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最強に売れるラノベを考えてみる

作者: 来栖

創作論にはいろいろな種類がある。


文章読本系、物語論系、キャラクター系、マーケティング系、出版持ち込み系

などである。


色々な観点から、小説というものは考えられる。

たとえば、文芸なら、まずは新人賞を取るしかないので、「新人賞を取るにはこうしろ!」という論調が多い。純文学、大衆小説、時代小説、ミステリ、SF、ホラー、恋愛、児童書などなどいろいろなジャンルがあるが、ほとんどが新人賞としてデビューする以外にないだろう。アメリカのように、エージェントが出版社の編集者に見せてくれる、というようなルートはほとんどない(ゼロではない)。


しかし、ラノベは、近年、web小説からのデビューが増えている。ヒーロー文庫といった専門文庫もあるほどである。


であるならば、今までのような「新人賞を取るには」という戦略は、まったく無駄ではないが、少しズレがあるのではないか、と思ったり思わなかったり思ったりするのだ。


新人賞は、選考委員がいて、また下読みという謎の勢力(編集部がやってるレーベルもある)によるふるい分けも存在する。

しかし、webなら、直接編集者に届けることができるのである。

これは、従来の日本の出版業の慣行からすれば、異例の形態なのである。

理由は今述べた通り、小説とは普通「新人賞」からスタートするものだからだ。(自費出版以外)



しかし、実は、直接編集者に届いているわけではない。

本当のweb小説の特徴は「読者が直接選別している」という点である。

これこそ、「新人賞」の形態からすれば異例中の異例である。

そこでは、識者である小説家の選考委員や、下読み、編集部などの意見は全く入らない。

読者だけが頼りのバーリトゥードな戦いの場、それがweb小説(のランキング)なのである。


しかし、これは恐ろしいことではない。

元々、プロ作家は読者だけがプロとして成立する基盤なのである。

読者がいなければ、プロではいられない。

つまり、web小説とは、ほとんど「市場」なのである。



「新人賞を取るには」という創作論は、確かに「プロになるには」有効である。

しかし、プロになった後では、これはまた違った「戦略」が必要になる。

で、web小説においても、そういう「戦略」は必要になってくるだろう。


であるなら、「ラノベ市場」に対する理解が必要になってくるだろう。

無論、「君の膵臓が食べたい」のように、ラノベとは違う市場では適用できない。

なぜか?



・ラノベ市場の特徴

ラノベ市場は、通常の「小説市場」とは異なる。

というより、それぞれ小説はジャンルによって微妙に形成している市場は異なる。

だが、一般的な大衆小説同士のジャンルの差よりも、ラノベと大衆小説の距離は大きく離れている。

ラノベの市場のポイントは何か。

大きく三つ挙げる。



1.シリーズ化が重要

2.キャラクタービジネス

3.映像化が大きい



・1.シリーズ化

「1.」は従来の「新人賞を取る」系でも言われることである。

曰く、「シリーズ化を考えた方がいいですか?」というもので、大抵の答えは「んなこと気にするより話をしっかり終わらせてください」という答えが鉄板であった。

しかし、その答えは市場では通用しない。一冊切りで終わるラノベは、ほとんど市場からは重要視されない。やはり、シリーズを重ねることが重要である。

そして、ラノベ市場でシリーズを重ねることが重要ならば、同じようにweb小説市場でも重要なのである。


それは、ランキング上位に入る作品が、明らかにラノベ一冊レベルの分量には収まっていない作品が多いことから分かるだろう。

これは、作品の質が高いとか低いとかいう問題ではない。

単に市場ランキングがそちらを選好している、というに過ぎない。

そして、出版する編集者は、その市場ランキングを参考にするのである。


・2.キャラクタービジネス

「2.」はなんだろうか?

これこそが、このエッセイを書こうと思った動機であるが、ラノベは「出版ビジネス」というより、「キャラクタービジネス」なのである。

キャラクタービジネスって何? という方には、是非ともア〇メイトやゲー〇ーズに行ってみてほしい。ア〇メイトなら、少年漫画系の扇子や、缶バッジや服とか、ストラップ(古い?)とかが売ってるはずである。ゲー〇ーズなら、ギャル系のカードやクリアファイル、フィギュアや音楽CDが売ってるはずである。

これが「キャラクタービジネス」である。つまり、派生商品のことである。「グッツ」という言い方もある。

この派生商品は大事である。美少女ゲームにおいては抱き枕こそ本体というほどの重要性を誇るのである。

現在のラノベは美少女ゲームの方法を採用しているという私独自の見解からは、ラノベ市場を考えるには美少女ゲーム市場からの知見は有効なのである。


それはともかく、この派生商品。この観点は忘れないでほしい。


3.映像化

これは分かりやすいと思う。ラノベなら大体アニメである。実写化は・・・まあ、悲劇しか生まないので止めた方がいいですね・・・。

近年のアニメのクオリティが上がりまくっており、ほとんど実写化不可能という作品はないぐらいなので、それほど配慮がいる要素ではない。ただ「無限のリヴァイアス」(古い)みたいな設定は、難しいかもしれない。(無限のリヴァイアスを知らない子に説明すると、要は群像劇であり生徒だけでその数487名という膨大な数に上る作品なのでこういう設定は映像化のハードルは上がる)

