第十四夜 そりゃ、キレイなお姉さん達と呑むのが一番
坂井さんに「私の立場がないんですが」との
苦情を受けるおっさんはどうする
「解りますよ、あそこで森高がやらかして、おっさんの機嫌を損ねた
それで共同責任って事で4人で部品を買う
それで、ウチはワイルドカードで残してあった
そこまでは、納得しますが・・・・・
お店の方が追加が必要って、それを4人で分けたとか
失敗しました、私も同席しておくべきでした」
と、坂井さん 続けて
「それを、一条さんから会長のルートで直接伝えられて
秘書として、やらかしたようなもんですよ
ワイルドカードはどう使われます?
それ相応のカードにして頂かないとうちの会長のメンツが
もう、会長のメンツもいいです
うちが一番、今日も来ていただいてますし」
おいおい、ぶっちゃけてるなぁ
「怒られたんですか」
「そこで怒るレベルの会長ではありませんよ
だから余計にですねぇ
うちはワイルドカードと言って貰っておる
これが、会長の一条さん達への返答ですから」
「それ、怒られてるの同じ」とボソッとなおっさん
「まぁいいじゃないですか
約束通り、今日は良平さんを宴席に出して
下座に座らせて、俺が後に座る
まずは、これをやりましょうよ」
途中で良平さんを乗せ料亭に向かう
到着は三番手
「良平さん 上座の向こう側 床柱の前に行きましょう」
「え、上座ですか」
「最初が肝心ですから、変更で
で、何があっても食事は止めない、酒も呑み続ける
無言でいいです
約束ですよ」
「坂井さん、座布団一枚追加で お酌はお願いできないから
仲居さんに話通しといて」
「え、控えは畳直で無言・無食ですが」
「爺さんからの依頼は、良平さんをこの宴席に出させる事
俺は後に座る事 それ以外は聞いてませんよ
ここは料亭 旨い飯を食って旨い酒を飲む
なにか問題ありますか」
「それで、通るとお思いですか?」
「妖怪らしいので、人間の常識は持ち合わせていないと
坂井さんから伝えておいて貰えると有り難いなぁ」
と、完全にオーラも気配も消し、暗黒笑顔でお願いをして
そこに居るはずなのに見えないレベルで気配を消すおっさん
「おっさん何処へ」と慌てる坂井さん
「ここに居ますよと」声だけで存在をアピールする
うっすらと、姿を現すと、向こうが透けて見える状態
「一条たちがビビるわけだ」と後から山崎の爺が声を掛けてくる
「おっさんの好きなように、それが最善じゃ」
「分かりました、すぐ手配します」
「料理は頼んでありますので」と良平さん
「席につこう、良平は何処に座る?」と爺さん
「上座の床柱の前 だそうです」
「おっさんは、床柱に背をもたれて呑むつもりか」
6人の宴席参加者が揃う
下座の後に正座して座る3人の控え
「それでは、はじめるかの 今日は孫の良平のお披露目じゃ」
まだ小鉢すら出ていないのに、チノパンポロシャツで
既に、がっつり床柱を背にして胡座をかいて仲居さんのお酌で
YK45を呑んでいるおっさん 前には宴会盆に載せた料理
ガツガツ食っている
会長と社長は知っているので、動かない
おっさんが、目を上げ下座側の6人を順に見ていく
オーラは完全に消し去り、気配は残したまま 目を合わせていく
「今日の控えは専務と篠山土木と関西建設の三人じゃ」と言ってたな
こっちの二人と控えは、動く気がないな
専務がお怒りで、その控えもお怒りと
でも我慢してるねぇ
もう少し煽ってみるか
「良平さん あそこのハゲは役立たずだから切ってもいいよ」とおっさん
後の控えのオーラが闘気に変わった
