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下書き用  作者: 藤堂 元気
8/11

8:冒険者ギルドの没落(終章)

冒険者side



王都からきた冒険者ギルドの職員であるネフリムは焦っていた


「まずいまずいぞ!」

捕まったギルドマスターの後釜に成れると思って来たのにグレートウルフが現れた事で全ての歯車が狂ってしまった


「とりあえず上級冒険者は集めたが勝てるだろうか?」

Aランクの魔物は1体でも小さな街なら壊滅するような魔物なので特級冒険者を招集する事が出来る


しかしネフリムは特級冒険者では無く上級冒険者を集める事で対処しようとしていた


特級冒険者が来る前に街に被害が出れば自身の責任になると考えたからだ


「教団に頭を下げるなどしたくないしやるしかない……」

ネフリムも教団を軽視していた


「ネフリムさん出発の準備が出来ました」

「そ、そうか。ならすぐに出発させろ」

「わかりました」

職員に指示を出すと椅子に深く腰かけて祈るように目を瞑る




「これよりグレートウルフ討伐に出発する!」

「「おー!」」

冒険者を率いるのは上級冒険者の中でも下層を中心に活躍しているベテランのガリオス


森に入った冒険者達は周囲を用心深く観察しながら探索していく


「まだ気配がしませんね」

「そうだな」

「何人か斥候に出しますか?」

「いや、ウルフも20匹は居るらしいから危険だろう」

「では固まって動きましょう」

冒険者達はウルフの数を警戒して固まって動いていたが既に致命的なミスを侵していた


普段ダンジョンでは最大でも5匹しか出てこず、ダンジョンは迷路のようになっているため通路の分かれ道などを注意すればよかった


しかし、ここは森である。ウルフの嗅覚は森への侵入者を捉えており人間が知覚出来る範囲の外から囲まれている事に気付いていなかった


「けっこう奥まで来たがウルフすら見掛けないな」

「どうします?」

「そうだな……」

『アォーーン!』


「ウルフの遠吠えか?」

「周囲を警戒!」

「ど、何処だ?!」

「落ち着いて警戒しろ!」

しばらく警戒するがウルフは現れない


「なんだったんだ?」

「俺たちが居るのがバレているかもしれない」


『アォーーーン!』


「またか!」

「ちっ!何処にいやがる!」

ウルフ達は遠吠えを聞かせる事で冒険者達を警戒させ疲労させている。それに気付けない冒険者達は遠吠えが聞こえる度に疲労を蓄積させていた


「クソ!声は聞こえるのに襲って来ないとはな」

「奴ら遊んでやがるのか?」

「皆疲労しています、休憩を取らないと不味いですよ」

「しょうがない。休憩を取るぞ」

冒険者達は休憩を取り始めたが遠吠えは続いていた


『アォーーーン!』


「へっ、まだ鳴いてやがるぜ」

「怖くて鳴いてんじゃねえのか?」

「「ガハハハ!」」


冒険者が油断をし始めた頃を見計らったかのようにゴブリンの集団が現れる


「ちっ、ゴブリンかよ」

「数が多いぞ気をつけろ」

「なんでゴブリンの集団が?」

「へっ、ゴブリンなんざ楽勝よ」

冒険者達はゴブリンには苦戦しないが注意は引かれてしまった


『ガウッ!』

「ギャー!足が!うわやめろー!」

ゴブリンに気を取られている冒険者の足にウルフが噛み付いて引き倒し複数で噛み殺される


「ウルフが来やがったぞ!」

「ゴブリンは罠か!」

『ガウ!』

「ちくしょう!」

遠吠えで疲れさせて慣れた所にゴブリンを追い込んだ事で冒険者達は対応出来ずに殺されていく


ダンジョンとは違う自然や他の魔物を使った罠に翻弄されるのはダンジョン専門の冒険者特有の慣れによる弊害であった


事前の下調べやダンジョンとは違う地上での狩りの仕方を学ばなかった冒険者達は実力では勝るウルフに翻弄されてしまった


「逃げるぞ!」

「無理です囲まれてます!」

「無理矢理にでも突破するしかない!全員向こうに突っ切るぞ!」

「死にたくない!」

「死にたくないなら剣を振るえ!」

ウルフとゴブリンの囲いを突破しようと冒険者達は1箇所を食い破ろうと死に物狂いで走り込んだ



「はあはあ…」

「なんとか逃げられたか…」

「ガリオスさん…」

「何人生き残った?」

「32人中4人です」

「4人しか生き残れなかったか…」

「戻りましょう」

「ああ…」

こうしてグレートウルフの姿すら見ることが出来ないまま28人もの犠牲を出して討伐作戦は失敗となった


「馬鹿な……」

報告をきいたネフリムは唖然となった


「ネフリムさん、こうなっては特級冒険者を招集するしかありません」

「今更呼んでも俺の失態は取り消せない!」

「しかし、グレートウルフを放置するわけにはいきません」

「わかっている!」

