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Freedom Survive Online〜回避特化近接魔法使いの軌跡〜  作者: 海溝
1章 全ての始まり
12/34

12話 2つ目の町の実態

「ボス……クモか」


 このエリアのボスであるクモの前に立つ。

 クモ型モンスターといえば8本の脚を駆使した手数の多さと、糸による妨害、そして毒攻撃が分かりやすいところだよな。で、当然虫なんだから燃えるわけで…………なにが言いたいかというと。


「うーん、このいじめ感」


 俺がLv100越えな上に火魔法の熟練度は118。ボスのクモさんは大量の火の雨に焼かれてお亡くなりになりました。南無。


「はい次行こう」

「おー!」


 今の所全く敵に手応えがない。もうちょっと苦戦したいなぁ。

 まあ師匠と試合すれば済む話か。早く帰りてえ。



「と、ここが次の街ね」

「止まれ!」


 前回と違って全く人がいない門を見てちょっと嬉しくなってたのに……なんです?


「隣の街が落とされるという事件があった。お前、そっちの方から来たな? 何か知っているか?」

「あー、俺が着いたときにはもう逃げられる人はみんな逃げてる様子でしたね。街中はモンスターの大群が押し寄せてたのでとても人命救助が出来ないような状態でした」


 まあ嘘だが。犯人がわざわざカミングアウトする必要性ないんだよなぁ。というか顔バレしてると思ってたけど意外と伝わってないのか?


「そう……か。逃げた人たちはどっちに向かっていた?」

「俺が見たときは安全な場所で固まっていました。何故だか騎士団の人達はほとんどいませんでしたけど」

「聞いていた情報と類似するな……情報感謝する。通っていいぞ」


 こういう時、本当の事に嘘を混ぜるとバレにくいんだよな。嘘をつくときの常套手段だ。


「最低だね」

「悪魔に言われるとは思わなかったな」

「ボクが何か聞かれなかったね」

「いや見た目無害な仔犬だから」


 と、転移門に到着。転移門は街から街へ飛ぶ時に使用される移動手段だ。ただし飛ぶには一度その街に行ってその転移門を有効化しなければならない。というわけで登録。


「おい、お前」

「はい?」

「ステラの人間だな?」

「あ? ああ」


 そういえば頭上に表示されるプレイヤーネームの横に入っているギルドのマークが描かれるんだったな。ちなみにステラはピエロとナイフと赤い背景。悪趣味〜。

 このおっさんに見覚えはない。とはいえステラって犯罪者集団だからな。恨みを買っててもおかしくないだろう。ていうか眼前のこれがそうじゃん。


「死ね!」

「いや街中」

「表出ろ」

「ええ〜、メリットないから却下で」


 街中にも関わらず襲ってきた。システム的に守られているとはいえノックバック自体は発生する。ので回避しつつ丁重にお断りを入れる。


 はい転移門入った! 転移ファースティック!


「じゃあなー」

「思考入力?!」


 いやそれぐらい出来るでしょ。思考入力ってそんなに難しいか?

 転移門は転移する場所を口にしなければ転移できない。とはいえ魔法と同じで思考入力も可能だ。余裕があるときはそっちでじゅうぶんだな。


「さて、ライル。ちょっと全力で走るから酔わないようにな」


 最初の町ファースティックについた……そういえば二個目の街ってなんだったんだろ? サードリンが3つ目だからセカンドなんたらみたいな名前かな?


