こんなもんかぁ、おっさんの中好みだな」

最後に栗原が乗って確認


ボンネットが開けられ、プラグが確認される

「ええ色に焼けとる」と加藤

「バラツキもないな」と佐々木

「じゃ、此の辺でOKと追うことで」と栗原が〆る


そして、神田と山崎さんの待つ、山崎土木へと向かう4人であった


今宵も深けたようで

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