7話 領主の館への侵入、というか突撃
今日はいつもより多いです。1週間記念(切れ目が悪いからこうなった)です
ポーション製作を始めてから体感10分ほど立ち、
「早かったな」
次の敵がやってきた。高レベル混じってないかなぁ?
「結構やってた」
「そう?」
「そう」
時間を見るとなんと40分経ってた。まあ40分ぐらいなら作業してたら体感数分にもなるしな。こいつらは何してたんだろ? まあいいか。
やって来た軍隊。その数約100ちょっと。余裕じゃね?
「じゃあ混乱を巻き起こしましょう! サービスだ。軍隊が一般市民を襲え!!」
門前でPKした時は一部だけを混乱させた。
だが今回は、ストック全てを使い半分以上を混乱させる。
「外道」
うるさい。どうせ全員死ぬからいいの。
「軍隊殺したら結局ここは魔物を守れなくなって滅びるだろう? ならいいだろ」
確かトリスと呼べれていた人が俺をフォローしてくれる
「分かってるなトリスさん」
「トリスでいいぞ」
「じゃあトリス、取り敢えず兵隊は俺たちに向かってくる奴以外は放置で。残るやつはかなり手応えあると思うからな」
「面白そうだ。いいだろう」
気が合いそうな人だな…………あれ? この人たちと気が合うって俺結構やばいやつじゃね?
「一応言っておくケドキミ、ヤバイヨ?」
「まああんだけ殺したらなぁ」
「今の状況もだケドネ」
「ん? いい感じに減ってるよな」
「ソレには同意だけどネェ」
じゃあいいじゃんか。楽しまなければゲームはつまらない。このゲームはPK許容NPCキルもオッケー。それならこのゲームをしている人間も初心者狩やリスキル、不意打ち裏切り。それらをゲームシステムとして許容するだろう。
であればPKを楽しむ俺たちのような人種にとってはパラダイスだ。
「楽しまなければ意味がない。つまらないゲームならそれは長くは続かないしな」
さあ、いい感じに減って来た。今残っているのは混乱にかかっても自制でき、生き残った者と、そもそも混乱にかからずに生き残った者、そして混乱状態から回復した者だろう。
「貴様! 我が名はリンハ……」
長いので首カットで
「あのさぁ。殺し合いで名乗りって必要ないだろ」
「同意」
「バカなの?」
「騎士道が足を引っ張ったな」
「マアマア、その辺にして上げるんだネ」
みんな同意している。だよな? 名乗る前に斬ればいいよな? そしてアフロディー、てめえも擁護してるフリして全面同意してるじゃねえか。さも自分はちゃんと擁護しましたよって顔してんじゃねえ。
「はぁ、次誰だ?」
「貴様ぁ!! よくも隊長を、」
だから口動かす前に手動かせ。
「貴様!!」
「やっとまともなのだ」
ようやくすぐ斬りかかってくる奴が現れた。でもトリスがやりたそうなので譲る。
「ありがたい」
おおー、出た瞬間兵士が真っ二つ。
「すげぇな。ブレがない」
「見えたのか?」
「あ? まあ辻斬りゲーやってた時期があるから」
多分剣筋が見えたのかって話だろう。
そして辻斬りゲーな。あれはあれで酷かった。もうね、リアルでも物陰警戒するようになる程度には鍛えられたね。
「お兄はゲームを齧りまくってる」
「しかもどれも強い上に技術を吸収する」
「お前らのそれ褒めてるんじゃなくて変態認定なんだよなぁ」
アヤカが無口キャラをやめてる時点で貶し確定なんだよな。
「「そしてどのゲームでも2週間はLvが上がらない」」
「オチつきダネ」
「頭おかしいだろ」
「おかしくないだろ。ただそのゲームでの体の動かし方とシステム慣れをしてるだけだ」
あ、10キル。結構手強いなぁ。
「13」
「負けた! 12!」
「俺も12だ」
「ワタシ不参加ダカラ」
「うわ俺10だよ。でも混乱起こしたの俺だから50以上で俺の勝ちな」
「卑怯」
「魔法向けないで。分かった。お前の勝ちでいいから」
こっわ。やっぱこいつ怒らせたらダメだよ。てかめっちゃ経験値入ってる。ウハウハじゃあ!
「へえ、137か」
「見えるのか?」
「まあねぇ」
メイが俺のレベルを覗き見してくるが、まあ識別が強化されたらそうなるのだろう。
とは言え結構上がったな。
「まあステータスはこんなもんで……防御7しかないけどまあいいか」
「ヨクハナイネェ」
「いいだろ。どうせ被弾しないし」
「オワタ式極めるのか」
そうなるな。まあアヤカと組むんならタンク寄りが一番いいかもだが半端な防御力は正直無意味だからな。
「次は……領主の館か。この街を滅ぼす事になるな」
「ん。楽しみ」
「そうだな。行こうぜ」
「案内」
「ありがとな」
案内してくれるらしいのでついて行く。
今のところ大通りを真っ直ぐ歩いているだけだが……うん。何人かのNPCが襲ってくる。例えば鍛冶屋の人とかな。俺達に恨みでもあるんですかねぇ?(すっとぼけ)
まあ怒りは当たり前だな。割と感情のあるAIだ。ならま、復讐して来てもおかしくはないがな。
「なあ、なんであれ翻訳できてるんだ?」
「そうダネ、ワカンナイ!」
「マスター、あんたなぁ」
「表情とか雰囲気とか、あと言葉の弾みとかで読んでるんだって。まあアヤカ限定だけどね」
「ちょっと待て、家族もいけるぞ」
「地獄耳」
「うんアヤカうるさいちょっと黙って」
こそこそ話してるから聞いてたら誤解を招くような発言をされたので訂正しておく。後横のチャチャ入れがうるさい。
(家族とアヤカ、これってそういう事だよな?)
