終幕
混乱する大盾と魔法使いのずっと後ろにいる弓使いへと猛ダッシュ。
うん、スタミナドリンクの力凄いです。
「っ!面倒な時に!」
弓使いが近付いてくる俺に気付いたらしく、こちらへ矢を飛ばしてくる。
……正直、弓使いと一対一だと当たる気がしない。
ごめんね?
「くっ!」
残酷にも、全ての矢は俺の体にカスることもなく、通り過ぎていく。
というか、そんな俺に構ってていいのかな?御嬢さん。
「くそっ!」
近付いていたホッケウルフに噛み付かれる弓使い。
……というか、女の子がくそなんていっちゃいけません。
HPが3割近くになった弓使いは、逃げるのを選択したようで。
――逃がすと思うか?
敏捷を生かした俺の走りは、一瞬で弓使いと距離を縮める。
逃げようとしている方向へと回り込み、そのまま弓使いへ身をいれる。
懐へ入り、ナイフで首辺りを重点的に攻撃。
弓使いは、攻撃を受けながらも、弓に矢を注ごうとする。
はは、そんな至近距離で当たると思ってるんだろうか。
……というか、後ろ見た方がいいよ?
弓使いは俺の攻撃ではなく、後ろから迫っていたホッケウルフによる噛みつきでHPを0にした。
ホッケウルフは、そのまま草影へと消えていく。
狼よ、いい連携だったぞ!
「覚えときなさいよ、あんた。名前覚えたから。」
弓使いが、消え行く前にそう告げる。
はは、フレンド登録でもするつもりなのかな?
弓使いを無視し、大盾と魔法使いの方へと向かう。
さて、あっちはどうなったかな。
――――――――――――――――
大盾と魔法使いは、迫りくるブルースライムに手こずっているようだ。
すでに大盾のHPはほぼ0で、魔法使いも大盾を失ったら即死だろう。
ちょっと邪魔するか……
俺は、アイテムボックスから石ころを取りだし、魔法陣の完成を待っている魔法使いへ投擲した。
「うわっ!!」
大当たりである。魔法使いの頭にhit!
魔法陣は破棄され、やり直しである。
ほらほら、はやくしないと大盾さんが死んじゃうよ?
「覚えとけよ雑魚!卑怯な真似ばっかしやがって!」
うん、卑怯は最大の褒め言葉なんだけどな。
こんな時MMOではよくあった、『エモーション』が恋しくなる。
VRMMOの自分で好きなポーズが出来るってのはいいが、あの昔の不自然なポーズってのも良いものである。
特に、煽りに関しては。
まあいい自分でやろう。
あっちに向けて、俺の精魂を込めた『土下座』。
MMOでは、俺の大好きなエモーションの一つだ。
「っ!」
うわ怖い顔。
「クロ!相手にするんじゃねえ!」
「わ、わかってる……ファイアーボール!」
もう一度、魔法人構成中の所へ投擲、消える魔法陣。
すかさずジャパニーズ土下座。
「あああ!くそが!」
おっと、感情が漏れもれですよ?
「クロ!くっそ……だめだ」
大盾使いのHPがゼロに。
ふふ、一体誰のせいだろうな?
「くそっくそっ!」
ブルースライムは魔法使いへと標的を変える。
間もなく、全員死ぬことになるだろう。
ブルースライムの弾幕は、容赦なく魔法使いへと向くのだった。
あ、便乗してナイフ投げとこ。
―――――――――――――
ゼロになったのを確認した俺は、魔法使いの前に立つ。
「覚えとけよ、お前。今度会ったら……」
魔法使いの言葉を遮り、見下すように言い放つ。
「『NOOB』」
「な……」
また口を開こうとしたみたいだが、その前に魔法使いは消え去ってしまったみたいだ。
《称号 復讐者 を取得しました!》
《潜伏スキルを取得しました!》
《疾走スキルを取得しました!》
《レベルが10以下のため、PKペナルティはありません》
《レベルが10以下のため、名声ポイント低下はありません》
……なんか、色々と取得したな、またまたあいつらに感謝だ。
まあいい。
「あー!スッキリした!」
心の底からそう叫ぶ俺。
さて、始まりの町に戻ってログアウトといこう。