そんな見え見えの闘気出すから、肚が座ってないとバカにされるんだよ
「ふざけるな、控えの分際で」と言ったところで
横の二人が止める
後の控えが、目で会話して、二人に耳打ちをする
「山崎さん、良平さんに妖怪が付いたとかデマを流しましたね」と真ん中の人が言う
「篠山さん、デマとは」
「うちの控えが言うには、全くオーラを感じない
が、恐怖しか感じない と」
「ウチの控えも同じ意見です」
「しかも、この席で床柱を背に呑んで食ってる それを許す
どう考えてもおかしい 何かある と見たほうが正解でしょう」
「妖怪ではないかもしれんが、呑み喰いしたいと言われれば、出すしかなのでの」
「今日は、良平さんの復帰戦ですので、印象深く」と笑顔のおっさん
じゃぁサービスで、専務の控えを潰しておくかと
完全に気配すらも消し、専務の控えの前にしゃがみ、デコピンを入れる
ひっくり返るまえに、戻り、仲居さんに盃を差し出しお酌をして貰う
と同時に、専務の控えがひっくり返る
意識が完全に飛んでるみたいだ、物理のデコピンで飛ばすとは情けない
二人が各自の控えに「見えたか」と聞いている 首を振る二人
「良かったですよ、パワーに体が慣れてからの宴席で
抑えるが下手くそだと、ダダ漏れになりますから」とおっさん
暗に専務の控えが下手くそと言っている
「そちらの二人も消す方を覚えたほうがいいですよ
そんなダダ漏れだと見切られますよ」
「ご忠言 ありがたく」
「金言をいただきました」 と二人の控えが白旗を上げる
「何を言っている 戦いもせずに白旗か 高い金払ってるんだぞ」と頑張るが
「妖怪は妖怪でも、鵺とか戦ってはいけないたぐいですよ」
「妖怪? 違いますよ 先程の気配の消し方
おそらくワザと目の前を通ってこちらの前にしゃがんでの一撃
まったく見えなかった
我々に配慮して下さり消す方で対応して下さっていますが
出す方だと、先々週の木曜日の安来であった謎の
そう、神か悪魔が降臨したのでは、とのレベル事案の再発」
「あ、あれそんな事言われてるんだ」とおっさん
「あの日、出雲に居りましたが、目眩で倒れそうになりました
総計1000人以上の失神・失禁それも、豪のものほど酷いと来た」
「そんなに、やらかしたなぁ」
「ご本人ですか」
「ノーコメントで」と箸を進めるおっさん
「山崎さん やはり妖怪はデマ それ以上のなにかが付いたと」
「妖怪レベルならウチと篠山さんとで、なんとかなるかと
思いましたが、それ以上の何かでは 白旗が上がってますわ」
「化け物と言わない配慮、いたみいります」と盃を出しながらのおっさん
爺が手を叩き、小鉢が配膳され、盃に酒が注がれ酒宴が始まる
専務とその控えは別室に送られたようだね
しばらく、酒宴は進むが食ってるのは良平さんのみ
座卓に座る二人から、銚子を受け取り近寄ってくる二人の控え 頑張るつもりかな
結構年いってるねぇ 俺の元年齢くらいかな
仲居さんに、盃を2つ と耳打ちする
おっさんを前に正座で座り、一献 と酒を勧めてくる
「盃は」と返すおっさん
「控えは、無言・無食なので」とハモる二人
「でも、喋ってるでしょ、私の酒を呑むつもりはないと」
と、ちょっと遊んでみるかと気配全消し
その瞬間 二人共完全防御体制に切り替わってる
手練だねぇ でもそのレベルではデコピン一発だよ
「お戯れは勘弁して頂きたい」
「座ったままだが、なにか」
あちゃ、片方が意識飛ばして正座のままガックリとなる
「恐怖を具現化するとこうなると、起こしてあげて」
後に周り柔道の落ちた人を戻す技で、意識を戻そうとするが
諦めて、寝かす
