10:剛あれを買う(修正)
別作品のクズ石の傭兵団をメインで書いてるため遅くなりました
元受付嬢の名前ミランダ→シルビアに変更しました
半眠で書いていたためバッカス組のミランダと同じ名前になっていました
上級ダンジョンを探索する事15日
領主の企みが露呈してきたようだ
「ツヨシ殿、領主の考えが読めましたぞ」
「分かったのですか?」
「ええ、グレートウルフを使役出来ればよし、失敗しても隣の領地に誘導するようです」
「隣の?」
「隣の領主とは何代も前から争っているのでグレートウルフを嗾けるつもりですね」
「怒り狂ったグレートウルフが街に入ればどれだけの犠牲が出ることか……」
「防止せねばなりません」
「しかし領主の行動を止めるなら確実な証拠が必要になりますよ?」
「残念ながら用意出来ませんので先にグレートウルフを討伐するしかありません」
「特級騎士は集まったのですか?」
「アルベルト殿だけです」
「それは……」
「ツヨシ殿……お力をお貸しください」
「………わかりました」
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神野 剛
召喚王Lv5
体力8300
魔力73000
スキル
上級召喚Lv2
剣王 槍術Lv4
魔道の極 体力超強化
固有スキル
女神の加護
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召喚王
召喚師を超えた存在。上級召喚が可能になる
上級召喚
召喚を極めた者が辿り着く境地
Lv1
キマイラMP21000 ランクA
ワイバーンMP34000 ランクA
Lv2
ケルベロスMP48000 ランクAA
ブラッドオーガMP54000 ランクAA
剣王
剣術を極めた者
魔道の極
魔力が極限まで高まる
体力超強化
体力の上昇値が高まる
特級クラスを超えてしまったかも知れない……
「ツヨシ殿?」
「なんでもありません」
「ではグレートウルフを討伐いたしましょう」
神官長との話し合いをした翌日偵察をする事にした
『召喚ワイバーン』
『キュルル』
「よいしょ、頼むな」
ワイバーンに乗り森の上から偵察するが木が邪魔でよく見えない
「グレートウルフはどこら辺にいるんだろうか?」
見える範囲には気配は感じない
「あっちの丘に向かってくれ」
『キュルル!』
丘に近づくとウルフが数匹居る
「あれは?小さいのが見えるな…いや、グレートウルフの子供か?」
どうやら複数の子供を産んで育てているようだ
「ふむ、丘が巣なのか?」
『ワォーン!』
あれは親のかな?子供を呼んだようで丘へと走っていく
「ワイバーン、気付かれないように追ってくれ」
『キュルル』
丘の後ろ側に巣があるようでウルフが集まっていた
「ここが巣だな。確認したし帰るぞ」
翌日神殿で神官長とアルベルトを交えて話し合いを行った
「それでは丘の向こうに巣があるのですか」
「確認した所丘を中心にウルフ達を使って狩りをしていました」
「何故街道に出たのでしょうか?」
「おそらくは冒険者が刺激したのでしょう」
「では領主が刺激する前に倒してしまいましょう」
2日後に討伐する事が決まった
「準備はあまり無いんだよな…」
街を歩いていると領主の私兵をよく見かける
グレートウルフを討伐するにしては緊張感が無い
「なあ、グレートウルフはどうするんだ?」
「あ?領主がなんか使うって言ってたぞ」
「そうなのか、待機でも金は貰えるからいいんだけどな」
「まあな、俺たちは待機の方がいいよな」
「今日も娼館に行くかな?」
「お前も好きだな」
「いいだろ別に」
「俺は奴隷派だな」
「高いだろうが」
「馬鹿、今は元冒険者が安いんだよ」
「ああ、召喚師と揉めたからか」
「グレートウルフ討伐も失敗して金が無い奴は奴隷か娼婦になるしか無いからな」
えへぇ、中級ダンジョンに行けないから借金を払えなくなったのか
「嫌よ!」
「おいおい、お前ら金が無いんだろ?」
「だからって仲間を売れるかよ!」
「今なら借金も少ないし娼館で働けば返せるんだぞ?」
「しっかり払うわ!」
あれは?バッカス達か?