(ダネ)
(そういう事だよ)
……訂正するどころか悪化してね?
「ばか」
「うっせ」
で、それを察したアヤカに暴言を吐かれ……てないな。これ照れか?
「何照れてんだよ」
「うるさい」
おーい、早足になるなって。いつ襲われるかわかんねえんだから。
「あの2人いつもあんな感じ?」
「学校でもあんならしいよ」
「そう言えばメイは学生だったか」
「そそ、お兄は1つ上」
「おい、無闇に人の個人情報バラすな」
俺がアヤカと戯れていると、メイが俺の個人情報をバラしていたので文句を言いに下がる。
「なんで手繋いでるの?」
「逃げるから」
「捕まった」
「あっそう。ごめんね?」
「まあいいんだが、一応確認は取れ」
「はーい」
絶対反省してねえ。いや問題ないけどさぁ。
と、館の門の前に着いたな。
「ココダヨ」
「でかいな。あと結界か?」
「ワタシの魔法もまともに通らなさそうダネ」
「そりゃまあ見事な結界だ事。でも結界は壊せる」
師匠が「できて損はない」って言ってたから……あの強固さよりかはマシだ。
「ファイアーアロー」
「珍しいネ」
「まあこっちで十分だからな」
ファイアークリエイトだとまだ制御が大変なんだ。100越えでもミリ単位のズレはまだあるからな。
結界とは言え一枚の板では耐久力が低くなってしまう。つまり複数枚の板を組み合わせて強固にしてあるのが道理だ。恐らく正六角形の組み合わせ。そしてそれならば接合点がある。そこをファイアーアローで的確についてやれば…………
バリンッ! と音を鳴らして結界が崩壊した。
「思ったより脆かったな」
「またやってる……」
「流石」
後ろで呆れと称賛、後は驚愕の気配を感じるが、この程度では威張れないな。
師匠の結界は結合点を6箇所ほど一斉に叩かないと崩れなかった。まあ小さな結界だったことが原因だろうけど。
「さ、領主はどこだ? ……兵士が少ないな」
「結構な数が出て来たから」
なるほどなぁ、出しすぎて防衛する兵士が減ったわけだな。とは言え減りすぎじゃね?
「自由行動?」
「そうだな。んじゃそれで」
「オッケーダヨ。ワタシは傍観でいいカナ?」
「ギルドのモットーは?」
「思うガままニ。ッテネ」
なら参加してもしなくても、妨害してもしなくてもいいわけだな。
「じゃ、各自自由行動で」
「ていうか今更だがなんでお前が指揮ってるんだ?」
「さあ? 別にトリスが仕切ってもいいけどな。まあ原因俺だし、後指揮慣れてそうなピエロは傍観してるし」
ついでに言えばメイは普通に無理だしアヤカに関してはもはや指示がわからないっていうね。
「ワタシ指揮るの苦手ダヨ〜」
「白々しいな。おい」
たとえそれが本当だとしてもあんなに上手く魔法を操れる時点で素質はあるんだよなぁ。
「まあマスターがでしゃばるのはねー」
「面白いけど楽しくない」
ん? どういう事だ? 面白い。ただし楽しくない……、あー、駒扱いか。
「じゃあアフロディーはその辺で遊んでていいか。じゃあ俺はここの結界を維持してた魔法陣見にいこっと」
「行く」
「はいはい」
予想よりも結界があまりにも脆かったので、ちょっと気になってたりする。もしかして六角形じゃなかったか? アヤカもついてくるらしいので2人で屋敷に入る。
すると左右から不意打ちで兵士が斬りかかってくる。
「わからないと思ったのか?」
そもそも結界崩してから時間が経ってる。その間無防備に見えたはずの俺達を攻撃しない理由は当然不意打ちだろう。
「見え見え」
アヤカもそれを察知していたらしく、物陰に魔法を撃っていた。で、物陰から首が転がって……なんでピンポイントで首切れるんだよ……。
相変わらず頭おかしいプレイヤースキルだ。
「はいはいお疲れ様でーす」
飛んでくるところに魔法を撃つ。
「頭おかしい?」
「いやなんで?」
なんで俺を指して頭おかしいなんだよ。お前だお前。
「奇襲に置き魔法」
「おかしいか?」
「タイミングは無理」
「こればっかりはなぁ……俺ならこのタイミングでって言うのを防いでるだけだから」
どこに潜んでいるかはわかる。であればもし自分がそこにいる場合、どのタイミングで奇襲するか。それを読んでその場所に攻撃を置いておく。
すると奇襲した側に当たって死ぬってわけだな。
それからしばらく奇襲に対応しながら進むと、目立つ装飾のされた、大きめの部屋の前に着いた。