3話 魂武器
ソウルアーム→ソウルアームズに変更しました
謎のおっさんに吹っ飛ばされた後、場所を移動した。
そこは森の中にある小さな小屋だった。
全くなんなのだこのおっさんは・・・
手から風出したし、普通のやつでないのは確かだ。
「まずは自己紹介から始めましょうか。私の名はソプラノ」
・・・名は体を表すってホントだったんだな
「俺は・・・」
「あ、大丈夫ですよ。あなたのことは知っていますから」
「え?」
なんで知ってんだ?
もう直接聞くことにする。
「あんた、一体何者なんだ?」
「私はこの世界の”神”です」
「神様・・・ってことはやっぱりここは天国なのか・・・」
「いいえ、違いますよ。・・・てゆうか、私が神なのは驚かないんですね」
いや、だってな・・・
「手から風とか出すし、神って言われても今更でしょ」
「飲み込みが早いですね」
「そんなことよりも、ここが天国じゃないならどこなんだよ・・・ですか?」
一応、神らしいので敬語で話すことにしてみたが、どうやら杞憂だったよで「別にタメ口でもいいですよ」と言われた。
「ここはあなたの世界で言うところの”異世界”です」
・・・異世界、だと!?
異世界ってあれか!魔物が出たり、魔法を使ったり、いつの間にかハーレムができたりしてるあれか!
死ぬ前に異世界にでも行きたいと言っていたら本当に来たのか!?
「そうか、異世界か!と言うことはあれがあるのか?」
「あれ?」
そう、異世界といえば、あれだろ
「チート能力とか!」
異世界にいった主人公は大体チート能力をえて無双し、女性たちにモテていく!
異世界にきた時の必須スキルだ!
すると、神は「あー」と言った後、笑いながら答える。
「ありません」
「・・・は?」
ない・・・?
「人生そんなイージーモードとはいかないんですよ。あれは所詮フィクションです。魔法とかはありますけど、転生したやつが極端に強いなんてありません。生まれたときの潜在能力で決まります」
まじで・・・
異世界来てチート能力がないの?
「じゃあ、死ぬしかないじゃん・・・」
「え、なんでそうなるんですか!?」
「魔法あって、魔物いる世界に一般家庭出身のやつを放り込んだら人生詰みでしょ」
「いやいや、そうでもないですよ!もちろん転生者特有のものもあります!」
——!?
それを早くいえよ!心配して損したぜ。
「何があるんだ?」
神は「コホン」と咳をした後に俺の目を見て言う。
「転生者には魔法スキルがない代わりに”魂武器”と呼ばれるアイテムが使えます。」
おぉ・・・、魂武器!
異世界っぽいじゃないか!
「俺の魂武器はどこにあるんだ?」
「転生前、つまり死ぬ直前に持っているものが変化して魂武器になるのです」
転生前に持っていたもの?
確か、学校帰りだったからカバン持ってたな。
「このカバンの中のどれかが、魂武器なのか?」
「少し待ってください。今調べますので」
調べる?どう言うことだ
俺が不思議に思っていると神はひたいに手を当てて「調査」と唱える。
すると神の目が光り輝き、俺をじっと見つめる
「私は神なので、相手の魂武器がわかるのですよ」
さすが神だな。声のギャップは今だになれないが
「ん?炎真さん、あなた珍しいですね」
「え?」
「魂武器は一人一つが普通なのですが・・・」
「はぁ・・・」
「あなた2つあります」
・・・主人公補正きたーーーー!!!!!
やっぱりあるじゃん!
チートとまではいかないけど初期アイテムは多いほうがいいしな!
俺が一人喜んでいると、どうやら調べ終わったようだ
「あなたの魂武器がわかりました」
さあ、どれが魂武器なんだ?
実際、武器になりそうなものなんて、カッターとかハサミくらいしかないけど
「一つ目は刃物系です」
じゃあやっぱりカッターとかか。
「カバンのチャックについてる”刀のキーホルダー”です」
・・・ん?
キーホルダー?
言われて見てカバンのチャックのところをみると確かに付いていた。
あれは確か、家族と旅行に行った時にお土産で買った日本刀のキーホルダーだ
「え、でもあれキーホルダーじゃ・・・」
「2つ目は・・・」
「おい、無視すんなよ」
神はかまわず続ける
「2つ目はあなたの腕時計です」
これか。
これは一目惚れして買った時計だ
赤と黒のカラーが気に入って買ったのだ
いや、でもさ・・・
「キーホルダーと腕時計でどう戦えと?」
これで戦い挑んだら間違いなく即死だぞ
だが神は大丈夫だと言う。
「魂武器は持ち主と一緒に成長していくものなのです。持ち主が成長するほど強くなり、持ち主が限界を感じると魂武器も成長を止めます。逆にいえば限界を決め付けない限り成長し続けます」
おぉ・・・
成長する武器!
めちゃくちゃかっこいいじゃないか!
・・・ちょっと待って
「いやでも結局、最初はキーホルダーと腕時計のままじゃね?」
成長するってことは最初は0歳ってことだろ?
じゃあ、腕時計はただ時間を見るだけ、キーホルダーはただ鞘から刀を抜くことしかできないのではないか?
それでどうしろと言うんだ
倒せってか?魔物倒せってか??
・・・無理だろ
「大丈夫ですよ。私が戦えるように変化させますから」
なら最初から変化させておけよ・・・
「では変化させますよ。”進化”!」
呪文を唱えると、キーホルダーと腕時計が光に包まれる。
1分すると、光が消えた。
「終わりました。これである程度は魔物と戦えるでしょう」
おぉ・・・これで戦えるのか
具体的にどう変化したのだろうか?
近づいて見て見ると・・・特に変化していない。
あれ?
「あの、どこが変化したんですか・・・?」
すると神は「フッ」と笑い、刀の柄頭を見ろと言う
見ると、その部分が凸字形になっていた。
・・・で?
「いや、凸字形になったからなんなんですか?」
「刀を鞘から抜いて、その鞘を凸字部分に装着して見てください」
そんな、ボールペンのふたを後ろにくっつけるみたいなことしてなんだと言うのだろうか。
言われた通りに、装着して見る
・・・何も起こらない
「どうですか?」
「え、なんか変わりました?」
「持つ部分が長くなったでしょ?」
それがどうした?
このキーホルダーは刀身が7cm、柄が3cmなのだが、確かに鞘を柄に装着したことで10cmになり持ちやすくはなっている。
・・・それだけなんだけど?
それ以外変わってないんだけど・・・
「あの、他は?」
「あぁ、本物の刃物に変化していますよ」
「・・・それだけ?」
「はい」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・。よし、じゃあ魔物倒しに行きましょうか!」
「いくわけねぇだろ!」
工藤炎真は武器を手に入れた。
刃渡り7cm、持つ部分10cmの刀
(俺、大丈夫かな・・・)
不安は大きくなる一方である・・・
武器の名前安直すぎかな・・・