5話 LVアップ!
神が俺を殺していたのは100歩、いや1000歩ぐらい譲って許すとしても、俺が魔王を封印するために強くならなければいけないのは変わらない。
現在、俺の魂武器は刃渡り7cmの刀のキーホルダーに懐中電灯機能しかない腕時計。
こんなんで行ったら、確実に死ぬ。
そうならないためにも頑張って強くならないとな!
まずは魔物退治からスタートだ。
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場所を移し、森に来ている。
ここで魔物を倒して、俺と魂武器のLVを上げるためだ。
「では最初に言ってた通り、スライムから始めましょうか」
「おう!」
「腕時計の方は懐中電灯くらいにしかなりませんから、キーホルダー中心で戦いましょう」
あ、やっぱり腕時計使えないんだ。
ポンコツ機能なんだ。
「魂武器は所有者が強くなれば、一緒に強くなります。モ◯ハンで一緒にいるだけでLVアップするのと同じです」
「なるほどな。キーホルダーの方ばかり使ってても、腕時計は強くなってるってことか」
「はい。じゃあ早速戦ってみますか」
「ああ」
「それでは魂武器を出してください」
俺は鞘から刀を抜いて、鞘を凸字部分に後ろに装着する。
「いいぞ」
「ではスライムを呼びます」
神が「召喚、粘液生物!」と唱えると、魔法陣が出現し、そこからスライムが1匹召喚される。
「OKです。始めてください」
「よっしゃ、行くぜ!」
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10分後
「ゼー、ハー、ゼー、ハー・・・」
流石に刃渡り7cmは辛すぎるぜ・・・。
500回くらいめった刺しにしたぞ。
俺は疲れるし、スライムも段々かわいそうに見えてくるし・・・
「どうでした?」
「疲れた・・・」
「ですよね。スライムに10分かける人初めてみました」
「うるせぇよ!」
こんなので戦ったら誰でもそうなるわ!
「でも、頑張った甲斐ありましたね。魂武器がLVアップしてますよ」
「マジで!?スライム一匹でLVアップしたのか!?」
「はい。ほら見てください、進化しますよ」
すると、俺のキーホルダーが光り始める!
おぉ、どうなるんだ?
光がやむとそこには・・・
「・・・大きくなってる!」
あんなに小さかったのに、今は小刀くらいの大きさになってる!
神は変化を見て言う。
「おそらく炎真さんが使いづらいと思ったから、魂武器が反応したんでしょう」
「マジか」
「進化に決まりはありません。持ち主願いを叶えるために魂武器は如何様にもなります」
そうなのか。
よし、この調子でどんどん行くぜ!
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そこから俺はあらゆる魔物を倒した。
悪精生物、独眼生物、大鬼生物
マジで辛かった・・・。
オーガとかめっちゃでかい金棒振り回すし。
こっちは小刀だってのに!
だが、オーガはどうやら光が弱点だったようで、腕時計のライト機能を使ったら動きが止まったので、その隙になんとか倒せた。
まさかここで腕時計が役立つとは思わなかった。
(なんなら、光以外の属性が欲しいけど・・・炎とか出たらカッコよくね?)
などと俺が思っていると腕時計が光り始めた!
さっきキーホルダーが進化した時と一緒だ!
俺の思った通りだったようで神も興味深そうに見ていた。
光が収まり見てみると、時計にダイヤルが追加されて、3時の部分に”A”の文字が付いていた。
「これは、属性付与が可能になりましたね!」
「属性付与?」
「ダイヤルの矢印部分を3時にあわせてください」
言われた通り合わせる
「あわせたけど・・・」
「では、その状態で左下のボタンを押して見てください」
「あぁ」
左下のボタンを押すと—————腕時計から炎が出て、俺の拳を覆っていく!
「これは・・・」
「きっと炎真さんが属性が欲しいと思ったから、魂武器が反応したのでしょうね」
俺は試しにその辺の木を殴ってみる。
すると炎が木を抉り、そのまま木が燃えて炭になった!
「おぉ・・・すげぇ」
「まさか懐中電灯能力から属性付与が追加されるとは。使えねぇと思ってたのに・・・」
こいつ大分本音を言うようになったな・・・
神の威厳とか大丈夫なのか?
「では今日はここまでにしましょうか。明日もバリバリ修行しましょう」
「はーい」
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「つーかさ、何で封印なの?」
「え?」
「普通魔王といえば討伐だろ。何で封印なのかなって思ってさ」
俺は何となく思ってた疑問を伝えた。
魔王を倒す勇者的な感じではなく、封印に協力しろだったのが気になってたんだ。
まぁこの神なら何でも答えてくれるだろう。
そう思っていたが、神は珍しく言い澱んでいた。
「それは・・・」
「何?なんかまずいこと聞いた?」
「い、いいえ別にいいんですよ!そうですね、封印の理由ですか・・・」
「何なんだよ・・・」
表情が強張っている神だったが、一転して笑顔を見せる。
「——いいえ。何でもないです!理由はそのうちわかりますから、気にせず修行を続けましょう」
「そうなのか?まぁいいや・・・」
なんかモヤモヤするけど、そのうちわかると言っているならいいだろう。
明日も修行して、魂武器のLVをあげるとしよう。
俺は明日に備えて寝ることにした。
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(まだ知る時ではない・・・)
神は炎真が寝た後、1人考え込む。
魔王を討伐しない理由。
それはあまりにも単純な話。
そしてあまりにも馬鹿げた話。
だが、理由はどうあれそれが真実。
それは神にもどうすることもできない。
(あなたがこのことを知れば、間違いなく戦意を喪失することでしょう・・・)
神はただ祈るのみである
時計のAの文字はAttribute(属性)の頭文字です。思いつかなっかったので、適当につけました。
つけるといえば武器の名前とか何にも考えてない。
なんかいいのないかな・・・