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Freedom Survive Online〜回避特化近接魔法使いの軌跡〜  作者: 海溝
1章 全ての始まり
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8話 魔法陣を破壊しよう!

「ここだ。まあ結界の中心部なら、の話だけど」

「なんでそんなに知ってる?」

「修行の成果だ」


 正確には師匠に叩き込まれた知識だけどな。魔法に関しての練習は完全に自主練だったが、知識はいろいろ教えてくれた。結界や呪い、魔法の仕組みや魔法陣についてとか。正直教科書が欲しかったので手書きメモを取った(実際はタイピング入力できるメモ)。


「えーっと、あれ? 六角形じゃないのか」


 そもそも形を決定付ける魔法陣が存在しない…………ダミーかよ。


「この下か?」

「やる」

「はいはい」


 アヤカがやると言ったので一歩下がる。さっきは俺のフォローばっかりだったからこいつの本領を見るのは初めてだな。


「アースクリエイト、アースエンチャント」


 エンチャントエンチャント、あ、あったあった。なんだっけ? MPの最大値を削って生物、武器、魔法に魔力効果を付与する。削る値は武器<生物<魔法であり、武器の場合はレア度、生物の場合はLv、魔法の場合は込められた魔力量でさらに変動する。


「魔法に重ね掛け、つまり威力上昇か。で、元のがそもそもだから…………ウィンドクリエイト、ウィンドウォール、ウィンドエンチャント、ウィンドエンチャント」


 風の壁を直接生成し、その裏にウィンドクリエイトで作った壁を設置。そしてどちらにもエンチャントをかける。

 まあ後は適宜対応だな。

 多分だけど頭のおかしい威力になる。風圧然り破片然り。

 という事で防御に専念する。下手したら死んでまうわ。


「えい!」


 可愛い掛け声と共に可愛くない威力の岩が床を貫く。

 うわぁ、あったまおっかしー

 すごい風だなー、すごい大量の床の破片だなぁ…………うん、やっべぇ


「ファイアウォール! ウィンドウォール! アースウォール! ファイアクリエイト! ウィンドクリエイト! アースクリエイト!」


 さらにクリエイト系魔法をそれぞれ10ほど発動しでかい破片を落とす落とす落とす落とす!


「下」

「ん? ってお前さらっと俺の後ろで守られてるんじゃねえ! お前も防御しろ!」

「残念無念」


 …………もしかしなくてもMP切れです? 待てやお前、そんなに本気出す必要あった? なかったよね? 


「左のポーチの左端がMPポーションだ。てか持ってないのか?」

「徘徊ボスが悪い」


 あ、あー、最悪の乱数引いたのか……。

 どうやらこの街に来る途中に徘徊ボス、しかもこいつらが苦戦するレベルの強敵に遭ったらしい。


「相性差」

「え? 物理も魔法もいたんだろ?」


 MPポーションを飲みながらそう言われたが、どういう相性だ?


「状態異常耐性皆無」

「但し物理魔法共に高耐久、と。てことはあそこ脳筋ばっかりかよ……」

「そう」


 じゃああいつら下手したら今現在苦戦してるんじゃ…………


「っと、魔法陣忘れてた。降りるぞ」


 まああいつらは勝手になんとかするか。

 ウィンドクリエイトで体を包み降りる。何故かアヤカは俺にひっついて一緒に降りた。


「節約」

「俺の心労は無視ですか」


 これでも一応思春期男子だぞ。青春はゲームに捧げてるけど。


「疲れる?」

「いや特に」

「じゃあいい」


 俺は腕を抱かれたまま魔法陣へ近寄る……………………これは、やばいんじゃねえの?


「負の感情を魔力に変換し、結界を構築、結界範囲内では強化……効果は……どれだ? えーっと……メモの内容が膨大すぎて分かんねえ」

「見して」

「お願いしまーす」


 こういうのは得意なやつに任せる。すると、しばらくメモをパラパラめくっていたアヤカがそれを閉じ、バフ内容を教えてくれる。


「身体強化、時間経過蘇生、装備効果付与、内容は守護」

「デバフの方は?」

「身体能力低下、魔力妨害」


 味方を強化して敵を弱体化するか。ありきたりだけど強力だな。にしても蘇生付きか、そのコストはやはり負の感情からか?

 しかしこの機能は結界がないと機能しないらしく、今は問題ない。とはいえ再起動されると迷惑だな…………この魔法陣壊すか。


「スクショ」

「そう言えばそんなのあったな。っと、パシャリ」


 パシャッという音が鳴り、撮影が完了。破壊作業に入る。


「とは言え魔法陣ってそれ自体が魔法陣に結界を作ってるらしいんだ。へたな魔法は通さないし、ちょっとの傷だと復元される。一気に壊さないとダメらしい」

「つまり?」

「剣とかで傷付けるってのは無理だし、半端な魔法じゃ防がれる」

「魔法陣は最強クラス?」

「まあ手間暇を無視すれば最強クラスの発動方法だな…………なあ、設置(セット)のスキル持ってる?」


 設置(セット)とは、魔法を特定時間後に発動するスキルの事だ。とまあ字面だけを見ればすっごい便利な魔法に見えるかもしれないが、体のどこかの部位が設置したい所と接触していないといけないのと、設置時に魔法陣が見えるから普通にその進路よければいいっていう欠陥スキルだ。

