6話 そして事態は急転する
俺は腕時計の新機能の”属性付与”を試していた。
ダイヤルを3に合わせて左下のボタンを押すと”炎”が出る。
同様に左上のボタンは”水”、右上は”風”、右下は”土”が出た。
これは刀にも可能で、刀を持った状態で属性付与を使えば刀身に纏わせるができた。
「マジ思ったよりも使えるな、腕時計」
「えぇ、本当に良い意味で予想外でした」
「そういえば刀が元のキーホルダーに戻ってんだけど。鞘つけても大きくならないし、どうなってんだこれ?」
「あぁ、その状態で”起動”と唱えると戦闘形態になります。ある程度、魂武器が強くなると必要になるんです」
「そうなのか?腕時計は必要なかったけど・・・」
「まだその段階ではないと言うことです」
ふーん。ただの小刀程度の大きさになっただけなのに、ある程度強くなったのか。
よくわからんな。
「ではそろそろ魔物退治の修行に移りましょうか」
「おう頼むわ」
「では今日は、レベルを上げて、オーガ2体でいきま――」
神が突然動きを止める。
え、・・・何だ?
俺が戸惑っていると、上から何かが姿を現した。
「おい・・・。何だあいつ?」
「炎真さん、今すぐここから逃げてください・・・」
「え?何だよ急に」
「急いで!!」
神が声を荒げて言う。
初めて神が大きな声で言ったので俺もびっくりしてしまった。
だがそんな俺でもわかる――明らかに神は焦っている。
「なんかわかんないけど、わかったよ」
俺は言われた通りに俺はその場を走り去る。
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「さて、久しぶりですね――魔王よ」
「あぁ、200年ぶりくらいだったか」
「できれば、もう会いたくなかったですよ」
「転生者はどこだ?」
「言うわけがないでしょう?ですが、あなたはまたすぐに封印されますよ――彼は魂武器を2つ持つ存在ですから」
「ほう、前回私を封印した転生者と同じ存在か」
「えぇ、なのでここで彼を殺されたら困るのでね。――少々足止めさせてもらいますよ!」
「丁度良い。封印が解けたのは良いが、体が鈍っていたのでな。相手をしてもらおうか」
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はぁ、はぁ、はぁ・・・
神に言われたとおりにあの場から走ってきたけど、どのくらい離れれば良いんだ?
かれこれ30分は走り続けている。
途中ものすごい爆音が聞こえたが何だったのだろうか・・・
うーん、やっぱり戻った方がいいだろうか。
いやでも神だし、大丈夫か。
「――貴様が転生者か?」
――!?
何だ?どこから・・・
「おい上だ。何だ、まだ感知能力も身につけていないのか?」
上を見上げるとそこには、髪の長い女がいた。
だが声は男だった。アニメだったら主役級のイケボ。
神と逆だな
「誰だお前?」
俺が聞くと、そいつは少し驚いていた
「ほう、私を見て逃げ出さないとは、ただの馬鹿かそれとも・・・」
ボオーーーーーーー!!!!!!!!
俺は即座に腕時計で炎を繰り出した。
何故かはわからないが、俺の直感がこいつを攻撃しなければならないと告げている!
その直感を信じて攻撃した。だが――
「いい炎だが、まだまだ弱いな。さては転生したてだな?」
全く意に介していないようだ。
ヤベェな、結構本気でうったつもりだったんだけど・・・
「まぁいい、”クロル”のようになられても困るからな。ここで消すとしよう」
そう言うとそいつの手から巨大な炎の球体が現れる!
な、何だあれ!?
明らかに属性付与で水を出しても打ち消せるようなものじゃない!
「死ね」
奴は炎を打ち出す。
まずい、死ぬ!
「やらせん!」
俺が諦めかけたとき、突然、極大の水の塊が炎を打ち消した!
「チッ、邪魔をするかソプラノ」
「お、おっさん遅ぇよ!何してたん――」
俺はそこで喋るのを止めた。
俺の目に映ったのは、片腕と片目がなくなり、血まみれになっている神の姿だった。
自分の中では次が第0部の終わり的な感じで書いてます。
炎真が戦うまでのことだったり、魂武器や魔法のことを紹介するプロローグって感じです。
そしてこの第0部が終わったら、仲間を増やす旅的なものを書いて行くつもりです。
よければ今後ともよろしくお願いします!