 閑話休題


 さっきみたいにステラの人間は目立つ。下手したら尾けられる危険性があるのは俺的にはいただけない。多分設定欄にクランの表示のON、OFFがあるだろうから後で確認するとしても、今はそんな悠長にはしていられない。よって全力疾走でこの場から去るに限る。

 マップには師匠の家の場所は記されているから迷う心配もない。


 まずダッシュで路地裏に入り、すぐさま脚に風の魔法纏を掛ける、予想通り素早さが上がったな。じゃあそのままジャンプして屋根上を全力疾走! 気配察知を使い、路地裏にいる人を避け、少し師匠の家から離れた場所に降りる。そして向かってきている人がいないかをしばらく隠れて確認。


 ………………いなさそうだな。気配察知にもそれっぽいのはない。どうやら反応できても追いつけなかった人が多数っぽいな。最初は追われてたから。

 ふう、じゃあ帰るか。



「ただいま〜」

「ですから! 現在セカンドルカが予想以上の被害でして!」

「うるさい。黙って。おかえりキリュウ」

「ただいま。ペットができたぞ」


 俺の全力疾走で完全に酔って気絶しているライルを見せる。


「悪魔?」

「そそ」

「なんの?」

「なんの? あ、そういう。愛情だ」


 単語だけの会話はアヤカで慣れてはいるけどやっぱりアヤカほどスムーズにはいけないな。


「愛情? 聞いた事ない。どこで捕まえた?」

「捕まえたって言い方言い方。セカンドルカ? だっけ? この次にある街」

「そう」


 さっきの会話でサラッと出た単語がそうかなと思って聞くと、案の定だな。


「その領主に憑いてた。どうやらこいつ的には領主を手伝ってただけらしいな」

「なぜ?」

「んー、なぜ領主の所に行ったか。だな?」

「そう」

「ちょっと騒ぎを起こしちゃいまして流れでね」

「貴様がか!? 貴様がセカンドルカを落として計画を狂わせたのか!?」

「えーっと、誰?」

「反逆軍幹部の1人、軍事担当長官」


 なるほど。多分だがティアナに依頼をした張本人だな。


「まあ結果的には事実だが、ティアナに任せた時点で街は落ちてたぞ」

「どういう事だ?」


 落ち着いた? じゃあ話す。激昂状態だと話し通じないからなぁ。


「あいつ、街にモンスターけしかけて混乱に乗じて領主を殺す気だった」

「何? いや、その実績のあるものに任した私のミスだな」


 実績? 街落としの実績かな? なんでティアナに任せたんだよこの人……!

「まあ騎士団を壊滅させたの俺だけど」

「よくやった」


 師匠、よくやったって、それでいいのか?


「エルメシア様、たしかに王国に重大なダメージを与えたことは確かですが、一気に戦況が動きすぎるかと」

「まあ領主を殺すのは結構難しかったかもな」

「どういう意味だ?」

「こいつが憑いてた。かなり強力な悪魔だと思う。まあ本人寝てるから聞けないけど」


 俺はライルの能力を説明する。2人とも結構驚愕していた。特に空間魔法を持っているという点で。


「空間魔法持ちだと!? 危険だ。動けない今のうちに殺す……!?」

「おい、ふざけた事ぬかすなよ?」


 殺す? ライルを? それを実行しようとすれば俺は師匠が所属している軍だろうがなんだろうが潰すぞ。

 火、風、土、水、雷、光、闇、火の魔法纏を使いこの男を殺す態勢に入る。


「!? 何? 何事!?」

「お、ライルおはよう。ちょっとこいつがお前を殺すとか抜かしてな。ちょっと一回死んでもらおうかと」


 と、俺が大量の魔法を発生させ、殺気を放っているのを察知してライルが起きた。


「わ、悪かった! もう言わない! だから殺さないでくれ!」

「許してあげて。それだけ悪魔は恐れられている」

「二度とライルを殺すと言うな」

「あ、ああ。わかった」


 ペット、すなわち家族だ。ゲームに現実を持ってくるのをダメだと言う人もいるが、これだけは譲れない。正直他人の生死にあまり興味はないが、自分の家族だけは誰にも殺させない。

 ただ、確かに過剰反応ではあったかもしれないな。


「悪い、ちょっと落ち着いてなかったな。まあとはいえ、あの街はダメだったよ」

「呪術を使って何か企んでいたのは知っていた。それを未然に防ぐための暗殺、ないし捕縛依頼だったのだが……」


 捕縛依頼? そうだったの? ティアナのやつ、さも私は暗殺依頼を受けてきましたとでも言いたげだったぞ?


