21話 どうして思い通りに進まないのか
何か月放置しましたっけ? 9か月? いろいろ片付いたしまた書きます。もう一個も一緒に。
「なんだよこの状況は!」
目の前に散乱するはポーション瓶と大量の本、そして倒れた棚や潰れた机。
何をしたらこうなるんですかねぇ?
「ライルが」
「エルさんのせい!」
「よし2人とも事情聴取な」
俺って思った通りに行動できない呪いでもかかってるんですかね? 出かけるって言っただろーが。なんで家の中ひっくり返ってんだよ。
てわけで事情聴取を行う!
「つまり? 庭で師匠と試合してたら? 師匠とライルで風のぶつかり合いが発生し? その結果行き場を失った風が家の中で暴れ狂った? ごめん意味わかんねえ」
何がどうしてそうなった。いや言ってる意味はわかるし状況はわかったんだ。けどさ、なんで家の中で荒れ狂う結果になるんだよ……。
「反魔結界」
「なんだっけ? ある程度の魔力を結界のを出入りしないようにする魔法だっけ?」
「そう」
「この家に張ってたやつだよな?」
「ん」
家の周りに張られた結界、荒れ狂った魔力、庭は家の敷地内、ズボラな師匠…………。
「…………………………なぁ、まさか、な?」
「そのまさか」
「…………さっさと張りなおせ。庭と家の結界を分けろバカ師匠」
「バカは失礼」
「いやバカだろ」
「家の魔力を庭に逃すため」
うん? うーん…………あ、なるほど。なる……ほど……よし理解!
「それは俺が悪かった。けど逆に庭の魔力が家にきたら意味ないだろ」
「方法がない」
「魔力を森に逃すのは?」
「あり」
「じゃあそれでいいんじゃねえの?」
要は家の中で魔力が荒れ狂った場合に庭に逃すために繋げていた。多分俺が家の中で魔法使って調合していたからだな。つまり俺が悪い。この点に関しては謝ります、ごめんなさい。……で、具体的にどうするかだが………………
話し合いで1時間消費しました。
家からどうやって森に抜くかって言う議論を延々とね? 結局新しくドア作るに落ち着いた。しかしこれがなかなか難しくてな……丁度部屋から森までの直通の位置に寝室があるからぶち抜けない、かと言って経由っていうのは現実的じゃない。てことで大幅な改装を行う事が決定しました。
で、今現在は散らかった部屋の整理中。
「うへぇ、瓶めちゃくちゃ割れてんじゃん」
「後で行っとく」
「よろしく頼む」
棚が倒れたんだから当たり前だけど、中に入っていた瓶が大惨事になっている。
これは色々作り直しだなぁ……俺が作ったやつはほとんど外か俺のストレージだから被害はないけど。
棚の中はほとんどが空き瓶ではあったけど栄養ドリンクとかその辺が軒並み割れてる。
その辺なら俺でも作れるけど……正直品質がなぁ。
「まあ、片付けたら俺はとりあえず王都に向かうわ。依頼の達成したいしな」
「それと街前での陽動も」
「分かってますって。周辺の薬草系は全回収するか。鞄借りてくけどいいか?」
「いいよ。それ、死んだらその場に落ちるから注意」
「死ぬな、てことかよ。了解だ」
まさかのプレイヤーからドロップする類のアイテムだったか。
「それより改築1人で大丈夫か?」
「手伝いぐらい呼ぶ」
「まあそうか」
「じゃあ俺は行くかね。ライルそうする?」
「うーん、色欲のところだよね?」
「まあそうだな」
「ボクあいつ嫌いだけど……「あ、嫌いなんだ」そうそう、あいつボクのこと目の敵にするんだよ。それにあいつの色欲は愛がないの!」
愛がない……どういう意味だ? そのままの意味で取るならただの欲望?
「それにね、人の愛を歪めるような力の使い方をして不味い不味い愛に似た何かに感情を変えるんだよ。あれは本当に気持ち悪いよ。しかもあいつはボクが憑いて愛を食べてた人間を狙い撃ちにしてボクに嫌がらせしたりするんだ。やなやつ。あいつは人は愛に飢えているーとか言うけど飢えているからこそ愛が生まれるってことを全く理解していないんだよ。愛っていうのはね、ただただ過剰に注げばいいものじゃないの。花に水をやり過ぎたら逆に枯れちゃうみたいに、少しずつ与えてそれで綺麗な花を咲かせなきゃいけないの。そんな事もわからずに望んでいるものだけを与えて表面上満足だけさせてその感情で満足するなんてアホだよアホ。うまく行かないから愛は素晴らしいんだよ。うまく行かなくてでも愛したいから人の愛は強く甘美なものになるの。だからこそボクは人の根底を表に出して愛に基づいた人の思いを成させ、それで失敗したとしても本物の感情を基に生まれた結果ならそれはその人が望んだものなんだよ。それが愛なんだ。愛とは全ての行動の根底にあるものなんだ。決して欲望なんてものじゃない。愛は尊いものなんだよ! わかる? キリュウ!」
お、おう。早口and長文でしかも思った事をそのまま口にしてるせいで解釈し難いがとりあえず落ち着け。そして、やっぱこいつ悪魔だ。望む感情のための手段は選ばない。しかも人間の根底の願いを基にするってんだからタチが悪い。敵対路線じゃないっぽいからよかったよ。
「まあお前がアスモデウスが嫌いなのはわかった。で? 来るの?」
「心配だし行く」
ばれてる? いやそんなわけないよ。だって会ってすぐだぞ。多分戦力的な問題。そう思おう。うん。
「んじゃ行くか」
「うん!」
とにもかくにも進まなきゃ意味がない。せっかくこんなに楽しいゲームなんだ。進むl目的があるんだ。やらなきゃゲーマーじゃねえ。
「出発だ」
そう言って俺達は転移門へ向かっ「待って」……おい。
「なんだ、もうそろそろいいだろ」
めんどくさそうに俺に何かを投げつけてきた。ナニコレ? 怪しい毒物?
「ピンチで使って。飲めばわかる」
飲めばわかる? 識別は……効かねえじゃん。情報が見えない。名前さえ見えん。
まあいいや、師匠のことだし俺を殺すようなものじゃないだろ。ないよね?
「いってらっしゃい。気を付けて」
「おう。じゃ、行ってくるわ」
今度こそ、ファースティックの転移門に、GO!!