10話 街からの脱出(妨害があるとは言っていない)
ごめんなさいグラブルで天井目指してたら執筆時間が消えてました。
「あ」
「どうしたの?」
「分かった。うん。これだこれ」
ライルに何か足りないと思ってたのがようやく分かった。
ストレージから布を……布……ぬのー、無いな。
「無いのかよ…………」
「色は?」
「水色」
「残念」
無いかー。帰ったら師匠に持ってないか聞こう。
あれ? アヤカは何で分かった……?
「声」
「出てた?」
「ぬーのーって」
「マジか」
「ん」
普通にやばいやつじゃん。
「そういや犯人さんはどこにいるんだ?」
「西門でダラダラしてるって」
「ダラダラ? モントレしてるのに?」
「それは、説明めんどくさい」
詳しく理解してないわけですか。
まあこいつはモンスター使うより自分で殺した方が楽しい人種だからな。
「まあいいか。ていうかプレイヤー少ないな」
普通ならもう少しいると思うんだけどな…………そういえば俺この街にきたとき60弱殺したな。で、その後の混乱。ただそれを差し引いたにしても少ないな。
「ここはあまり人気な街じゃなくてな。物価は高いし住民もあまり愛想いいとは言えない。それに次の街には割と簡単に行けるから殆どのプレイヤーはログアウト用の場所として利用するか素通りだ」
「ちなみにログアウトした施設が消えるとどうなる?」
「街が街として機能する状態。広場にある転移門が機能すればそこで復活」
「しなければ?」
「自分が直前に行った街の転移門の前に出る事になる」
なるほど、結構面倒だな。またあのPK地帯を抜けなきゃだし。俺は被害会う前に殺したけど。
ていうか今更だけどある程度戦えるようになってからフィールドに出る人間少なくね?
「みんな何の準備もせずにフィールドに出るからやられるんだ。とりあえず街中でできる事は済ませたらいいのに」
「街中で何かするにしても金がいるだろ。結局フィールドでないとダメだ」
「え? 武器スキルと魔法スキルの熟練度上げできるだろ?」
フィールドに出て実戦練習をやってたらPKにやられてデスペナのせいで効率が落ちる。
なら安全な街中で安全に熟練度を上げた方が効率いいだろ。
「飽きるだろ」
「まあ1日ぶっ通しでやってたら飽きるわな」
「え?」
「え?」
何か変なこと言いました? あ、流石の俺も1日中ずっと同じような事はしないよ?
「そうじゃない」
「じゃあなに?」
「1日中ずっとやるっていう方がおかしい」
「いやだからやらないって」
「はぁ」
「え? 待ってなんか噛み合ってない」
「もういい」
ちょ、アヤカさん待って見捨てないで解説をしてくれ。
「もう面倒臭いね」
「ええ、ちょっと妹様解説お願いしていいです?」
「やだ。めんどくさい」
メイまで……。話す相手がいなくなったのでもう1人に話しかけよう。
「アフロディー、尾けずに普通に合流しろ」
何故領主の館を出た時点で合流しないんだよ。と言うかそのピエロ姿目立つからね?
「バレてたネ」
「そりゃ、そんなに分かりやすければな」
「面白そうなモノをテイムしたネェ」
「ライルだ。可愛いだろ?」
俺に抱かれてグデーッとだらけているライルを見る。いや本当緊張感なさすぎじゃない?
あ、欠伸した。可愛い。
「悪魔ダネ」
「ああ」
「悪魔ってテイムできたんダネェ。チョット意外」
「まあ基本的にテイムされるメリットがないからね。ボクの場合は殺される可能性があったのと、愛情を味わうのに困らない場所だったからだね」
愛情を味わうのに困らない? 俺からメイとアヤカに向けてる愛情の話か?
