第2話 初友 ~はつとも~
ある少女が出会った少女の正体は?二人が出会ったことで、学校はどうなってしまうのか・・・
「・・・」
女子Dは、恐怖に体を支配されたかに見えた。だが彼女はただ怖がり、脱兎のごとく逃げだしてしまう女子ではなかった。恐怖心よりも好奇心の方が、自分を固めていた氷を一気に溶かしていったのだ。女子Dの瞳は見る見るうちに潤い、体に湧き上がる喜びが一気に少女に向けられた。
―バッ
「!!!」
女子Dは少女を抱きしめた。少女は何事かと女子Dを凝視し狼狽える中、女子Dは感極まって学校中に広がる勢いでこう叫んだ。
「やっと会えたーーーー!!!」
女子Dが初めて幽霊に出会った瞬間であった。
それから二人の少女はこの日を境に、真夜中限定でかくれんぼが始まった。その中で初めて少女が『ろくろ首』という妖怪だったことを知ったが、女子Dにとっては怖いと言うよりももっと楽しくなりそうという気持ちの方が大きかった。そして教室だけでは飽き足らず、職員室や体育館、学校全体がかくれんぼの舞台と化した結果・・・
「あれ・・・こんなにめちゃくちゃにして・・・誰!?」
ついに保健室の橘燦子先生から怒りの抗議入った。
結果、校長主導で生徒全員が緊急体育館に集合させられ、犯人探しが始まったのだった。
「あなたたち、心当たりはありませんか?」
校長が直々に全校生徒に訊いてきた。女子Dはまさかこうなるとは思わなかった。一か月間一人で教室一室だけで遊んでいた。だが那奈子さんと一緒に遊ぶと、とても楽しくてつい学校いっぱい使って遊ぶようになっていた。今思えば、もっと静かに遊べばよかったと後悔した。スッと女子Dはこれ以上周りのみんなに迷惑を掛けてはいけないと思い、手を挙げようとしたその時だ。
「私よ!」
「なんですって!?」
体育館の教壇に立っていた校長がその声に注目する。
「「「「!!!???」」」」
体育館内の人全員が、校長の目線に続いてバッと後ろを振り返った。そこには体育館の入り口で必死に走ってきたのだろうか、大きな吐息で肩を上下させながら現れた。走り過ぎて心臓が痛いのだろうか、胸に手を当てながらゆっくりと歩き始めた。大正時代の服を着た少女はステージに上がって、校長の場所を堂々と奪うと、一呼吸を整えてこう言った。
「私とかくれんぼしよ?」
彼女の名は『那奈子さん』。
那奈子の言葉に体育館内の生徒達はどよめき、教師は突然のことに固まっていた。
少女とろくろ首の少女が出会ったことで、生徒たちはどよめく中、ろくろ首の那奈子だけが笑っていた。物語が動き出す。少女Dとは一体誰だ?次回に続く。