だから、大勢の軍勢が必要となる作品は難しい。なんかのアニメのタイトルが上がったかもしれないが私は書きません。



現在のキャラクタービジネスで最も注目度が高いのはFateだろう。

Fateはその昔、若い子は物心つかない頃に(言いすぎ)莫大な売り上げを上げた美少女ゲームであり、それがなぜ今更また流行ってるのかは、私には分からないのだが(FGOの出来がよかったんだろう)、実はかなり息の長いコンテンツなのである。カドカワがずっとフォローアップしてた。

一時期は東方や艦これ、アイマスといった作品が注目されたが、やはり今を切り取ればFateである。しかし、今述べたコンテンツも別になくなったわけではない。

だが、東方、艦これ、アイマス、とどれも短編や短いフレーバーのようなものを重ねていくスタイルなものに対し、Fateはずばり直球の物語作品という点で、久しぶり感がある。物語作品はかなり退潮だったからだ。


これは分かりやすく「キャラクタービジネス」をとらえてもらうために挙げたのであえてラノベが中心でない作品を挙げた。つまり、キャラクタービジネスは何もラノベでなくてはできないわけではないし、物語ですらなくてもいいのである。

またFGOのように、「ゲーム化」というのも派生商品として成立している。Fateは元々ADVというゲームだが、RPG化(フェイト/エクストラ)やソシャゲ化(FGO)などで派生ゲームを出している。



・では実際に

考えてみよう。

要は「読者のことを考えた作品」である。

読者とは、幅広い消費者のことを指す。

今の読者は、ライトノベルを単に本として需要する層のほかに、キャラクターとして需要する層もいるのである。であれば、市場としては大きい方が伸びる。

また、キャラクターから作品に入ってくれる層もいる。

そうすると、伸びる。

これは、単に商業的な部分だけではなく、実はweb小説でも同様だと思う。違うかな。

たとえばキャラクターに萌えれるキャラがいるかどうか、というのは、やはり今の読者にとっては重要ではないか。

それは、潜在的にそういう需要があり、だからこそ、フィギュアが出ると、それを買う、という行動に表れている。だから、キャラクターに萌える人”も”取り込めれば、やはり読者は増、という結果のはずである。


私は、「web小説市場」というのは「変わった市場」だと思っている。

だから、web小説市場がそのまま=ラノベ市場、とはならないと考えている。

たとえば、ラノベでは割とよくあるラブコメというのも、web小説ではそれほど目立つ存在とは言えない、などのような差異が存在するからである。伝奇とかもやはり控えめだろう。


だが、ラノベ市場としてweb小説が商業化したならば、売り方は似てくる。

そうしたときに、重要になるのが、市場の理解なのである。


そうすると、やはり「キャラクターとして強いキャラクター」を考えるのが重要になる。

たとえばリゼ〇におけるレ〇のような存在である。

もちろん、それは言われて出てくるようなものではない。

しかし、「けっ‼ 俺はそんな軟派な真似はしないぜ!」という考えより、萌えれるキャラがいただけで読者がグっと増えるなら、いれた方がいいのである。どうせ商業化したら100%女の子キャラは入れられますから。だって男キャラのキャラクターソングCD出されても、いらねえでしょ・・・。キョンとか古泉ぐらい個性的ならまだしも。あれは谷川流氏だからこそできる芸当ですし、ちゃんとみくるとかいるし、何よりハルヒという最強キャラがいますから・・・。

そして何よりフィギュア! こういうフィギュア映えするキャラとかも大事である。やはり男より女である。

もちろん、アニメ化においても、重要なのは女の子である。女性声優の注目度も最近上がってきており、そういう面でも効果を発揮している、というのは諸兄ならばご理解の通りである。

あ、ハーレムやってる人には不要なアドバイスです。



***



以上、述べてきたが、いかがだったろうか。

小説というと、「斬新な設定!」「斬新な展開!」という方面にばかり気が向かい、案外「かわいい女の子」のことは置き去りになってしまう人は、多いのではないだろうか。

(ハーレムにしても、ハーレム系の人には実はアドバイスがあって・・・まあ言っちゃうと「安売りするな」ということですね。これが実は最も重要な点で、なぜ女の子がたくさんいるのに、売れない作品があるのか、という謎の答えなんです。)


案外、「女の子をどうしようか」という方面から考えてみると、ラノベとしていい話が思いついたりするかもしれない、ということも言っておきたい。

もちろん、話はどうでもいい、というわけではない。そうではなく、「両方必要なのが今の市場だよ」ということなのである。それは「売れた作品」を読めばわかると思う。「売れた作品」を読んでない人は読んでください。




それで、最強に売れるラノベは何かって?

それはここまで読んできたキミの頭に、思い浮かんでるんじゃないかい?

あとはそれをカタチにするだけさ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] グッズを売り込むためにキャラクターを重視する。元々ラノベはキャラクター文芸の要素が強いため、合致したことになる。 [気になる点] シリーズ化すると読者は文庫本を何冊も読まなければならない。…
2018/08/16 06:17 退会済み
管理
[良い点] 「市場」という点や、キャラクタービジネスからくる考察 [気になる点] 何故伸びてないのか [一言] 物凄く為になりました なろう投稿者には是非読んで貰いたいですねー
2018/08/15 11:27 退会済み
管理
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