 但し、それはプレイヤースキルが一定以下の人間に限った話。


 例えば横にいるアヤカ、例えば上で暴れているであろうメイやトリス、例えば楽しく見物を決め込んでいるであろうアフロディー、そして師匠や俺。


 この魔法の真骨頂、それは、“複数の人間で発動させる魔法を擬似的に一人で行える”という所にある。


 その複数の人間で発動する魔法には2種類あり、複数人のMPを使い、一つの魔法を発動するものと、複数人がそれぞれ同時に魔法を発動し、それを一つにまとめて強力な威力を生み出す物。


 この設置を使って行うのは後者だ。

 ただ俺1人だと成功率がかなり低い。完全同時に発動しないといけないからな……。

 けど横にはアヤカがいる。2人で同時に3回魔法を発動するぐらい造作もないだろう。


「ある」

「んじゃあ風で」

「分かった」


 アヤカが俺と反対側に飛び、ウィンドウを操作、設置(セット)のスキルをスロットに入れ、同時に設置(セット)を発動する。


「「設置(セット)」」


 そして60度ほど移動し、再度発動


「「設置(セット)」」


 さらに60度、正六角形の頂点の位置に立ち発動


「「設置(セット)」」


 発動まで後10秒ほど、俺は元いた位置に戻る。


「儀式魔法【砲風撃】」


 同時に圧縮された空気が魔法陣に落ちた。

 押しつぶす感じになったなぁ。ほとんど破片が飛んでこない。


「へえ、そんな名前なんだ」

「知らない」


 勝手に作っただけかよ! 普通にありそうな名前を即興で作るな!


 何はともあれ魔法陣があった場所はクレーターのようになった。正直過剰だった気がするけどまあいいでしょう!


「さて、まだ問題が残ってたりする。この魔法陣、人間の負の感情を集めていた。呪術って言われるやつだ。デバフ特化の魔法だな」


 で、これが厄介でこの魔法陣を作ったのがその呪術使いって事で、あのメンバーまともに状態異常対策してるのか?


「呪術はある程度の対策はしている」


 珍しい長文、多分伝えることを最優先にした。つまり……


「そのある程度を超えるとやばいんだな?」

「そう。負けるかも」

「かくいう俺もそんなに耐性あるわけじゃないんだが……まあ素の耐性は上げてある」


 元々はソロで活動するつもりだったからな。実際ステータスも回避主体で一番効く可能性の高い状態異常に関しては対策として耐性を取ってある。どうやったか? 当然毒を飲んだ。自分で作れるレベルの状態異常なら解毒薬もあるし防げるだろう。

 呪術は師匠もあんまり詳しくなかったからな……、未知の攻撃は流石に無理だ。


「まあ行動封じとか盲目とかの五感封じ、普通の呪いとかなら防げる」

「ある程度?」

「ある程度」

「嘘」

「本当だって」


 それのどこがある程度なのかと言われてもなぁ…………必要なものは取っておくだろうよ。最後の方なんて毒薬飲みながら作業してたんだぜ? 耐性がどんどん上がっていくの見てるの楽しかったです。


 当たり前だけど猛毒は防げない。試しに飲んだら死んじゃった。テヘッ! ダメだキモい。自分で想像して自分で吐き気を催してるよ……。


 デスペナは別にロストとかはないけどステータス一定時間減少、取得経験値減少、取得熟練度減少だからな。その後は修行自粛して大人しく魔法やらの勉強してた。なんでゲーム内でままで勉強してたんだろうな? 俺。


「なら、急がないとな」


 俺たちはウィンドクリエイトで飛ぶ上がり、その流れで空中を飛んでメイ達の向かった方へ急ぐ。


 あれ? 走った方が速くね? 走ろう。


「ぎゃー!!」

「呪術は無しだって!」


 あ、見覚えのある男女が走ってきた。


 みるとHPがギリギリだ。そして毒と鈍足系のマークがついている。


「ほれ」

「ありがたい!」

「サンキューお兄!」


 俺が投げ渡したポーションを中身も見ずに飲み干す。確かに状態異常回復とHP回復、MP回復ポーションをを渡したけど中身確認はしようぜ。

 このゲーム、裏切りが日常茶飯事なんだからさ。


「ちなみに毒だったらしばらく生きられなかったぞ」

「マジか。普通にポーション渡してよかった……」

「私はリアルアタック!」

「やめろ」


 トリスはしばらくリスキル宣言、メイはリアルでの攻撃。


 うん。復讐できるから気にしなかったと。

 こわぁい(思ってない)。


「で? 呪術師から逃げてたのか?」

「今日呪術対策アイテム持ってなかった!」

「状態異常回復薬は?」

「いや呪術に効かない……あれ? でもお兄のは効いてた? 何したの?!」


 なんかあったかなぁ……特に変なことした覚えないけどなぁ。


「うーん……知らん! 来たぞ!」


 すると、曲がり角から闇を纏った男らしき奴が現れた。

あ、ちなみにボスではないです。

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