座卓の方では、食べて呑んでるのは良平さんだけが続いてる
爺も父も客人二人も完全に手が止まってる
よしよし、何があっても食って呑んで のお願いは聞き届いてる
これで「良平さんは豪胆との評判が立つ」とニヤリとするおっさん
で、そのニヤリに3人が反応する
一人倒れた で、控えの人が 失礼と戻り介抱する
爺が「何をした?」
爺からは見えていない角度だしなぁ
「良平さんだけが食って呑んでるから、豪胆との評判になるなぁ でニヤリとしただけですよ」
「一条の言っていた「恐怖の笑顔」ってやつか」と勝手に納得する爺さん
座卓の上に料理がいっぱいになってる 食ってるのが良平さんだけだし
そうなるわな 良平さんが水物を食べ終わるのを見て
「良平さん 出ましょうか 我々が居ると食事も出来ないらしい」
と、何処かで言ったセリフに似ているのを再度言うおっさん
「その様ですね、それでは失礼します」
と立ち上がり出ていく良平さん 付いていくおっさん 演出しないとね
良平さんとおっさんが出ていった後の部屋では
「山崎さん、あれでは、恐怖を支配する悪魔じゃないですか
妖怪とかのレベルではない」
唯一残った関西の人が爺に苦情を言う
「あれが、良平に付いたと思って頂ければ」
「あんな化け物が簡単に人に付く訳が」
「現に今夜、良平をこの宴席に出し、後に座った これが事実だ」
3つ隣の部屋で、待機中に食事をしている坂井さんの気配を察知して、
良平さんを止め、すっとふすまを開けるおっさん
二人でズカズカと入っていき
「キレイなお姉さんと呑みたいなぁ」とすっとぼけて言うおっさん
「そうですね、爺と呑んでも楽しくありませんし、坂井さんとなら」と合わせる良平さん
現代なら完全なセクハラ・アルハラだが、異世界だし80年代で緩い
と、そこへ女将が現れ「あたしじゃダメですか」と乗ってくる
このタイミングで、ここに来るとか、女将も妖怪レベルだな
「ダメと言ったら、出禁になりますし、よろしくとしか」と良平さん
良平さんも言う様になった 「言いますねぇ」と笑うおっさん
「ちゃんと別の部屋に布団は用意してありますから4人で呑みましょう」
「え、私とですか」
「そりゃ、キレイなお姉さん達と呑むのが一番」とおっさん
「あら、嬉しいことを ちゃんと達と言われるとか」と女将
と4人で呑み始めて、坂井さんが「上手く行きました?」と訊いてくる
「良平さんに妖怪が付いた は失敗ですね」
「なぜ?」
「付いたのが恐怖を支配する悪魔だったってことで」とおっさん
「おっさんがそう言うなら、来週には、そう言う噂が流れますよ」と良平さん
「私は何も感じませんでしたが」
「出すほうじゃなくて、消す方で恐怖の支配を 消されたら感じないでしょ
しかし、篠山さんとこの控えは優秀だわ
最後まで耐え抜いた」
「専務と専務の控えは早々に出てきましたが」
「うん、追い出した、気に入らないから」とおっさん
「あの人、最近評判の若手の控えですよ」
「アレが評判とか、レベル低いね」と言い切るおっさん
「篠山さんとこが消す方を覚えれば、多少は使えるかな
皆出す方ばっかやるからダメなんだよね」
「まぁキレイなお姉さん二人も居るから呑みましょうよ。女将、肴は」
手を叩くと同時に襖が開き、仲居さんが肴を配膳しだす
夜も深けて、料亭の布団で寝るおっさん
今宵も、夜が更けたようで それではまた
床柱を背にして座る
和室で座卓に座布団 基本 もたれる処はないのです
床の間の柱は 皆が鑑賞する床の間の柱
それを 背にしてもたれて呑む 無作法もいいとこ
俺が一番上 逆らうな の意思表示




