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外史の幕開け

「ふぅ…どうやら無事に送り込めそうね」


暗い空間の中、水晶玉を覗く少女がそう呟くと


「どうだ?呂 洞賓。様子は?」


すると白い服を着た少年らしき男と、黒い服を着た眼鏡の男がやってくる


「ああ、于吉に左慈か・・・・・何の用?あんたたちはまだ謹慎中のはずよ。始末書は終わったのかい?」


と、少女こと洞賓は鋭い目つきで彼らを見る


「そんな怖い顔で睨まないでください。別にどうこうする気じゃありません。それに始末書はまだ終わっていません。今は少し休憩をとっているところです」


「じゃろうな。あんたたち二人には前科がたっくさん残っているんだからね・・・・私があの筋肉だるまを説得しなければ今頃お主たちはこの世から消えるか死ぬまで牢屋に幽閉されていたじゃろうて」


「そのことは大先輩である呂 洞賓様に感謝しています」


「ところで、呂。あの軍隊をどこの外史に送り込んだんだ?」


「ん?戦国の世じゃ」


「戦国って・・・・・あそこはあの北郷の甥、新田剣丞がいるところではないか!?なぜあいつのいるところに日本の軍隊を送った!?」


「少々、緊急事態でな。可愛い後輩であるお主たち二人には教えるが、わらわが送り込もうとする戦国の外史には新田はもちろん北郷が存在しない外史じゃ。無論、送る話はあったのじゃが、外史は宇宙のごとき広さ、そうそう同じ人物を送り込むことはできぬ」


「それで新田の代理に彼らを?」


「ああ、どうせあの戦争で全滅する部隊じゃ。しかも彼の部隊の隊長は新田や北郷の血の根源なる者じゃ」


「根源?なんだそれは?」


「あなた。まだわからないの?あの橘という男は北郷とその甥、新田剣丞の曾祖父にあたる男だ」


「な、なんだと!?じゃあ彼を選んだのは」


「察しの通り、じゃが、正史ではあの男は沖縄の戦いで部下とともに玉砕して戦死することになっておるのだが、それだと面白くない。それにあの男が死ねば北郷、新田は存在せぬことになる。その血筋を途絶えさせぬように、あの外史に送り込む。別に問題はなかろうて」


「なるほど・・・・・そうですか・・・・で、上の許可は?」


「無論とってある。むしろ上の連中は大喜びじゃった」


「なるほど。それはよかったですね」


呂の言葉に于吉は納得したような表情を見せるが左慈は訳の分からない表情を浮かべていた。すると呂は


「じゃが送ったのはよかったのじゃが、少し予想外のことが起きた」


「予想外?なんだそれは?」


「彼らの近くにいた軍艦や飛行場を巻き込んでしまった。これはあまりにもイレギュラーな展開だ」


「これも外史のあるあるではないんですか?で、それはどうするのですかな呂?」


「どうすることもできん。これも外史ということじゃ。まあ、せめて武器弾薬燃料の補充には困らせぬようにしよう。わらわができるお詫びはそれまでじゃからな。言うておくがあんたたちは絶対に手は出すな・・・」


「わかってます。わかってます。また謹慎と始末書の書類が増えるのは御免ですからね。でしょ左慈」


「俺としては北郷一刀が来なければそれでいい。誰が来ようとかは正直言ってどうでもいいからな」


ぶっきらぼうに言う左慈とおだやかな顔でそういう于吉に呂は


「そうか・・・・さて、新たな外史の扉は開いた・・・・・・大日本帝国独立第34連隊、隊長橘政宗・大佐・・・・。北郷と新田の根源となる者・・・・・彼なら、いや、彼らなら新田と同じあの邪心どもを倒せるやもしれぬな・・・・・・」


と、そう言い彼女は再び、水晶玉を覗くのであった。






時は戦国、応仁の乱により幕府は衰弱し国は疲弊し、そして、天下統一という野望を持った各武将たちが戦を起こす時代であった。どの国も火に包まれ民たちは怯えながら暮らしていた。するとどこかの僧がある予言をした。その予言とは


『日ノ本に闇を持つ悪鬼がやってくる。しかしそれと同時にその邪を払うが如く太陽の光の如き旗と枯草の服を纏った天の軍が天より舞い降り、日ノ本を救う』


その予言は、日本全土に広まるのであった。



清州城の天守閣では黒い長髪の少女が夜空を見上げていた。すると・・・・


「久遠」


「ん?どうした結菜?」


「どうしたもこうしたもないわよ。そのようなところでは風邪を引くわよ?何を眺めているの?」


「いや、なに今夜は奇麗な星空だと思ってな・・・・・こうして星を眺めておった」


「確かにきれいな星だけど、あなた大丈夫なの?なんか今川の軍がこっちに攻めてくるって言うのに?」


「遅かれ早かれ、今川とは激突する。後はどうやって勝つかだな・・・・・」


「本当に勝つ気?兵の数は向こうが上よ?」


「何、戦は数だけではないわ。知恵で戦うのが戦だと我はそう思っている・・・・・・そう言えば結奈。あの噂聞いたか?」


「え?噂って・・・・・・ああ、例の「天軍」の話?正直言ってあまり信じられないわね」


「我もそう思う。じゃが・・・・・どこか本当にそんなことが起こりそうな気がしてな」


「え?」


「いや、なんでもない」


と、久遠はそう言っった瞬間、空から大きな一筋の光が落ちてくる


「久遠。あれって流れ星ね」


「そうだな。見事な流星だ‥…」


と、二人は空に流れる大きな流星を見てそう言う。だがその流星がその予言を実現させるなど、この時、誰も知らなかった




次回は登場人物紹介をしたいと思います

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