23話 遭遇
古戦場が終わり、テンションが上がって書きました。戦闘シーンは苦手……
「だいぶ寄り道しちゃったけど、まあ大丈夫だよね。ライル、匂いは?」
「右前方に2人、左に3人」
ふむ、微妙に気配察知の人数とズレがあるな。左は2人だと思ったけど。隠密系スキルか? まあいるんなら殺すか……ライルの経験値だな。
「ライル、やっちゃう?」
「ボク別に人殺したいわけじゃないんだけど」
「あらそう? プレイヤーだから問題ないと思うけど、なら私が……」
「毒はダメだよ。キリュウがキリュウってバレちゃう」
まあそんなに警戒しなくてもいいと思うが一理ある。ここは斬り殺すか。ただジョブ的に下降補正はいるからなぁ。あ、魔法纏、アースクリエイト。
「うん、これでいいね」
魔法纏はMPの最大値を削り、纏った魔法に衝撃が入るたびにMPが減っていく魔法だ。要は抵抗なしに一撃必殺を決めればMP消費は最低限で済むってことだな。今回はライルの経験値だから部位欠損で済ますか。
「行くよ。右前方から」
「うん、魔力纏」
ライルが光を纏う。あれ? 光なの? まあいいけども。
周囲を警戒しながら森を進むパーティーに木の上から奇襲をかける。まずは手前のやつの足を斬る!
「うわっ」
「お兄さんすごいね。両足狙ったのに」
斬れたのは左足のみだ。動きがいいね。育つと厄介になりそう。
「くそっ! 頼む!」
「うん! ファイアアロー!」
「遅いよ」
魔法は切り裂く。別ゲーで銃弾に銃弾を当てる事もしてたんだ。この程度の速度のファイアアロー余裕だ。それに、師匠とかアフロディーとかアヤカとかの方が同じ速度でも当て方が上手い。
「それに、反応速度も遅い」
「え?」
魔法を放った少女に接近して四肢を切り裂く。魔法職は防具が斬りやすくていいね。
「ライル」
そしてトドメはライルが。それもきっちり姿が見えないようにしているのは俺の正体バレを防ぐためか? とはいえ光を纏った爪で切り裂くのはカッコ良さすぎない? 俺とか土纏った剣ですよ?
「流石にそれはどうなんだ」
「うん? 行動不能は基礎手段だよ」
「まさか、ステラの……」
「根拠もなしにその発言は失礼なんじゃないかな?」
「すまん、だがそう思うだろ普通」
「まあそうだね。でも、こんなゲームやってるんだから、殺されるのに文句はないよね?」
殺され方なんて無数にある。今回はこの刀の性能を見たかったからこのやり方を使っただけだ。結果としては上々。リンには感謝しなきゃだな。
「まあもしアレならケアはよろしく」
「まあゲームで文句はつけねえよ! ムーブ!!」
いい動きだ。片足は奪ったが、移動系スキルで補っている。け、ど。
「スキル頼りの動きは単調だよ」
「だから速攻だ!」
確かに速い。けど真っ直ぐだ。体の可動域や、可能な方向転換を考えてもこの程度、対応できない訳がない。恐らくスライドムーブ系、それも結構多用しているのかなれた動きだ。別のスキルも同時稼働しているのか? それ単体の動きにしてはちょっと小回りが効きがちな気がする。
攻撃は剣による突き。であれば敢えて踏み込む。真っ直ぐ、しかし半身になるように踏み込めば俺の脇スレスレを剣が通過する。すれ違いざまに剣を振るえば相手の右腕が飛ぶ。そしてそこを光を纏ったライルが攻撃し、彼はポリゴンとなって砕け散った。
「ライル」
「うん、来てるね」
そして戦闘音を聞きつけたのか、先程のもうひと組がこちらに迫っている。漁夫の利狙いか? まあでも意味がない。こちらの損害はゼロだ。HPバーが見えないこのゲームだと分からないけども。
2人近づいてくる。魔法を撃ちたいがどうするか……まあ風で……やばっ!
「シッ!!」
左から忍者装属を着た奴が首を狙ってきた。こいつが隠密持ちか。忘れてたな。けど狙いすぎかな。
「狙いはいいけど狙いすぎ。狙うなら初撃を回避された直後だよ」
「アドバイスどうもっと」
当然回避。けどちょっと不意をつかれたし、負け惜しみ的にアドバイスをあげよう。2本のナイフの攻撃を回避したり剣で弾きながら、迫る2人からの盾にする。
そしてチャンスを窺っている2人のプレイヤーには風魔法のプレゼント。大丈夫常識の範囲で2発だ。避けれるよ。
「「あっぶねえ!!」」
おー、避けた避けた。でも1人ダウンだ。ライルの奇襲が決まった。1人がポリゴンになり、ライルはまた身を隠す。ほんと、戦闘上手くなってるな、っと隠密使いの男が一旦離れ、ライルが隠れた方向にナイフを投げる。ま、当然何もいないわけだが。
「2人がかりでもいいよ」
「ではお言葉に甘えて」
「舐めるな!」
隠密使いの方は冷静だな。有利にしてくれるなら有り難くっていう思考、好きだぜ?
「うーん」
風の魔法纏してみるか。ウィンドクリエイト!
相手は2人で挟み撃ち、いい手段だがこちらも2人だとわかっている状態だと悪手だな。
後ろに飛んで剣を振るう。すると纏った風が伸び、敵を切り裂く。いいね、使いやすい。
そしてそしてダメージを負った2人のうち1人をライルが奇襲する。
「降参したら逃がしてくれたりは?」
残った1人、隠密使いの男はそんなことを提案してきた。
「別にいいけど恨まれない?」
「おっしゃる通りで。死ね!」
「やだ」
にっこり笑って拒否してやる。だがまあ、流石に俺がやらないとダメだろうな。
「もっと強くなって出直してきてね」
「クソが」
「バイバーイ」
首と胴を斬って3分割。これが三枚おろし。違うな。
「さあて、ボスはどこかなぁ」
マップを見ればすぐだが、まあそれはもうちょっと遊んでからでもいいかな。まともにエリア探索ってした事ないし、プレイヤー狩りながら探検するかなぁ。依頼にも余裕はあるし。
「うーん、つまらん」
あれから20分ほど探索しているが、やはりレベル差、モンスターが余裕すぎる。なんかこのエリアプレイヤーとの遭遇率低いし。
まあ実入りがいいわけでもないのかな。
「キリュウ、口調」
「あ、忘れてた」
うっかりうっかり。気が抜けるわ。奇襲もないからなぁ……。
うん?
「どうしたの?」
「いや、その草むら、気配察知は何にもないんだけどなんか動いた気がして」
「スンスン、なんにも匂わないよ?」
「そうかなぁ?」
火でもぶち込むか。
「ギャォォォォォ!!」
「いやどっから出てきた!!」
小さな草むらから出てきたのは、高さ4mはある鹿だった。
短いですけど明日また出す予定なので許してください。