再会
第2話でござる
────ピピピピピ
「んあ、……朝か……」
目覚ましの音で俺は夢から醒める。
「もう五年経つかぁ……時の流れは早いもんだ」
重い体を起こしながら一人呟く。
「アイツ今何してんのかな。無事に大学卒業出来たのかな」
まあ、そんな事は詮無きこと事だ。俺は俺の日常を生きなければならない。
「さて、今日も頑張りますかね……」
俺は準備を済ませ、今日も仕事へと赴くのだった
───俺、小岩井千尋は女子高で教師をやっている。
年齢は29、いい加減いい年齢だが女の影はない。
まあ、俺は結婚するつもりもないし問題はない。
「っと、今日から新しい教師が来るんだっけか。少し急ぐか……遅れちゃ悪いしな」
「おはようございまーす……」
気だるげな挨拶と共に俺は職員室へと入る。
「おう!おはようさん!29歳童貞君!元気がないね?童貞こじらせた?私が貰ってあげようか?ん?」
「いえ、結構です31歳未婚の春香さん」
「うっ、後輩がイジメて来るぅぅーー!!うわーん!!」
このアホな女は俺の先輩である入江春香。これで教師というのだから驚きである。
「うー……なんで私を拒絶するのよ……私の事嫌いなの?」
「違います」
「え?じゃ、付き合おうよ」
「結構です」
「なんでよぅ!?」
入江春香は俺の高校の時の先輩である。
こんなやり取りはいつもの事だった。いや、嫌いじゃないとは言ったが好きとは言ってないぞ俺。
「はいはい、二人共そこまでよ」
割って入って来たのは校長だった。
ネコのようなつり目が怖い印象を与えるが40代とは思えない美貌を持つ美人である
「すみません」
俺は即座に謝罪する
それに対し入江先輩は
「だって、小岩井先生がー……」
「入江先生?(ギロッ」
鬼の形相で入江先輩を睨む校長
「は、はい、すみませんでした……(カタカタ」
「よろしい」
……怖すぎる
「え、えっと、そう言えば!今日から新しい先生が入るんですよね!?」
先輩が校長に問う。
そう言えばそうだった。先輩とのバカなやり取りのせいで失念していた。
「ええ、もう待機してもらっています。これから紹介するつもりです。」
「どのような方なんですか?」
「若くて可愛らしい子よ。というか小岩井先生は知っていらっしゃる方だと思いますよ」
ん?俺が知っている?はて?俺は自慢じゃないか交友関係はそこまで広くない。そんな俺が知っている……?誰だ
「今から呼んできますから少し待ってて下さいね」
と校長は職員室を出ていく。若くて可愛らしい子と聞いて職員室の男性教師陣は少しソワソワし始めている。
「へー、若くて可愛い子かー……うへへ」
「…………」
とヨダレを垂らしている入江先輩。流石の俺もドン引きである。
「それにしても童貞君が知ってる娘かー……誰だろうね」
「さあ?まあ、すぐに分かるでしょうし」
雑談もそこそこに校長が若い女性を連れて帰って来た。アレが新しい教師かな。
「……あ」
見覚えがある。確かにある。彼女は五年前……
「彼女が今日から新しく教師としてこの学校に勤めることになったわ。さ、自己紹介お願いね?」
校長に自己紹介を勧められるとその女性新任教師は
「え、えっと、今日から新しくここの教師として赴任しました相川夏目と言います。自分が母校の教師になれる事をとても嬉しく思います!至らない点もあるかも知れませんが何卒よろしくお願いします!」
見間違うハズもなかった。
彼女は昔、俺の担当したクラスの生徒だった。
そして五年前、俺がフッた女性だった。
いかがでしたでしょうか?
次話から主人公との絡みを入れていきます