今から呼んでも最短で1ヶ月、今回の失敗で危険度が上がったので特級冒険者の数を揃えるためには更に数週間はかかるだろう


「教団に相談しては?」

「教団などに頼れるか!」

「教団騎士ならば倒せる可能性があります」


教団はダンジョンの氾濫に備えるために各地域に10日以内に到着出来るように特級クラスの騎士を複数名配属している

この街の周辺でも特級騎士3名、上級騎士40名、中級騎士70名を10日以内で集める事が出来る。さらに司祭は140名と継続戦闘能力も非常に高い


利益優先の冒険者ギルドと違い人類の守護者としての役割を自認する教団は士気も高く統率されているので戦力は比較にならない


ただし、その戦力から容易に動かす事が出来ないので国や領主からの要請又は突発的な災害の時のみ動く事を認められている


今回の場合は既に被害が出ているので動いても問題にならないが、冒険者ギルドと癒着している領主が教団が動く事に難色を示している


「領主様になんて報告すればいいんだ…」

「事実を話すしかないかと」

この後領主に報告したが激しく叱責されたネフリムは王都へと逃げ帰り閑職に回されて一生を終える事になる





神野 剛side



「冒険者ギルドの討伐作戦は失敗に終わりました」

「やはり失敗しましたか」

「はい、28名の犠牲が出ました」

「そんなにですか」

「ウルフによって追い込まれたゴブリンに襲われた所を狙われたそうです。グレートウルフの姿すら確認出来なかったようで領主から激しい叱責にあったとか」

「野生のウルフに無策で行けばそうなりますね」

「冒険者はダンジョンに慣れきってますから油断したのでしょうか?」

「おそらくそうでしょうがグレートウルフに統率されていたのならウルフは危険度Cランクになると思いますよ」

「ウルフはEランクですよね?」

「集団ならDランク相当ですね。更に統率者がいて森ならCランク相当でもおかしくありません」

「なんと……」

「ツヨシ殿の仰る通りかと」

この街唯一の特級騎士であるアルベルトが同意する


「アルベルト殿もツヨシ殿と同じ意見ですか」

「はい、ウルフは森では捕食者として上位に位置します。グレートウルフがAランクなのも森の中に居るからです」

「森の外ならどうなのですか?」

「Bランク上位でしょう」

「ツヨシ殿はどう思われますか?」

「アルベルト殿と同じ意見ですね。ですが森から出ることはないと思いますのでAランクで間違い無いかと」

「そうですか……。討伐するならどの程度の戦力が必要だと思いますか?」

「万全を期すなら特級騎士5名上級騎士50名は欲しいですね」

「付近には特級騎士は2名ですから足りませんね」

「ツヨシ殿が協力してくれるなら3名でもいけると思います」

「ふむ……。ツヨシ殿はどうですか?」

「直接戦闘では役にたちませんが探索ならお役に立てると思います」

「探索ですか?」

「はい、ウルフは召喚出来るので匂いを誤魔化して事前に探索出来ます」

「なるほど!」

「空中からも探索が可能ですから随伴でも少しは役に立てますね」

「少しなどと謙遜ですな。探索こそが最も重要ですからな」

「では討伐の時にはツヨシ殿に協力を要請しましょう」

「わかりました。それまではダンジョンでレベル上げをしてます」

「でしたらアルベルト殿と上級に行ってみては如何ですか?」

「上級ですか?」

「それはいい。ツヨシ殿のレベルが上がるほど私たちの安全性が上がりますからお願いしたい」

「そうですかよろしくお願いします」

アルベルト殿と上級ダンジョンに行く事になったので準備の為に退室しようとしたら急報が舞い込む


「神官長様、領主が私兵を集めています」

「まさか自身で討伐するつもりですか」

「私兵の人数はどの程度ですか?」

「どうやら2000を連れて行くようです」

「馬鹿なのかな?」

「無駄死にでしょうな」

「2000も居れば倒せるのでは?」

「全員が上級クラスなら可能でしょうね」

「そうですな。実際は下級から中級上位でしょうが大半は中級下位ですな」

「森を大人数で追い込んで倒すつもりでしょうがウルフからは動きが丸見えですから各個撃破されるでしょうね」

「うむ、グレートウルフなら単騎で100人単位を翻弄出来るので相手にもなりませんな」

「止めた方が宜しいのでは?」

「領主様は冒険者ギルドとの癒着を疑われていますので討伐が失敗した事で国の上層部からの責任追及を恐れているのではないですかな」

「なるほど、教団に頼めばギルドにいい顔をされないし自身の手で解決すれば国からの追求もかわせると言う事ですか」

「おそらくはそうなのでしょう」

「せめて早めに撤退してくれるといいですが…」

「難しいでしょうな」

領主からしたら私兵の命など気にしないだろうからな


「我々は独自に準備しましょう」

「そうですね」


『コンコン』