「どうした?」
「あ!ツヨシさん!」
「お兄さん!」
「あ?なんだてめえは?」
「召喚師だが?」
「げっ!」
「俺の連れに何かようか?」
「い、いや、借金を返して貰いに来ただけだ…」
「ふむ、幾らだ?」
「金貨3枚だが…」
安いやないかい
「ほら、これでいいか?」
「あ、ああ…」
「よし、行くぞ」
「お、お兄さん?!」
「ツヨシさん!」
「ヘンリーとセシリーはどうした?」
「冒険者ギルドにいる」
「呼んで来い」
「分かったけど…」
「身体で払って貰うぞ…」
「え?」
「ちょっと待ってくれよ!」
「なんだ?払わないつもりか?」
わざと言ってます
「俺が払うから!」
「駄目だな…全員で払って貰う」
「お兄さん…両刀?…」
「違うわ。ダンジョンに行くぞ」
「ダンジョンに?」
「あ!わざと言ってたのね!」
「あぁ!」
「ぶふっ!」
「笑った!」
「アーッハッハ!」
「ひでえよ?!」
「すまんすまん」
「も〜!」
からかってみたよ
「ツヨシさんありがとうございます」
「頑張ります」
「む〜」
「ミランダそろそろ…」
「分かってるわよ」
「それじゃあ行くぞ。荷物持ちだから前に出るなよ」
4人を連れ上級ダンジョンに入る
「ねえ大丈夫なの?」
「ん?」
「私達は中級低層でも危ないのよ?」
「まあ見てろ」
『召喚キマイラ、ケルベロス』
『ガァァァ!』
「「ひっ?!」」
『『ガオー!』』
「「ぎゃあ?!」」
「なんだよこれ!」
「何なの?!」
「キマイラ…」
「け、ケルベロスが…」
「行くか」
「うぉーい!」
「なんだ?」
「特級の魔物を召喚…」
「信じらません」
「……」
「ミランダ?」
「気絶してますね」
ミランダが気絶するアクシデントはあったが順調に上級ダンジョンを攻略していく
『ガアー!』
キマイラがジェネラルをお手玉して遊んでいる
『『グラァー』』
ケルベロスは3つの口から火を吹いてジェネラルを焼き殺す
「「……」」
ふむ、流石に強いな
ブラッドオーガも試そう
『召喚ブラッドオーガ』
『ゴア』
「ほう、これは強そうだ」
赤い身体でオーガより筋肉質で身体も大きい
『ガッ!』
『『ぶひぃ?!』』
殴るとジェネラルの身体が爆散する
「「……」」
「こりゃ凄い」
『ゴア!』
「よしよし」
どんどんジェネラルを倒して素材を集める
「肉も出るし稼げるな」
ジェネラルは鉄のインゴットを落とすので、大量に集められなかったが今日は4人の荷物持ちがいるので楽だ
「さて帰るか」
『召喚バイコーン×4』
『『ブルル』』
「荷物を乗せていいぞ?」
「「……」」
終始無言で荷物持ちをしているな
街に戻り素材を売却した
「今日は金貨6枚だな」
「「………」」
「お疲れ様。これで借金は無しだな」
「おかしいだろうよ!」
「なんなの!」
「上級を散歩してますよ!」
「3時間で金貨6枚ってなんですか!」
いきなり喋りだした
「普通だが?」
「「……」」
「普通じゃねえよーー!」
「それだけ稼げるなら簡単に払うはずよ!」
「召喚師ってなんなんですか!」
「有り得ませんよ!」
なんかこいつらあの4人に似てるな
「まあ、突き詰めればどんな職業でも強いと言う事だな」
「だからって…」
「ちょっとまて…」
「なによ?」
「レベルが上がってる…」
「ホントだ…」
「しかも7も上がってますよ…」
「これなら中級行けるんじゃないですか?」
「ああ行けるぜ!」
やっぱり上がってたか
「ツヨシさんありがとう!」
「これで稼げるわ!」
「でもいいんですか?」
「なんかズルしてるような…」
「今はオーク肉が足りないからお前達も働けよ」
すぐにグレートウルフは倒す予定だが、冒険者が動けない以上バッカス達には頑張って貰わないと困る
「分かったよ!」
「ありがとうお兄さん」
「頑張ります」
「恩は返します」
「もし必要なら俺の名前を出せば教団が司祭を派遣してくれるからな」
「「ありがとうございます!」」
バッカス達と分かれて奴隷商を覗きにいく
ちょっと興味が沸いたからだ
「いらっしゃいませ」
「見させて貰うよ」
この世界の奴隷商は店舗を持たずに奴隷を扱っている
奴隷の首に着いている隷属の首輪は強力なので逃げ出す事が出来ない
そのため通りに椅子などを置いて座らせている
寝かせる時は雨風が凌げる程度のあばら家で寝泊まりするため非常に扱いが悪い
物として扱われる為奴隷になると人生は終わるとまで言われている
「う〜ん、どれもぱっとしないな」
死んだ目の人間を見ても働きがいいかは分からないな
日本人としてはあまりよろしく無い光景ではあるが流石に慣れてしまった
「あれ?」
まさかの受付嬢を発見してしまう
「…あなたは」
「久しぶりだな…」
「ツヨシさんでしたね…」
「ああ…」
「…」
視線を下げて黙ってしまう
可哀想だが同情してもな…
「それじゃ…あ…」
あれ?