「家族愛も許容範囲なのか?」
「大好きだよ! けどやっぱり恋愛こそ至高だね!」
なるほど、それならわりかしさらっとテイムされたのにも納得。
「面白い子ダネ」
「だろ?」
と、いきなりアフロディーの前にウィンドウが開いた。
「ン? あー、ゴメンネ? チョットリアルで用事が」
急にウィンドウ開いたと思ったらそう言うことか。リアルの用事を咎めるのはマナー違反だし問題ない。そう伝えると、じゃあネーと言って風魔法で飛んで行った。
「もう転移門は使えないはずだがな」
「え? なんで?」
「お前が衛兵を殺して、騎士団をも殺した時点でPKも可能な戦闘区域だ。その状態では転移門でこの街へは跳べないしこの街から転移門で出られない」
へえ、そんなシステムだったのか。戦闘区域への移行条件は街の警備システムへの一定以上の被害ってところかな? となるとモンスターによる街への攻撃でも街中を戦闘区域に変えられそうだな。
「西門だ。ここはあまりモンスターはいないだろうな」
「まあ犯人が巻き込まれたら世話ねえわな」
「いた」
「お、やっほー!」
そこにいたのは、かなりキャラクリに力を入れたのだろうか、モデル体系をした美女と呼ばれる類の女性だった。
まあ俺のストライクゾーンからは外れてるけど。
「あんたが犯人か。俺はキリュウ、そこにいるメイの兄だ」
「メイのお兄さん? 私はティアナ、よろしく」
手を差し出されたので魔法発動の準備をしつつ握り返す。
「パラライズ」
「麻痺か?」
「あれ?」
あー、そっちでしたか。残念ながら俺の耐性貫けなかったみたいですね。
という事で仕返しの麻痺毒。
「あ、え?」
「悪いな。そのレベルでギリ耐性貫けるかどうかぐらいなんだ。もうちょいレベル上げてから来てくれ」
という事で麻痺させたティアナを支えつつ、本題に入る。
「麻痺っつってもプレイヤーの口は封じれないからな。このまま続けるぞ」
「お兄、代わる」
「お、頼む」
メイが支えるのを代わってくれるらしいのでティアナを引き渡す。
では続けよう。
「で? なんで麻痺?」
「初見でよくやる遊び」
「悪質すぎだろ」
「なんで効かないの!」
と、軽く頬をむくれさせる。逆ギレじゃん…………
「ただ単に耐性上げてただけだって」
「方法は?」
「あー、えー、黙秘……はい、麻痺毒ポーションガブ飲みました」
黙秘しようとしたらトリスとメイが剣を抜こうとし、アヤカが魔法を発動したので話す。あなた達ちょっと息合いすぎじゃない? 普通に怖いよ?
「聞いてた通り気持ち悪い」
「なあこいつちょっと毒追加していい?」
状況分かってる? 君麻痺毒うけて今動けないんだよ?
「「「許可する」」」
「はいじゃあ盲目追加」
「ちょっと、やめ、あ、何にも見えないんだけど!?」
「お兄、結構ギリギリ」
「なにが?」
「倫理観が」
「街破壊よりはマシじゃね?」
まあ確かに仮にも女性の体の自由を奪って目を見えなくするってのはギリギリの行為だけどさ。
「まあ魅了薬は持ってないから安心しろ」
「持ってたら没収してるよ」
「キル10回」
まあ実際は作ろうとしたんですよ。素材もあったし。ただ師匠が全力でストップかけてきたからボツった。
俺って信用ないのか?
「モンスターに使ったらボク噛むよ」
「お前もか」
ライルまで拒否しやがった。
なに、女性陣だから? 魅了薬を男に持たせるのはやっぱり許容できないのか? 絶対便利なのになぁ。
「信用ねえ……で? なんでモンスターで街を破壊したんだ?」
「趣味……ではあるんだけど今回はクエストよ」
「まあ趣味のあたりは聞き流すとして……クエスト? 反逆組織関係?」
確か今このゲームで進行中のワールドクエストが王国軍と反逆軍の抗争的なのだってメイが言ってた。で、反逆軍の場合、クエストとして重要人物の暗殺とかもあるらしい。
「そう。この街の領主の殺害及び街への被害誘発ね」
「なんてクエストだよ。プレイヤーは王国につく側が多いのか?」
「まあ反逆側はだいたいクランメンバー」
一応どっちにもつけるけど、反逆軍やってる方が完全に悪者だから大体のプレイヤーは王国につくだろうな。
でもなぁ、悪魔がサラッとつくような領主の暗殺……もしかして本当の対象はライルか? つまりあれだろ? 多分反逆軍はあの負の感情を集める魔法陣の存在を知っていて、それの破壊とそれを設置した領主の暗殺、及び憑いている悪魔の討伐が本当の依頼なんじゃないか?