ノックの後に入ってきたのは一緒に冒険者ギルドに登録した子達だ


「あー!おっさん!ようやく会えた」

「久しぶり!」

「お久しぶりです」

「その節はお世話になりました」

「よう、久しぶりだな」

「皆さんどうされたのですか?」

「おっさんが冒険者ギルドをクビになってから心配してたんだけど全然会えないからさ」

「教団に来てるって聞いたから会いに来たの」

「そうでしたか」

「心配してくれてありがとうな、えっと……。ちゃんと自己紹介してなかったな神野 剛だ」

「俺は鈴木 光」

「あたしは南野 明日香よ」

「私は神谷 恭子です」

「僕は神谷 健太です」


「2人は兄弟か?」

「私たちは双子です」

「そうなのか」

「似ていないと言われますが」

「性格は似てるのにね」

「確かに!」

「「そうでしょうか?」」

「ほら!」

「挨拶はすみましたかな?」

「すみません押しかけてしまって」

「構いませんよ。ちょうど話も終わったところでしたし」

「ふむ、光達は上級ダンジョンに行ってるんだったな?」

「まだ低層でウロウロしてるけどな」

「上級からはレベルが違います」

「そうよね、私のパンチで倒せないもの」

「僕は回復なので安全ですけどね」

「ふむ、ツヨシ殿と上級ダンジョンにいくので少し見てやろうか?」

「え?おっさん上級に行けるの?」

「召喚師なのに凄いよね!」

「お前らより強いかもしれないぞ?」

「そんなにつよいんですか?」

「僕達はこれでも上級職ですよ?」

「なんなら模擬戦はどうだ?」

アルベルトが勝手に話を進めている


「いいぜ!」

「望む所よ!」

「やりましょう」

「神野さんの強さを見せて貰いましょう」

「ツヨシ殿も宜しいな?」

「仕方ないか」


訓練所に着いたので向かい合って立つ


「ツヨシ殿は先に召喚してくれたまえ」


せっかくだから上がった召喚を試すか


━━━━━━━━━━━━━━━

神野 剛


召喚師Lv37


体力4300

魔力26000


スキル

召喚Lv7 剣術Lv7 魔力強化Lv5 体力強化Lv5

召喚魔力軽減Lv6 召喚獣強化Lv7


固有スキル

女神の加護

━━━━━━━━━━━━━━━


召喚Lv6

エンジェル MP7000 Bランク

デーモン MP6500 Bランク



召喚Lv7

ゴーレムナイト MP9400 Bランク

グリフォン MP8900 Bランク



今回から分かりやすくランクも書いてみたぞ



「さて、どの程度戦えるかな?」


『召喚ゴーレムナイト、エンジェル、オーガ』


「「?!」」

召喚獣を見て驚いている


「それじゃあいいかな?」

「ちょ!」

「いやいや!」

「なんですかそれは!」

「おかしいですよ!」

「どうかしたか?」


「驚くのはわかるが戦いでは想定外は有り得る事だ」

「ぐっ!」

「分かりました」

「では始めるぞ。………始め!」


「ゴーレムナイトとオーガは前進。エンジェルは援護しろ」

ゴーレムナイトは光にオーガは明日香に向かっていく


「光やるわよ」

「おう!」

「ねえちゃんは明日香を援護!」

「わかったわ」


『グラッ!』

「きゃ!」

「明日香!」

オーガのパンチで明日香が吹き飛ぶ

「回復します!ヒール」


『ゴー』

「ちくしょう硬ぇ!」

光がゴーレムナイトに切りかかるが盾で防がれて当たらないどころか逆に押し込まれていく

「サンダーアロー」

『ライトニング』

「きゃーー!」

恭子のサンダーアローはエンジェルのライトニングでかき消された挙句貫通した


「不味い!エリアヒール」

健太は範囲回復をするが追いついていない


『ガア!』

『ゴー』

『ホーリーレイン』

「「うわ〜!」」


「そこまで!勝者ツヨシ!」

流石にBランク2体とCランクだ。しかも強化されているので俺の出番がまったく無い


「負けた!」

「強すぎよ…」

「私の魔法が…」

「回復しますよ」

「エンジェルも回復だ」

『イエスマスター。エクストラヒール』

「上級回復魔法?!」

「エンジェルは喋れるんだな」

『はい、喋れます』

「ほう、流石に上級の魔物だな。いや、魔物か?」

『私は天使ですので魔物ではありません』

「天使?」

『はい、めが…_』

「ごほん!申し訳ないが手の内は明かせないな」

「そうか、それもそうだな」

危なかった!女神って言おうとしてたな

『マスター?』

「悪いが女神の事を話すのは禁止だ」

『わかりました』

女神と関わりがあるなんて知れたら大変な事になるわ


「それじゃあ俺は準備があるから失礼する。アルベルト殿、上級ダンジョンは明日から頼む」

「わかった準備しておこう」

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