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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

美醜の中で

作者: ねるこ

私はね、あなたが嫌いで虐めているんじゃないの。

大好きだから、愛しているから虐めているの。

玲奈(れな)さん、あなたなら分かってくれるわ




沙友里(さゆりは美しかった。手足が長く、華奢で真っ白で、何よりも顔が整っていた。高校生とは思えないほどの出来だった。

そんな彼女は誰からも愛された。が、故に飽き飽きもしていた。 授業が終わると、沙友里は憂鬱になる。男子でも女子でも、皆彼女の元へ集まってくる。それが嫌で堪らなかったため、空き時間は教室を出るようにしていた。


今日はトイレにでも避難しよう

そう考えトイレのドアを開けた。するとタイミング悪く、今出ようとする人とぶつかってしまった。相手はハンカチを落としてしまったようだった。

「ごめんなさい。ハンカチ汚れてないかしら・・・」

沙友里は言いながらハンカチを手に取り、確かめた。汚れてはいないようだった。

「大丈夫みたいだけど、本当にごめんなさいね。」

相手に返すと、

「あ・・・えっと、大丈夫です。あの、こちらこそごめんなさい・・・・・・」

しどろもどろに答えながら、受け取った。


沙友里は少し驚いていた。今までに出会ったことのない類だったのだ。(沙友里の周りに集まる者は、身の程を知らない図々しいタイプだったのだろう。)興味を持った沙友里は、彼女に聞いた。

「あなた、名前は?」

「え、あ、森畑(もりはた)玲奈です。」

「そう。私は紅林(くればやし)沙友里。」

「あ、沙友里さんですね・・・えっと、分かりました」

「ねえ玲奈さん、どうしてさっきから下を向いているの?私と一度も目を合わせてくれないようだけど」

その言葉を聞き、玲奈は顔を真っ赤にした。

「あら、失礼なこと言ったかしら。でも私ね、目も合わせずに会話をする人初めてよ。」

たたみかけるように言う。玲奈の目には涙が浮かんでいた。

それを見た瞬間、沙友理の中の何かが開いた。

気付いた時には、沙友里は玲奈を平手打ちしていた。

「どうして何も言わないの?私あなたの様な、醜いくせしてぐずぐずする人いやだわ。」

玲奈は泣いていた。


この時、沙友里が何を感じ何を思いながら攻撃的な態度をとったのか。

純然たる快感である。

自分の言動によって相手が苦しむ。それがたまらなかった。

もっともっともっともっともっともっともっともっともっと

もっともっともっともっともっともっともっともっともっと

もっともっともっともっともっともっともっともっともっとつらい思いをすればいい。

玲奈が過呼吸を起こし始めると、沙友里の快感、興奮は絶頂に達していた。

(玲奈さん・・・過呼吸になってしまって、可哀想。

でもね、そんなあなたが愛しいわ。ああもっと苦しめばいいのに。)


それからの空き時間は、沙友里は玲奈を呼び出しては苦しめた。

その事に怯える玲奈の様子もまた、沙友里の興奮材料の一つになっていた。


いつものように、玲奈を呼び出す沙友里。その時は昼休みで、生徒は昼食を食べていた。

沙友里は、玲奈に弁当箱を持ってくるように伝えた。


「あら遅かったのね」

「すみません・・・・・昼食の途中で、その、お弁当も少し食べてしまいました・・・」

「お弁当箱貸して」

沙友里は言う。何の抵抗もなく渡すと、

「途中だもの。食べていいわよ。」

そう言いながら沙友里は、弁当箱の中身を玲奈の頭上から落とした。

「玲奈さん、汚い。臭いわ」

近寄るなとばかりに思い切り玲奈を蹴飛ばす。沙友里の表情は、実に楽しそうであった。

お気に入りのおもちゃで遊ぶ、子供のように。


倒れた玲奈の顔に、沙友里は近づいた。

(なんて醜い。涙と鼻水とお弁当の中身でぐちゃぐちゃになった顔。あわれな子、かわいそうな子、

でもやっぱり)「愛してるわ玲奈さん。だから、だからこそ、もっと醜い姿を私に見せて」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




沙友里さんの綺麗な顔が私に近づく。ああ、駄目です。沙友里さんがケガレテしまう。

私は沙友里さんが好きです。愛しています。

だから、酷いことを言われて嬉しいです。

    蹴られて嬉しいです。

    叩かれて嬉しいです。

    殴られて嬉しいです。

    辱められて嬉しいです。

沙友里さんの唇が近い。本当に綺麗。


ああどうか優しいキスではなく、あなたの吐き出す唾を、私にください。




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