「なあ」
「…なんですか?」
「職業って」
「…盗賊ですが」
「それって罠とか解除出来るのか?」
「…出来ますが上級じゃないと必要無いのでハズレ職ですよ」
「ハズレ?」
「…魔道具で代用出来ますから攻撃力の無い盗賊はハズレなんです」
だから俺にしつこいくらいに注意してたのか…
だけど魔道具なんて変わりになるのか?
「魔道具は完全に罠を発見出来るのか?」
「…7割あればいいそうですが…」
「盗賊なら?」
「?レベルが高いなら確実に回避出来ますが6人しか入れ無いダンジョンに連れてくなんてしませんよ…」
え?俺なら余裕なんだが…
召喚師の召喚獣はパーティメンバーに入らないのだよ
「もし俺が買うと言ったらどうする?」
「…私をですか?どうせあと2日で娼館に売られるので好きにしたらどうですか?」
確かに美人だしスタイルもいいのに盗賊だから金貨15枚と安い
ちなみに職業が良ければこのクラスの美人なら金貨50〜70枚ほどのようだ
「すまない、この子を買う」
「ありがとうございます」
「15枚だな」
「頂戴しました。しかしお兄さんは運がいい。その子は隠してますが美人でスタイルもいいですからね。盗賊じゃなきゃ高く売れましたよ」
「確かに運が良かった」
盗賊はダンジョン攻略に絶対に必要だ
7割の魔道具なんて怖くて使えないわ
「さてシルビア」
「…はいご主人様」
「まずは服だな」
「奴隷ですよ?」
「だから?」
「奴隷など布切れで充分です…」
「そうか、なら布切れを買いに行くぞ」
「…はい」
受付嬢改めシルビアを連れてカヤの店に行く
「あらお兄さん、いらっしゃい」
「よお、布切れを買いに来たぞ」
「布切れ?」
「ああ、奴隷を買ったから着せる」
「お兄さん…」
「そこにあるだろ?」
「ぶっ!分かったわ。布切れを見繕うわね」
「頼む。あと風呂を貸してくれないか?」
「しょうがないわね…特別よ?」
「ああ」
カヤにシルビアを任せて店内を物色する
「なあ」
「何でしょうか?」
「罠解除の道具はあるか?」
「御座いますが…」
「なら貰おう」
「…分かりました」
買い物をしていたらシルビアが帰ってきた
「ご主人様。布切れじゃ無いのですが…」
「ん?布切れだろ?」
「お兄さん。あんまり言って欲しくないのだけど」
「すまんな。シルビアが布切れしか着たくないらしくてな」
「もう」
風呂に入って着替えたシルビアは受付嬢の時より綺麗になっている
おそらく盗賊なのであまりいい待遇では無かったのだろう
「さて帰るか」
「はいご主人様」
宿に帰り2人部屋に変えて貰い夕食を頼む
「お兄さん食事はどうするの?」
「う〜ん。確か奴隷は残飯だったな」
「え?」
俺は変わっているので普通の食事をさせると思ったようだ
「女将。俺はこれな、奴隷にはこれにする」
「まあ…やっぱり優しいのね」
「なんの事かな?」
「うふふ。部屋に持って行くわね」
「頼む」
しばらく待つと料理が運ばれて来たがシルビアは床に座っている
「何してる?」
「座っています」
「床が汚れるから椅子に座れ」
「…ですが」
「命令だ」
「はい…」
「お前はこれを食べろ」
「ですが…」
「なんだ残飯じゃ不足か?」
「いえ」
まあ、残飯じゃなく消化のいいお粥のような物とスープなんだが
「あの…」
「なんだ?」
「なんで私を買ったんですか?」
「必要だからだ」
「でも盗賊ですよ?」
「俺は召喚師だが?」
「お金は…」
「稼いでいるが?」
「召喚師ですよね?」
「そうだが?」
「…私は貴方を馬鹿にしていたんですよ?」
「違うな。同じハズレ職だから心配していたんだろ?」
「どうして…」
「最初は思ったが職業を知れば分かる」
「わた…し…は」
「まあ、心配するな」
「……」
「シルビアも強くなるからな」
「盗賊が強くなんて…」
「ふむ、なら明日1日で強くならなかったらこれをやろう」
ゴトリとテーブルに金額の詰まった袋を置く
「え?」
「金貨130枚はあるから自分を買い戻せるぞ?」
「なんでそんなお金を…」
「だから稼いでいると言ったろ?」
「……」
全ては明日分かるさ