「あー、領主は館で麻痺状態で、館を守っていた魔法陣は俺が破壊した。騎士団は壊滅状態だな」
「…………私の仕事全部奪われてるじゃない」
「悪いな。詫びに解毒ポーションだ」
「ありがと」
うーん、中学生か? 地味にロープレが剥がれる時があるから素の性格が読めるけど…………、他人が怖いって感じてるタイプの気がする。まあ俺が踏み込むこともないだろ。
「私のクエストは終わりね。完了報告……領主の暗殺依頼って達成できてないのよね?」
「今は麻痺ってるだけだな」
「殺してから帰るわ」
「移動は?」
「歩きよ」
「屋根の上を飛んでいくか?」
まあ殺さなかったのは俺だし、消化不良の中で麻痺ってる敵を殺しに行くだけって言うのも面倒くさいだろう。そのぐらいなら運ぶが……。
「そうね……周りが怖いからやめておくわ」
「? 周り…………そう言うことか」
アヤカとメイ、ついでにライルがティアナを睨んでいる。お前らやめたげろよ。ちょっとびびってるから。
「んじゃ、頑張ってな〜。俺は指名手配される前に転職しないと!」
「指名手配されても転職できるよ?」
「あ、できるんだ」
「ただ街で衛兵に捕まるだけ」
だけじゃないんだよなぁ。町に入れないってことじゃない。つまり街中にある転職施設に行けない。
「転職施設はフィールドにもあったりするから大丈夫」
「次のフィールドには?」
「あー、えーっと…………次って森だったよね? あるよ。すごく見つけづらいけど」
見つけづらい施設を見つけるのは得意だから大丈夫。それにレベルがガンガン上がったおかげで多分次も余裕だし。
「それじゃあ俺はそこ行ってから次の街に向かうか。とりあえずここでお別れだな」
「待つ」
「なんだ?」
「師匠」
げ、忘れてたよ。そういえば口滑らしたんだったな。
「師匠の話ね、はいはい。…………なあ、裏切りの魔女って知ってるか?」
「ん? 王国を裏切った反逆組織幹部で一切顔を見せないけど、組織の補給系統を取り纏めてる人?」
あ、やっぱり組織幹部だったんだな師匠。そして補給系統、つまりポーション類や武器の類の事だ。そのまとめ役、つまり師匠が言っていた仕事という言葉に結びつく。
「俺はその裏切りの魔女の弟子だ」
「「「はぁ!?」」」
「フラグについては教えない。と言うか多分だけど低レベル帯じゃないと立たないと思う」
あのタイミングでうまく路地裏でミルドさん一行とエンカウント。しかも条件として職業が魔法使いと調合師又は錬金術師である事、一定以上の精度で魔法を放てるという2つの条件が整ってようやく弟子入りのクエストが発生すると思う。しかも魔法、調合、錬金術の熟練度が一定以下で。
「そっか。それに一枠限定の可能性があるしね」
「まあ魔女の弟子なら俺たちはあまり関係ないな」
確かにメイとトリスは戦士職だもんな。そもそも弟子入りできないだろ。
「私も無理?」
「調合師である事もって可能性がある」
「残念」
確かに思えば戦闘職をメインで生産職をサブって恩恵が少ない気がするな。俺みたいにうまくマッチすれば戦えるけど。
「という事で俺もそっち側のプレイヤーになるな。正直まだ概要わかってないけど」
その辺はまた師匠に聞こう。俺は早く転職がしたい!
「んじゃ、俺は転職施設探ししてくるから、じゃあな!」
ジャンプして足元に風を生成して飛ぶ。マップを見るとどうやら西に行けばいいらしい。そのまま直進だな。
昼12時もう1話投稿する予定。まあ遅れたお詫びですね。