「うーん……死んだのか? いや、もし捕縛依頼を覚えていたならワンチャン捕まえてるんじゃ……」

「ところでどこで依頼内容を聞いたんだ?」

「ん? 依頼受けた本人に聞いた。で、ダメだった原因に戻るんだが、あそこ、人間の負の感情を集める魔法陣が稼働していた」

「「はい!?」」


 おおう? そんなに驚くかね?

 元々呪術の類で何かしようとしてるってのは分かってたんだろ?


「説明する」

「お願い」

「よろしく」

「おい」


 わかってないみたいだから説明すると言われて、聞く態勢に入ると、男の方に丸投げした。


「そういえば自己紹介がまだだったな。私はロイド。エルメシア様が言っていたように反逆軍軍事担当長官だ」

「そこの面倒くさがりの弟子のキリュウだ。よろしく」


 俺の自己紹介に、苦笑いを浮かべつつ、ロイドが話を続ける。


「負の感情を集める魔法陣の話をさせてもらう。負の感情というのはその名の通りで、怒りや嫉妬の感情などの事を指す。これを人間から回収すればどうなると思う?」

「見た目平和になるだろうな。ただ……」


 確かに怒りや嫉妬がなければ喧嘩が起こる可能性はぐんと減るだろう。しかし、負の感情にはストレスや恐らく疲れの感情も入るんじゃないか? であれば、どれだけ過酷な労働環境であっても、どれだけ命の危険があっても、それに不満を覚えることがなくなる。見事な社畜の完成だな。


「人間に不満や疑念を持たさずに、働かせたるさせることができる」

「その通りだ。これらを統合するに、恐らくセカンドルカは住民に多量の負担を強い、しかし住民の誰もそれに反発しないという状態を維持できたと思われる。実行していたかは定かではないが」


 あれ? となると住民の大量虐殺を誘発した俺が、住民の一部からしか抵抗されなかったのはその魔法陣のおかげか。

 まあ住民への被害って結構少なかったっぽいんだけどな、見てた限りでは。実際騎士同士の戦闘ばっかりだったからなあ。何人か死んですぐに住民は家に入ってた。

 ただあの量の魔物だ。どれだけ生き残ったか…………


「住民は? それと味方」

「ええ、抜かりなく。今日領主誘拐を行うので、反逆軍各員は万一のための住民避難を優先し、決してプレイヤーには近づくな。と伝達してあります。恐らく今回の彼からの被害は王国側だけかと」


 おおう、地味にタイミング良かったのか。確かに騎士が少ないとは思ってたけどまさか反逆軍側が出張ってなかったとは。

 反逆軍まで殺しまくってたら流石に怒られてただろうなぁ…………今度からは気をつけよう。正直師匠の好感度は下げたくない。


「なら問題ない。それとキリュウ」

「なに?」

「反逆軍に入って」

「いいぞ」


『国内紛争にて、反逆軍側に加入しました。以後、基本的に変更は不可能です』


 あ、すごいあっさり入った。

 ていうか基本的に? 裏切ってもいいぞっていう暗黙の言葉が聴こえる…………。

 まあ裏切るつもりはないけどな。でも多分悪魔がいたことと言いあの領主がやってたことと言い…………こっち正義側じゃね?

 俺の所行が完全に悪側だっていう意見は受け付けません。なんならクラン自体が悪側だけど所属は正義側なので問題ない!


「はぁ、ん? あ、やっべ!」


 もう4時じゃん! 夕飯の準備しないといけないてか冷蔵庫からのはず!


「悪い! 寝る!」

「おやすみ」

「急だな」

「ちょっとな!」


 部屋の床の布団にダイブしてログアウト!


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