叶う
「次、休講だってー。」
「折角早めに出てきたのに!」
「仕方ないね2時間どこかで暇つぶししないと。」
「うわぁじゃあお茶でもしようか?」
「そうだね。」
春に大学生になって気が合う友達ができた。他にも友達はいるけど伊藤といつも一緒にいる。
「何にする?」
「じゃあコーヒーかなホットの。」
「はいはい頼んできてあげるから先座ってて。」
「後、なんか食べたい。ホットドッグも頼んで。」
「おっけー分かったよ。」
列に並ぶ伊藤はどの女の子よりも可愛い。恥じらいながら笑う姿も、少し訛っていてイントネーションが違う話し方も全て。
「どうしたの?じっと見て。」
伊藤はくすくすと笑っている。その時伊藤の携帯が振動して律儀にこちらにことわって電話に出た。
「竜ちゃんどうしたの?えっ今日の夜?今日は無理かな友達の家で集まって女子会するから。えっでもうん…うん。竜ちゃんまたなの?私もバイトして…うん。好きだよ好きだけど。うん……分かった。断るよ、お金は後で取りにきて。」
可哀想に伊藤の表情が段々と曇っていく。
伊藤、好きだよきっとその彼氏より好きだ。そいつより絶対に大事にするのに。
それが言えたらどんなにいいか。でも言えない友達でさえなくなってしまうと考えると言葉が喉に詰まってしまう。
「ごめんね、この後授業出られないわ。」
「まだ付き合ってるんだ。」
ホットドッグを食べながら話す。
「うん、好きだから竜ちゃんの事が。」
「そっか。」
「それに夜の飲み会も無理だわ。ごめんね言っておいてくれる?」
「ああ、うんいいよ。」
「ありがとう、田村。」
「うん。」
伊藤が帰った後、決意した。いつかいつか絶対に告白しよう。素直に真っ直ぐに気持ちを伝えよう。何年かかっても絶対に言う。
「伊藤、好きだ。」
「遅いよ!今日はなんの日だと思ってるの?」
「結婚式。」
「そうだよ!」
「ごめん、勇気が出なくて。」
「馬鹿!」
「ごめん。」
「もう分かったから、行こう。」
「あれ一緒に歩くんだっけ?」
「そうだよ!本当に話を聞いてないんだから!」
「じゃあ行こうか愛しの奥さん。」
そう言って伊藤の前に手を出す、伊藤は私の手にそっと手を乗せた。
「ちょっとさっきとキャラ違わない?ずっとうじうじしてたくせに1度好きだって言った位で調子にのらないで。」
「まあまあいいじゃん。さあ行きますよ伊藤。」
「はいはい、ずっと待ってましたよ愛しいお嫁さん。本当にずっと。」